なぜデータセキュリティがメールマーケティングにおいて重要なのか
著者: Editorial Team
翻訳: 岩瀨 彩江
この記事はPowerDMARCのブログ記事 Why Data Security is Crucial to Email Marketing の翻訳です。
Spelldataは、PowerDMARCの日本代理店です。
この記事は、PowerDMARCの許可を得て、翻訳しています。
著者
Dmytro Kudrenko
Stripoの創業者兼CEO
Dmytro Kudrenkoは、15年以上の業界経験と25年の起業家経験を持つ献身的なメールマーケティング愛好家です。
彼は定期的に、メールマーケティング、メールのインタラクティビティ、およびゲーミフィケーションに関するワークショップや講義を開催しています。
Dmytroの使命は、企業とその購読者にとってメールマーケティングの利便性と有用性を高めることです。
データセキュリティは、メールマーケティングを効果的に活用して顧客を獲得し、維持したい場合に対処すべき重要な問題です。
直面する可能性のあるデータセキュリティの脅威は、企業に深刻な財務的損失と評判リスクを引き起こす可能性があります。
データを保護できる主要な領域は、メールの送信方法と、将来のキャンペーンで使用するためのデータの収集および保存方法です。
この記事では、企業とその顧客が直面する主なデータセキュリティの脅威と、それらを克服するための効果的な戦略について学びます。
重要なポイント
- データセキュリティは、顧客の信頼を維持し、侵害に関連する財務リスクを最小限に抑えるために不可欠です。
- メール認証プロトコル(DKIM、SPF、DMARC)の実装は、メール通信のセキュリティを大幅に強化します。
- 強力なパスワードと暗号化は、保存されたデータを不正アクセスや漏洩の可能性から保護するために不可欠です。
- ユーザアクセスと不審な活動を定期的に監視することは、データの悪用や漏洩を防ぐのに役立ちます。
- メールキャンペーンで収集・使用する機密データを最小限に抑えることは、露出や悪用のリスクを減らします。
メールマーケティングにおけるデータセキュリティの重要性
ますます多くの企業が、評判と財務の安定性に大きな影響を与え得るさまざまなサイバー脅威に直面しています。
フィッシングからデータ損失に至るまで、メールはサイバー犯罪者にとって主要な標的です。
そのため、メールとデータの保護方法を知ることが極めて重要です。
IBMの「Cost of a Data Breach Report 2023」によると、2023年におけるデータ侵害の世界平均コストは445万ドルであり、過去3年間と比較して15%増加しています。
データ保護は、メールマーケティングを活用する企業にとって、顧客の信頼を維持するための課題でもあります。
パーソナライゼーションは効果的なメールマーケティングの重要なトレンドであり、そのためにはユーザデータが必要です。
顧客がデータを提供するためには、それが安全に保護されていると信頼できる必要があります。
さらに、メールがフィッシングメールのように見える場合、迷惑メールフィルタによって迷惑メールボックスに送られてしまい、メールマーケティングの効果が出ません。
サードパーティツールにとっても、クライアントおよびその購読者のデータを保護することが課題となります。
これらすべての理由から、メールマーケターは最適なメールセキュリティのベストプラクティスを適用する必要があります。
メールマーケティングにおけるデータ侵害の事例
私の経験では、当社およびクライアントにおいて、メールを通じて発生する最も一般的なデータセキュリティ脅威が4つあることを確認してきました(そして現在も確認し続けています)。
- フィッシング攻撃
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最も有名で、対策が極めて重要なケースがフィッシングメールです。
この攻撃では、ハッカーがあなたになりすましたメールを送り、正規のメールに見せかけて顧客に機密情報の提供など何らかの行動を取らせようとします。
Zscaler ThreatLabzチームによる「2024 Phishing Report」によると、フィッシング攻撃は前年と比較して2023年に58.2%増加しました。
生成AIツールの普及により、2023年にはフィッシング脅威の難易度が新たなレベルに達しています。 - インジェクション攻撃
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インジェクションも一般的な脅威のひとつです。
攻撃者はメール購読フォームの入力欄に悪意のあるスクリプトを仕込みます。
たとえば、「名前」欄に「20分で500ドル稼ぐ」というメッセージとリンクを入力します。
信頼されたサービスからのメールとして受信者に送られると、ユーザはそのリンクをクリックしてスクリプトを実行してしまい、攻撃者が管理画面にアクセスしたり、システムを改竄したり、データを取得できてしまいます。
インジェクション攻撃を避けるには、入力欄の値を慎重にチェックし、検証する必要があります。
サービスの人気に関係なく、ハッカーは攻撃を試みます。 - データ悪用
