BIMIの新しいlps=タグについて解説
著者: Yunes Tarada
翻訳: 東條 百々朱
この記事はPowerDMARCのブログ記事 New lps= tag in BIMI Explained の翻訳です。
Spelldataは、PowerDMARCの日本代理店です。
この記事は、PowerDMARCの許可を得て、翻訳しています。
主なポイント
lps=タグを使用すると、異なるローカルパート(例:support@、marketing@)ごとに、それぞれ異なるBIMIロゴを設定できます。- また、特定の送信者アドレス(例:
noreply@)ではロゴを表示しないようにするなど、送信元ごとに表示を制御することも可能です。 - 受信メールサーバは、ローカルパートとの一致を確認し、使用するBIMIレコードと表示するロゴを判断します。
- 実装する前に、DMARCポリシーを強制適用(
p=quarantineまたはp=reject)している必要があります。 - デフォルトのBIMIレコードに
lps=タグを追加し、対象となる各ローカルパート用のBIMIレコードを個別に公開することで実装できます。 - 主なメリットとして、ブランドの可視性向上や受信者からの信頼向上などが挙げられます。
- 一方で、DNS管理が複雑になるため、慎重な設定と検証が必要です。
BIMI(Brand Indicators for Message Identification)の新しいlps=タグにより、ブランドロゴの表示をこれまで以上に細かく制御できるようになりました。
従来のBIMIでは、基本的に1つのドメインに対して1つのロゴを使用するため、複数の送信アドレスを運用している組織では柔軟性に限界がありました。
lps=タグを使用すると、ドメイン所有者は、各送信者アドレスのローカルパート(@より前の部分)に応じて、異なるロゴを割り当てたり、特定の送信元ではロゴを表示しないようにしたりできます。
この機能により、BIMIが持つセキュリティ上のメリットを維持しながら、メールの用途に応じたブランド表示が可能になり、ブランドの一貫性や受信者からの信頼向上につなげられます。
BIMIのlps=タグとは?
lps=タグは、デフォルトのBIMI DNSレコードに設定するタグです。
送信者のFrom:アドレスに含まれるローカルパート(@より前の部分)に応じて、異なるBIMIレコードを参照するよう受信メールサーバへ指定します。
このタグにより、主に次の2つのことが可能になります。
- 複数のロゴを設定する
- 異なる送信元に対して、それぞれ異なるロゴを割り当てられます。
例えば、marketing@company.comから送信するメールにはメインのブランドロゴを表示し、sales@company.comから送信するメールには営業部門用のロゴを表示するといった設定が可能です。 - 特定の送信元でロゴを表示しない
- 特定のメールアドレスについて、BIMIロゴを表示しないように設定することもできます。
例えば、ブランドロゴを表示する必要のない自動通知メールをnoreply@company.comから送信している場合、lps=を利用してロゴ表示を制御できます。
BIMIのlps=タグの仕組み
lps=タグを設定すると、受信メールサーバがBIMIロゴを参照する際の処理が変わります。
基本的な流れは以下のとおりです。
- ステップ1:メール認証を確認する
- メールを受信すると、まずSPF、DKIM、DMARCなどの認証チェックが行われます。
BIMIを利用するためには、DMARCポリシーがp=quarantineまたはp=rejectで強制適用されている必要があります。 - ステップ2:デフォルトのBIMIレコードを確認する
- 受信メールサーバは、対象ドメインのデフォルトBIMIレコードを参照します。
例えば、以下のようなレコードです。
default._bimi.company.com - ステップ3:
lps=タグを確認する - デフォルトのBIMIレコードに
lps=タグが設定されている場合、受信メールサーバは、その中に記載されているローカルパートを確認します。
例えば、以下のような設定です。
lps=support,marketing,sales - ステップ4:ローカルパートを照合する
- 受信メールサーバは、メールの
From:アドレスに含まれるローカルパートと、lps=タグに指定されている値を照合します。
例えば、support@company.comであれば、ローカルパートはsupportです。 - ステップ5:対応するBIMIレコードを参照する
- ローカルパートが
lps=タグに指定されている値と一致した場合、受信メールサーバは、そのローカルパートに対応するBIMIレコードを参照します。
例えば、supportが一致した場合は、以下のレコードを参照します。
support._bimi.company.com対応するレコードが存在し、正しく設定されていれば、そのレコードで指定されたロゴが使用されます。
一方、該当するローカルパートがない場合や、個別のBIMIレコードを利用できない場合は、デフォルトのBIMIレコードに設定されているロゴが使用されます。
この仕組みにより、特定の送信元には個別のロゴを設定し、それ以外の送信元ではドメイン共通のデフォルトロゴを使用するといった柔軟な運用が可能になります。
BIMIのlps=タグを正しく実装する方法
lps=タグを利用するには、現在のBIMI設定を更新する必要があります。
前提条件として、DMARCポリシーをp=quarantineまたはp=rejectで強制適用している必要があります。
