DMARC:あなたのMSPの防御戦略における欠けている要素
2024年8月23日
著者: Ahona Rudra
翻訳: 岩瀨 彩江
この記事はPowerDMARCのブログ記事 DMARC: The Missing Link in Your MSP’s Defense Strategy の翻訳です。
Spelldataは、PowerDMARCの日本代理店です。
この記事は、PowerDMARCの許可を得て、翻訳しています。
すべての企業は、自社のメールセキュリティを強固に保つ必要があります。
送信したメールがスパムフォルダに入ってしまうような事態を、どの企業も許容することはできません。
一見それほど深刻ではないように思えるかもしれませんが、会社からのたった一通のメールが見逃されるだけで、重大な結果を招く可能性があります。
メール認証プロトコルを使用することで、各メールの配信を手動で確認する手間を省くことができます。
サイバーセキュリティマネージドサービスプロバイダ(MSP)やマネージドセキュリティサービスプロバイダ(MSSP)は、専任のサポートチームによる専門的な支援とともに、信じられないほどのコストで一流のソリューションに簡単にアクセスできるようにしています。
これにより、MSPは、中小企業(SME)であれ多国籍企業(MNC)であれ、フィッシング攻撃や顧客データの窃取といった情報セキュリティ上の脅威によって日々企業が受けているプレッシャーを軽減し、リソース面での制約を減らします。
また、MSPは、予測可能なサブスクリプション型の料金モデルを採用することで、企業が経営コストをより効率的に管理できるよう支援します。
さらに、複雑な問題を代わりに処理してくれる専門家へのアクセスも容易に提供します。
近年では、メール防御戦略にDMARCを実装していない場合、企業がコンプライアンス上の問題に直面するケースが増えています。
これは、GoogleおよびYahooによるメール認証要件の更新によるものです。
現在では、大量メール送信者に対してDMARCの導入が義務化されています。
したがって、本記事では、多くのMSP(マネージドサービスプロバイダ)の防御戦略に欠けている要素と、DMARCがどのようにその空白を適切に埋めることができるのかを学びます。
重要なポイント
- DMARCを含む強固なメールセキュリティは、通信障害の防止や企業の信頼性保護に不可欠であり、現在ではGoogleおよびYahooの更新により、大量送信者に対して義務化されています。
- DMARCは、SPFおよびDKIMと組み合わせることでメールを認証し、配信率を向上させ、ドメインのなりすましを減らし、顧客からの信頼を強化します。
- MSP/MSSPは、DMARCを提供することで競争上の優位性を得て、自社サービスの価値を高めることができ、さらにクライアントに対して導入やポリシー運用の支援を行うことができます。
- MSP向けのDMARCソリューションには、マルチテナント対応のダッシュボード、自動アラート、ホワイトラベル機能、包括的なトレーニングなどの機能があり、深い技術的専門知識がなくても管理を容易にします。
- DMARCレポートは、メールトラフィックの監視、脅威の特定、セキュリティ戦略の改善に役立つ実用的なインサイトを提供し、最終的には完全運用(p=reject)へと導きます。
DMARCと現在のセキュリティ環境におけるその重要性
DMARCは、メール認証プロトコルです。
DMARCのDNSレコードは、ドメインネームシステム(DNS)上に公開する必要があるテキスト(TXT)レコードです。
DMARCは、送信者ポリシーフレームワーク(SPF)およびドメインキー識別メール(DKIM)と連携して動作し、堅牢で追加的なメールセキュリティ層として機能します。
PowerDMARCは、MSP、サービスプロバイダ、そして複数のドメインやクライアントを扱う企業向けに設計された究極のDMARCソフトウェアソリューションプロバイダです。
当社のマネージドDMARCサービスを提供することで、企業はメールの配信率向上とドメインセキュリティの強化を実現できます。
DMARCは実際に何を行うのか?