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もうひとつの問題は、攻撃者がメールからデータを盗み、それを使ってシステムをハッキングするケースです。
たとえば、連絡先の隠しID、キャッシュ情報、その他の個別データがメール内に含まれていると、それらを利用してシステムへアクセスされる可能性があります。
これを避けるためには、こうしたデータのメールへの使用を最小限にし、信頼性の高い保存を行うことが重要です。 - データ漏洩
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データ漏洩は、誰かがあなたの管理者アカウントを使って顧客にメールを送信したり、機密データをエクスポートしたりすることで発生します。
その結果、機密情報が失われたり、不正に利用されたりします。
これを防ぐためには、適切なデータアクセス制御、データ暗号化、定期的な監視が不可欠です。
このほかにも多くの脅威が存在し、データがどれほど容易に危険にさらされるかを理解することが重要です。 次に、データを保護するためのいくつかのベストプラクティスをご紹介します。
メールマーケティングにおけるデータセキュリティで重点を置くべき主要な領域
メールセキュリティを確保するためには、データを容易に保護できる4つの主要領域を把握し、自身がその保護の責任を負うことを理解する必要があります。
これらすべての領域において重要なのは、プロセスを整理するために何が必要か、問題を未然に防ぐためにどのように監視するか、そして継続的に見直す方法を理解することです。
では、一つずつ見ていきましょう。
1.どのようにメールを送信しますか?
購読者にメールを送信する際には、データ損失やサイバー犯罪者がメールを悪用する可能性を最小限に抑える必要があります。
以下は使用できる方法です。
- DKIM、SPF、DMARC、BIMIを実装する
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ビジネスドメインから送信されるメールを可能な限り安全にするために、SPF、DKIM、DMARCプロトコルのメール認証DNSレコードを追加できます。
これらのプロトコルは、メールの正当性および送信元の信頼性を検証するのに役立ちます。
追加の正当性確認の方法として、BIMIおよびGmailの青い認証チェックマークがあります。
BIMIを実装すると、以下のようにメールボックスで企業ロゴと青い認証マークを表示できます。
- メールバリデータを使用し、スパムトラップをチェックする
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メールバリデータは、メールアドレスが有効であり、正しくフォーマットされているかを確認します。
スパムトラップとは、スパマーを捕まえるためだけに作られたメールアドレスで、正規のやり取りには使用されません。
そのため、スパムトラップに送られたメールは望まれていない、または悪意のあるメールとみなされます。
メールバリデータを定期的に使用してメールリストを整理・維持することで、無効なアドレスを削除し、潜在的なスパムトラップを特定できます。 - フォールバック戦略を実装する
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フォールバック戦略は、メールデータのセキュリティを損なう可能性のある予期せぬ問題から守るためのものです。
安全でアクセス可能な場所にメールデータを定期的にバックアップしてください。
これにより、データ損失や破損が発生した場合でもメールを復元できます。 - 配信性向上のためにポストマスターと連携する
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ポストマスターは、メールのパフォーマンスを分析するために使用できるツールの一つです。
スパムスコア、IPやドメインの評判、配信エラーを判断するのに役立ちます。
Google、Yahoo、Outlookなど主要なメールクライアントのポストマスター情報を活用し、適切に運用できているか確認してください。
また、PowerDMARCダッシュボードでDMARCレポートやIPレピュテーションを確認し、メール配信性とパフォーマンスを分析することもできます。
これは、メール送信活動とメール認証プロセスを管理・監視するためのワンストップソリューションです。 - ドメインごとにバウンスを管理する
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受信者ドメインに基づいてバウンスメールを追跡し、スパムトラップや、評判を損なう可能性のある無効または悪意のあるアドレスへの送信を避けます。
高いバウンス率は、送信サーバの侵害やフィッシング攻撃など、セキュリティ問題を示すことがあります。 - 監視とレビュー
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これらすべての方法は、一度実装するだけでなく、継続的な監視のために使用することが重要です。
具体的には、メール認証レポートの確認、すべての指標の追跡、そしてDKIM、SPF、DMARCポリシーの更新内容のレビューを行う必要があります。
2.データをどのように保存しますか?
