DMARC エキスパートへの道

DMARC エキスパートへの道

2024年9月17日
著者: Ahona Rudra
翻訳: 岩瀨 彩江

この記事はPowerDMARCのブログ記事 How to Become a DMARC Expert? の翻訳です。
Spelldataは、PowerDMARCの日本代理店です。
この記事は、PowerDMARCの許可を得て、翻訳しています。


あなたのドメイン名は、オンラインビジネスのデジタルな店先です。
それはしばしばサイバー犯罪者の主要な標的となり、彼らはあなたになりすましてクライアントにメール(メール)を送ることがあります。

ほとんどすべての企業が、サイバー攻撃から自社のメールドメインを保護することに課題を抱えています。
ここで役に立つのが、DMARCのエキスパートになるということです。

DMARC(Domain-based Message Authentication, Reporting and Conformance)は、今や必要不可欠な存在です。
これは、フィッシングやなりすまし攻撃からメールドメインを保護するのに役立ちます。
そのため、あらゆる組織がDMARC実装プロセスを導き、ドメインを保護してくれるDMARCのエキスパートを雇うことが欠かせなくなっています。
では、なぜあなたがそのDMARCのエキスパートになれないのでしょうか?

この記事では、DMARCのエキスパートになるために知っておくべきすべてのことと、なりすまし攻撃からメールを守る方法を解説します。
詳しく知りたい方は、この先を読み進めてください。

重要なポイント

  1. あなたのドメイン名は、オンライン上の店先として機能し、メールを基盤とした攻撃の主要な標的となります。
  2. DMARC、SPF、DKIMを理解し実装することは、効果的なメール認証とセキュリティに不可欠です。
  3. DMARCは、フィッシングやなりすまし攻撃から保護するだけでなく、業界標準への準拠も確保します。
  4. DMARCレポートを解釈することは、脆弱性を特定し、メールセキュリティの状況を改善する上で非常に重要です。
  5. DMARCの実装に関する継続的な学習と実践的な経験は、あなたをメールセキュリティ分野で価値あるDMARCのエキスパートとして位置づけるでしょう。

DMARCの基本を理解する

DMARCは、メールが本当にその送信元として名乗っているドメインから送られてきたものかを保証する、メールセキュリティ認証プロトコルです。
これは、メールが正当なものか、あるいは詐欺につながる可能性があるものかを確認するための検証システムのようなものです。

DMARCは単独では機能しません。
その役割を果たすためには、メール送信元を認証するSPF または DKIM プロトコルの適切な実装が必要です。
DMARC認証に合格するには、メールがこれら2つのプロトコルのいずれかと整合している必要があります。

DMARCは、SPFおよびDKIMチェックに失敗したメッセージに対して受信側MTAがどのように対応するかのアクションを定義します。
また、受信者が認証結果に関するレポートを送信元ドメインに返すことを可能にするフィードバック機構も提供します。

なぜDMARCなのか

DMARCプロトコルは、さまざまなメールセキュリティの問題に対処し、メールドメインを保護するために不可欠です。
これは高度な認証技術によってメール関連の詐欺と戦います。
さらに、サイバー脅威に対抗するためのメールセキュリティ戦略が整合し、最新の状態に保たれるようにします。

DMARCは、さまざまな業界標準におけるコンプライアンス維持のために必須となっています。
GoogleとYahooは大量メール送信者に対してDMARCを義務化しており、PCI-DSSバージョン4でもフィッシング防止の良い実践としてDMARCが推奨されています。
これにより、DMARCはメールセキュリティスイートに非常に優れた追加要素となります。