これは、BIMIを利用するための基本要件です。
- 1.使用している送信元を整理する
- まず、メール送信に使用しているローカルパートをすべて確認します。
そのうえで、それぞれについて個別のロゴを表示するのか、デフォルトのロゴを使用するのか、またはロゴを表示しないようにするのかを決めます。 - 2.デフォルトのBIMIレコードを更新する
- 既存のデフォルトBIMIレコードへ
lps=タグを追加し、個別の設定を適用するローカルパートを指定します。
例えば、以下のようになります。
v=BIMI1; l=…; a=…; lps=newsletter,support-team
まだBIMIレコードを設定していない場合は、PowerDMARCのBIMIレコード生成ツールを使用して作成できます。
作成したレコードはDNSへ公開してください。 - 3.ローカルパートごとのBIMIレコードを公開する
lps=タグに指定した各ローカルパートについて、個別のBIMI DNSレコードを作成します。
例えば、以下のようになります。
newsletter._bimi.company.com
support-team._bimi.company.com
それぞれのレコードで、表示するロゴや証明書情報を設定します。- 4.すべてのレコードを検証する
- 新しく作成した各BIMIレコードが正しく設定されていることを確認してください。
各レコードには、必要に応じて以下のタグを設定します。
v=BIMI1は、BIMIのバージョンを指定します。l=は、ロゴファイルの場所を指定します。a=は、VMCなどの証明書情報を指定します。
柔軟な制御と管理の複雑さ
| メリット | 課題 |
|---|---|
| より細かなブランド表示が可能になります | DNS管理が複雑になります |
| メールの用途に応じてロゴを変更できます | 設定ミスのリスクが高まります |
| 受信者からの信頼向上につながります | DMARCの強制適用が前提となります |
lps=タグは、BIMIにより柔軟なブランド表示をもたらす機能です。
ブランドは、送信するメールの用途や送信元に応じて、受信トレイ上のロゴ表示をより細かく管理できるようになります。
複数の送信元を運用している組織にとって、メールの用途に応じてブランド表示を変更できることは大きなメリットです。
一方で、管理するBIMIレコードの数が増えるため、DNS設定も複雑になります。
複数のBIMIレコードを作成、検証、維持する必要があることから、設定ミスが発生する可能性にも注意が必要です。
lps=タグを導入する場合は、現在利用しているメールアドレスや送信経路を整理し、それぞれに適用するロゴを明確にしたうえで、DNSレコードを正確に設定することが重要です。
まとめ
BIMIは、メールの受信トレイにブランドロゴを表示するための仕組みです。
lps=タグを使用すると、マーケティング、サポート、営業、アラートなど、メールアドレスの用途に応じて異なるロゴを表示できるようになります。
これにより、メールの用途に応じたブランド表示が可能となり、ブランドの可視性や受信者からの信頼向上につなげられます。
また、BIMIではDMARCの強制適用が前提となるため、メール認証を適切に導入することで、フィッシングやスプーフィング対策の強化にもつながります。
lps=タグをはじめ、BIMIの設定や運用に関するサポートが必要な場合は、PowerDMARCのホスト型BIMIサービスを利用できます。
ホスト型BIMIを利用することで、BIMIの設定や管理を簡素化し、ブランドロゴの表示に必要な環境を効率的に整えることができます。
メールセキュリティやメール到達率の向上について支援が必要な場合は、PowerDMARCの専門チームへお問い合わせください。
よくある質問
- 1.BIMIは具体的に何に役立ちますか?
- BIMIを利用すると、対応しているメールサービスの受信トレイ上にブランドロゴを表示できます。
これにより、ブランドの視認性や認知度を高め、受信者がメールの送信元を識別しやすくなります。
結果として、メールへの信頼やエンゲージメントの向上につながる可能性があります。 - 2.BIMIはフィッシング対策に役立ちますか?
- BIMI自体がフィッシングメールを直接ブロックするわけではありません。
ただし、BIMIを利用するにはDMARCの強制適用が必要です。
そのため、BIMIの導入に必要なメール認証環境を整えることで、ドメインを悪用したフィッシングやスプーフィングへの対策強化につながります。 - 3.BIMIへ完全に準拠していなくても、メールの受信トレイにロゴを表示できますか?
- メールサービスによっては、BIMI以外の仕組みによってロゴやプロフィール画像を表示できる場合があります。
例えば、Googleの一部の機能では、Gmail上でブランド画像を表示できる場合があります。
ただし、こうした表示はBIMIによる認証済みブランドロゴとは仕組みが異なり、表示条件や対象範囲も異なります。
また、BIMIが前提とするDMARCによるメール認証の仕組みを代替するものではありません。 - 4.BIMIに関心を持つべきなのはセキュリティ専門家だけですか?
- いいえ。
BIMIは、セキュリティ担当者だけでなく、メールマーケティング担当者、ブランド担当者、PR担当者、グロースマーケティングチームなどにも関係します。
メールセキュリティを強化しながら、受信トレイ上でブランドの視認性を高められるため、セキュリティとマーケティングの両面で活用できる仕組みです。