効果的なメールマーケティングを行うためには、購読者のデータを収集し、保存する必要があります。
適切なデータ保存の実践は、データをハッカーから保護するために極めて重要です。
以下は、データを安全に保存するためのヒントです。
- 強力なパスワードと暗号鍵を使用する
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メールアカウントおよびその中に含まれるデータへのアクセスを保護するために、パスワードは複雑で一意のものにし、定期的に更新してください。
また、暗号鍵は強力なものを使用し、安全に管理する必要があります。
これにより、不正アクセスやデータ漏洩を防ぎ、機密情報を保護できます。 - 安全なデータ保存ソリューションを実装する
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画像やその他のデータを保存する際は、自社のサービスを使用してください。
これは、スパム行為によりブロックされる可能性のあるサードパーティサービスを利用することで発生する問題を避けるためです。
間接的にあなたに害を及ぼす可能性のあるサービスとの差別化が重要です。
次のようなことが起こり得ます。
サードパーティの画像保存サービスを使用していて、そのサービスがスパマーに大量利用されスパム的なものになってしまうと、すべてのメールクライアントからブロックされ、あなたのメールも同時にブロックされてしまいます。
このため、Stripoで作成されるすべてのメールでは、すべてのリンクを自社ドメインで生成し、ブロック問題を回避し、セキュリティを向上させています。
自社IPを使用することもできますが、大量のデータがある場合は追加購入が必要となり、必ずしも合理的とは限りません。 - データを保存するサービスが安全で認証を取得していることを確認する
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サードパーティツールを使用する場合は、必要なセキュリティ標準に準拠していることを確認してください。
そうでないと、データが十分に保護されず、追加のリスクが生じます。
ハッカーはあらゆることを行う可能性があるため、そのリスクを最小限に抑えるには最高レベルのセキュリティが必要です。
利用するシステムを選ぶ際は、その企業が市場でどれだけ長く活動しているかにも注目すべきです。
登場して間もない小規模なシステムは、人気が高まるにつれてセキュリティ問題に直面することがよくあります。
これにより、深刻な侵害やシステム全体の再構築が必要となる可能性があり、企業全体の損失につながることもあります。
利用を検討するサービスが、以下のいずれかの要件を満たしていることを確認してください。
- 業界で認知されている必要な認証を取得している(例:データセキュリティ認証 SOC 2、国際セキュリティ標準 ISO/IEC 27001:2013、Googleの CASA アセスメント など)。
- すべてのプロセス(ドキュメント面・インフラ面の両方)が、最高レベルのセキュリティを確保するよう構成されていること。
- 問題発生時に備え、内部の行動プロトコルを扱う専門部署があり、顧客への通知体制が透明であること(たとえばStripoエディタでは、クライアントが作成したすべてのメールを手動でモデレートし、フィッシングメール作成の試行を追跡しています)。
- ホワイトハッカーコミュニティから安全だと認められていること。
- 監視とレビュー
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データ保存のセキュリティを維持するためには、アクセスログを定期的に監視し、不正アクセスの試行がないかシステムを確認することが必要です。
また、暗号化の標準を確認し、必要に応じて更新し、パスワードや暗号鍵も変更してください。
3.データへのアクセスをどのように組織し、管理しますか?