DMARCエキスパートに必要なスキルと知識

DMARCのエキスパートになるためには、以下のスキルを習得することが重要です。

メール認証プロトコルの理解
DMARCエキスパートとなるための主な要件は、以下のメール認証プロトコルを深く理解することです。
SPF(Sender Policy Framework)
SPFがどのように機能するか、SPFレコードの作成方法、そしてSPFがメール認証プロセスにどのように貢献するかを理解する必要があります。
DKIM(DomainKeys Identified Mail)
DKIMがどのように機能するか、DNSへのDKIM実装方法、メールへの署名と署名検証のプロセスを理解する必要があります。
DMARC(Domain-based Message Authentication, Reporting and Conformance)
DMARCがSPFとDKIMを基盤にどのように構築されているか、ポリシー適用、レポート分析、集約レポートおよびフォレンジックレポートの解釈などを含め、深い知識を身につける必要があります。
DNS管理
DMARCのエキスパートは、メールがどのように送受信されるかについて深い知識を持っている必要があります。
これには、メールサーバの役割やSMTPプロトコルが含まれます。
また、DNSがどのように機能するかを理解し、DNSレコード(特にSPF、DKIM、DMARCのレコード)を作成・更新するプロセスを把握していることも求められます。
サイバーセキュリティの知識
DMARCのエキスパートは、コミュニケーションに影響を与え、データの傍受や侵害を引き起こす一般的なメールベースの脅威について理解している必要があります。
フィッシングおよびなりすまし防止
フィッシング、なりすまし、BEC(Business Email Compromise:ビジネスメール詐欺)など、一般的なメール詐欺の形態と、DMARCがこれらのリスクをどのように防ぐかを理解することが必要です。
AIとソーシャルエンジニアリング
高度なAIを用いた偽メールに関する理解を持ち、それらを見抜き、防止する方法を把握している必要があります。
また、攻撃者が心理的操作を用いて被害者をだますソーシャルエンジニアリング手法を識別できることも重要です。
DMARCレポートの分析
DMARCレポートを解釈することは、メール認証設定の欠陥、潜在的ななりすまし・フィッシング攻撃、そしてメール配信の問題を検出するために不可欠です。
これらのレポートは、不正メールのパターンやドメインに対する脅威を特定するのに役立ちます。
DMARCのエキスパートは以下のことができる必要があります。

  • 複雑なXML形式のDMARC集約レポートデータを読み取ること。
  • メール配信の不整合を特定すること。
  • メール送信元の異常を特定すること。
  • 潜在的ななりすましの試みを疑い、適切な対応を取ること。
  • レポート分析に基づいてデータ主導の判断を行う能力を持つこと。
  • メール配信に関連する問題をトラブルシュートできること。
業界のベストプラクティスによる継続的な学習
メール認証の領域は常に進化しており、DMARCや関連技術の最新情報を追い続けることが極めて重要です。
また、業界のベストプラクティスに従うことも大切です。

  • メールセキュリティの導入トレンドや業界ニュースを追跡すること。
  • クライアントの声や成功事例を読み、組織がどのようにDMARCを成功裏に実装しているかという実例を学ぶこと。

DMARCエキスパートになるためのステップバイステップガイド

DMARCを学ぶためには、その基本を理解することが不可欠です。
しかし、エキスパートと呼ばれるためには、DMARC認証のさまざまな側面を習得しなければなりません。
以下では、DMARCによる認証について知っておくべきポイントを説明します。

ステップ1:メール認証の基本を知る
DMARCエキスパートを目指すのであれば、メール認証の基本を理解することが不可欠です。
DMARC認証は、DomainKeys Identified Mail(DKIM)とSender Policy Framework(SPF)によってメールを検証する仕組みで動作します。

DKIM認証は、正当な送信元から送られたメールにデジタル署名を追加し、そのメールが本物であることを識別します。
一方、SPFは、ドメイン所有者が自分のドメインの代わりにメールを送信できる送信元を一覧化できる仕組みです。

DKIMとSPFの認証によって、GmailやYahooのようなメールプロバイダはメールの真正性を確認できます。
DMARCを使うことで、自分の認証ルールを定義することができます。
DMARCポリシーを実装することで、認証チェックに失敗したメールをサーバにどのように処理させるかを指定できます。
ステップ2:自分のドメインでDMARCを設定して実践経験を積む
DMARCをより深く理解し、その機能を把握するためには、自分のドメインでDMARC実装を実践することが重要です。
DMARCエキスパートを名乗る前に、実装プロセスを習得しておく必要があります。

実装の最初のステップは、ドメインのDNSにDMARCを公開することです。
DMARCを公開するには、まずDNS管理コンソールにログインします。
次に、DNS管理オプションを選択してDNSレコード設定にアクセスします。
その後、DMARCのTXTレコードを追加します。

DNSプロバイダによって必要となる要件が異なる場合があるため、自分のドメインに応じた仕様を確認する必要があります。
詳細なDMARCセットアップガイドについては、こちらを参照してください。
ステップ3:DMARCレポートの読み取りと分析を習得する
ポリシーを「none」に設定した後は、レポートを観察します。
認証結果のモニタリングは、認証の取り組み全体を通じて長期的かつ継続的に行う必要があります。
集約レポートとフォレンジックレポートの両方が、メールがドメインを通じてどのように送信されているかに関する情報を提供します。