データセキュリティに影響を与える次の要素は、「誰が」「どのように」データへアクセスするかです。
これは、企業データだけでなく、顧客・ユーザ・購読者のデータにも当てはまります。
それらを保護するために、以下の点に注意してください。
- 多要素認証(MFA)の実装が非常に過小評価されてる
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多くの企業は、MFAを任意だと考えて使用していません。
しかし、経験上、MFAはセキュリティを大幅に向上させ、システムへの不正アクセスのリスクを減らします。 - ユーザアクセス制御の実装と定期的な見直しを行う
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誰にでも管理者権限を与えたり、データのエクスポートやインポートを許可することは、よくある誤りです。
機密情報へのアクセスは、業務に本当に必要な社員のみに限定すべきであり、理想的にはロールチェックリストとして文書化するべきです。
従業員がエクスポートされたデータベースへアクセスできる状態は避ける必要があります。
漏洩の多くは、データベースにアクセスできた不満を抱えた従業員がその機会を悪用したことが原因です。 - 不審な活動(エクスポート、インポート、トリガー、セグメントサイズ)を監視する
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データ漏洩を防ぐためには、ユーザの行動を定期的に監視し、アクセスパターンを分析する必要があります。
頻繁なトリガーの使用やユーザロールの変更など異常な活動が確認された場合、調査が必要な兆候かもしれません。
たとえば、大量のデータを定期的にエクスポートしている、あるいは退職した従業員がまだシステムにアクセスできるといった状況は潜在的な脅威を示します。 - シードアドレスを使用してデータ漏洩を検知することも有効です。
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シードアドレスとは、データが不適切に共有されたり漏洩した場合に追跡できるように作成した一意のメールアドレスです。
これらのアドレスに予期しないメールが届いた場合、データが外部に流出した可能性があり、侵害の特定と対処に役立ちます。 - 監視とレビュー
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機密データへのアクセスを適切に管理するためには、
- ユーザのアクセスパターンを監視し異常を検知すること
- エクスポート・インポート・トリガー発動などのイベントを追跡すること
- セグメントサイズの不一致を定期的にチェックすること
- MFAの有効性を確認すること
- ソースアドレスの不審な活動を監視すること
4.新しいメールキャンペーンでデータをどのように使用しますか?
メールマーケティングの基本ルールは、メールキャンペーンの効果を高めるために必要なユーザデータのみを収集・使用することです。
そのため、メールを準備する際は、安全なメールデザインのベストプラクティスに沿っているかを確認し、次の点を考慮してください。
- メールが転送されたり第三者と共有された場合に備えて、顧客の機密情報をリンクやパーソナライゼーションに含めないこと
- パーソナライゼーションに使用するデータは最小限にし、十分に保護する必要があります。
- 収集したすべての連絡先フィールドの値を検証し、値のインジェクションがないか確認すること
- また、検証なしに自動的にデータを処理しないようにしてください。
- 監視とレビュー
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個人情報の悪用やインジェクション脆弱性がないか、メールを定期的に監視することを忘れないでください。
特に、メールテンプレート、パーソナライゼーション設定、連絡先フィールドのペネトレーションテストに注意を払ってください。
まとめ
データセキュリティの確保は、継続的なプロセスであり、能動的なアプローチ、細部への注意、そして定期的な更新が求められます。
この記事で紹介した推奨事項に従うことで、リスクを最小限に抑え、自分と顧客のデータを不正アクセスから守ることができます。
新たな脅威を監視し、防御方法を強化し、信頼できるパートナーを選ぶことで、メールマーケティングの安全性を維持できます。