エキスパートは、これらのレポートを分析して、不正または悪意あるドメイン利用を特定できなければなりません。
また、レポートから現在のDMARCポリシーが効果的かどうかを判断することも可能です。
ステップ4:ポリシー適用は段階的に進める
DMARCポリシーを展開する際、DMARCのエキスパートは、計画的かつ段階的なアプローチで専門的に対応します。
DMARCの適用は、継続的なモニタリングを伴いながら、徐々に進めていく必要があります。
エキスパートは、まず「none」のようなアクションを伴わないDMARCポリシーから開始し、次に pct=50 を設定して、メールの50%に対して隔離(quarantine)ポリシーを適用する段階へと移行することを推奨します。

その後、ポリシーを送信メール全体(100%)に適用できます。
設定やメールの到達性に自信が持てるようになった段階で、より強力な p=reject のDMARCポリシーを選択することができます。
DMARCとメール認証に関する認定資格とトレーニングコース
基礎的および高度なセキュリティスキルを学ぶことは、DMARCのエキスパートとしての地位を確立する上で重要です。
この目的のために、さまざまなコースが用意されています。
プロフェッショナルなメール認証資格を取得することで、市場や同僚の間で自分の専門性を証明することができます。

無料のオンラインメール認証コースも設計されており、専門性を身につける助けとなります。
以下は、DMARCエキスパートになるために役立つ、特に優れたDMARCトレーニングコース2つです。
Email Authentication Fundamentals Course
PowerDMARCの「Email Authentication Fundamentals Course」は初心者に最適で、SPF、DKIM、DMARC、MTA-STS、BIMIの基礎を解説しています。
このコースは包括的でわかりやすく、シンプルなモジュールとインタラクティブなビデオで構成されています。

コース全体の完了にはわずか1時間28分しかかからず、8つのモジュールに分かれています。
内容には、メールを基盤とした脅威の詳細な解説、メール認証および関連プロトコルの概要、基本的な設定や実装プロセスが含まれます。
このコースは、より高度なコースへ進むための基礎を効果的に築くものとなっています。
Email Authentication Fundamentals Course説明の画像
Advanced Email Authentication Course
PowerDMARCの「Advanced Email Authentication Course」は、メール認証の仕組みを深く理解し、DMARCエキスパートになるための次のステップを踏みたい人向けのコースです。
コースの完了には約3時間54分かかり、全15モジュールで構成されています。

このコースは、SPF、DKIM、DMARC、MTA-STS、BIMIといった技術的側面に重点を置いています。
また、詳細なエラーハンドリングプロセスや設定上の問題に対する解決策も含まれており、実践的なスキルを習得できる内容となっています。
Advanced Email Authentication Course説明の画像

DMARC習得における一般的な課題

DMARCエキスパートは、DMARC実装において以下の一般的な課題を理解しておく必要があります。

1. SPFレコード設定の誤り
SPFレコードには、ドメインのメール送信を許可されたIPアドレスの一覧が含まれます。
誤った構成のSPFレコードは、DMARCの適切な実装を妨げます。
また、SPFはDNSクエリで10回を超えるルックアップが発生すると永久エラーになりやすいという弱点があります。

ー解決策―
ドメイン所有者やDMARCエキスパートは、すべての送信元をリスト化して管理することで問題を回避できます。
これにより、正当な送信元の許可漏れを防止できます。
さらに、SPFの10回ルックアップ制限は、マクロを活用することで回避することも可能です。
2. DKIMキー管理の不備
DomainKeys Identified Mailで使用される公開鍵/秘密鍵ペアは長いデータ文字列で構成されています。
これらの複雑なキーの取り扱いでミスが起きると、DKIM設定エラーにつながり、最終的にはDMARC実装にも問題を引き起こします。
また、DKIMキーはセキュリティ強化のため定期的にローテーションする必要があります。

―解決策―
エキスパートは、DKIMキーの管理や選択子管理を自動化できるホスト型DKIMソリューションを利用することで、この問題を軽減できます。
3. DMARCレポートの読み取りの難しさ
DMARCレポートはXML形式で生成されるため、Extensible Markup Languageを理解していないと読みづらいものです。
非技術者にとっては、まるでパズルのように見えることもあります。

―解決策―
DMARCエキスパートは、DMARCレポート解析ツールを利用してこの問題を解消します。
これらのクラウドベースのプラットフォームは、複雑なXMLレポートを解析し、人間が読みやすいデータに変換します。

DMARCエキスパートのためのツールとリソース

以下は、DMARCエキスパート向けの信頼性の高いオンラインリソースとツールで、標準仕様、ベストプラクティス、権威あるドキュメントに焦点を当てています。

1.IETF RFC と標準仕様
  • RFC 7489:DMARCプロトコルを定義した基礎文書で、その目的、実装方法、要件が詳細に記載されています。
  • RFC 7208:Sender Policy Framework(SPF)を定義した標準文書で、メール認証におけるSPFの役割を理解する上で不可欠です。
  • RFC 6376:DomainKeys Identified Mail(DKIM)を定義した文書で、メールの署名と検証の仕組みについて詳述しています。
2.公式ドキュメントとガイド
  • DMARC.org:DMARCの公式サイトで、ガイド、FAQ、ベストプラクティスなど豊富なリソースが提供されています。
  • M3AAWG(Messaging, Malware and Mobile Anti-Abuse Working Group):DMARC、SPF、DKIMを含むメール認証に関するホワイトペーパーやベストプラクティス文書を提供しています。
  • IETF Datatracker:DMARC、SPF、DKIMなどのメール認証標準に関する最新のドラフト、RFC、更新情報を確認できるプラットフォームです。
オンラインコミュニティとフォーラム
DMARCに関する課題、解決策、最新情報について専門家や実務者が議論しているオンラインフォーラムに参加しましょう。
業界の専門家がDMARCに関する継続的な開発や問題点を共有しているメーリングリストやディスカッショングループに登録することも有益です。
研究論文およびケーススタディ
メール認証、DMARCの有効性、関連するセキュリティ分野についての研究論文やケーススタディにアクセスし、より深い理解と実践的な知識を得ることができます。

DMARCエキスパートとしてのキャリア構築

多くの組織ではメールセキュリティが見落とされがちです。
そのため、DMARCエキスパートの需要はますます高まっています。
専門知識の深さに応じて、市場にはさまざまな職種の機会が存在します。

現在、あらゆる主要業界やセクターで、メール脅威から身を守るためにDMARCの導入が必須となっています。
PayPal、LinkedIn、Bank of America をはじめ、多くの企業がメール通信を保護するためにDMARCを導入しています。
以下は、DMARCエキスパートが活躍できる分野の一例です。

オープンロールやキャリアの機会については、こちらから確認できます。

DMARCエキスパートとして自分を市場に位置づける

メールセキュリティや管理に関する認定資格は、就職市場への参入を後押しします。
以下は、サイバーセキュリティ分野で特に需要の高い資格です。

  1. CISSP(Certified Information Systems Security Professional)
  2. CEH(Certified Ethical Hacker)
  3. CISA(Certified Information Systems Auditor)
  4. CISM(Certified Information Security Manager)
  5. CompTIA Security+
  6. CCSP(Certified Cloud Security Professional)
  7. CRISC(Certified in Risk and Information Systems Control)

近年、雇用主は実務経験も非常に重視するようになっています。
そのため、エキスパートとしてDMARCの実装に関する実践経験を持っていることが重要です。
メール認証プロトコルの設定や監視が必要なプロジェクトに取り組み、DMARCレポートの分析やメール認証の問題解決の経験を積んでください。

これらの経験を得たら、履歴書に必ず記載し、採用担当者がひと目であなたのDMARC実務経験を認識できるよう、小見出しなどでわかりやすくアピールすることをおすすめします。
これにより、DMARCエキスパートとして他の候補者との差別化につながります。

まとめ

メールセキュリティにおけるDMARCの重要性は、決して見過ごすことはできません。
企業規模が大きくなるほど、求められるセキュリティレベルも高くなります。
DMARCのエキスパートになることは、メールドメインを保護しながら時間とコストを節約することにつながります。

嬉しいことに、PowerDMARCにはすでに世界中から集まったDMARCエキスパートのチームが存在し、何千もの組織のメールセキュリティ体制を改善するために日々尽力しています。
もしあなたがDMARCの導入を検討しているオンラインビジネスであれば、ぜひお問い合わせしてみてください。