DMARCは、SPFおよび/またはDKIMと連携して送信メールを認証し、送信者が受信者に対して、そのメッセージがドメインの設定ポリシーに基づいて承認されているかどうかを通知できるようにします。
メールが送信されると、DMARCは受信サーバがSPFおよびDKIMの整合性を確認することで、そのメッセージが本当に送信元として主張されているドメインから送られたものかどうかを検証できるようにします。
この検証に合格するか、不合格になるかのいずれかです。
DMARCに失敗した場合、それは未承認の送信者、ブランドなりすましなどの悪意のある意図、またはドメインスプーフィングといった潜在的な問題を示唆しています。
一方、DMARCを通過したメッセージは正当なものと確認され、スパムフィルタにかかわらず、受信者の受信トレイに安全に届く可能性が大幅に高まります。
これら3つのメール認証プロトコルは連携して、送信元の認可、メッセージの改竄防止、および認証に失敗したメッセージに対するポリシーの適用を実現します。
さらに、DMARCはレポート機能もサポートしています。
DMARCレポートは、システム内でメールがどのように処理されているかに関する詳細な情報を提供します。
これにより、ユーザは自社ドメインから送信されるメールトラフィックや、その正当性を監視することができます。
サイバーセキュリティにおけるDMARCの重要性
サイバーセキュリティの状況は、毎年新たな脅威が登場する中で、非常に急速に進化しています。
詐欺、フィッシング攻撃、そしてサイバー脅威の増加に伴い、メールドメインの保護は日を追うごとに難しくなっています。
DMARCプロトコルは、あらゆる企業のセキュリティスイートにおける重要な要素として登場しており、業界のリーダーたちはその導入拡大を強く推進しています。
DMARCを導入することで、企業はメールの配信率が確実に向上し、なりすましの発生が減少することを実証的に確認しています。
これにより、顧客がブランドに対して抱く信頼も強化されています。
PowerDMARCチームは現在、DMARCを用いて5万以上のドメインを保護しており、その中で次のような傾向が見られます。
クライアントは、メールの拒否やスパム申告がほとんどない、成功率の高いメールマーケティングキャンペーンを実現しています。
また、ドメイン名のなりすまし、フィッシング、そして直接的なドメインスプーフィング攻撃の大幅な減少も実現しています。
MSPが顧客にDMARCを提供する必要がある理由
ITサービスのマネージドプロバイダとして、あなたは一般的に、さまざまなニーズを持つ複数のクライアントと協働しており、セキュリティ管理は複雑な業務となっています。
さらに、人工知能(AI)の登場により、詐欺師たちはそれをいち早く活用し、サイバー攻撃を高度化させています。
- これらの絶えず増加するサイバー攻撃からユーザを守るためには、適切な戦略を用いてセキュリティを更新する必要があります。
DMARCを他のセキュリティツールと併用することで、クライアントはメールインフラを保護することができます。 - DMARCはまた、競争の激しい市場において差別化の要素にもなります。
独自のセールスポイントとして、DMARCを導入することで、あなたのビジネスは市場の中で際立ち、競合他社に対して優位性を確立できます。
さらに、それはブランドのマーケティング効果を高める重要な付加価値として機能し、単なる基本的なソリューション以上のものを求める顧客を惹きつけ、維持するための強力な販売要素となります。 - DMARCおよびその他のメール認証サービスは、付加価値のある提案です。
これにより、あなたのマネージドサービスは、包括的なメールセキュリティサービスを提供する存在として他社と一線を画すことができます。 - また、これはプロバイダにとって新たな収益源を生み出す機会にもなります。
DMARCをプレミアムなアドオンとして、または完全なセキュリティバンドルの一部として提供することで、利益率の高いサービス展開が可能になります。 - MSPは、クライアントに情報セキュリティについて教育し、DMARC導入プロセスを支援する重要な役割を担っています。
初期のモニタリング段階(p=none)から完全運用段階(p=reject)まで導き、クライアントの評判やメール配信率を向上させます。
PowerDMARCのようなMSP専用DMARCプラットフォームは、複数のドメインを容易に管理できるよう設計されています。
これらのプラットフォームは、DMARCポリシーの生成やDNSレコードの更新を簡素化します。
MSPが顧客向けにDMARCを簡単に導入する方法
専門のDMARCソリューションプロバイダと提携することで、MSPは導入プロセスを効率化できます。
これにより、顧客のオンボーディング、課金、全体的なクライアント管理などが自動化され、手作業の負担や複雑さを大幅に軽減できます。
以下は、DMARCを導入するための主なステップです。
- ステップ1:パートナーになる
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MSPは、当社のパートナーシッププログラムに参加することで、DMARCをはじめとする高度なメール認証プロトコルを自社のサービススイートに追加できます。
これには、SPF、DKIM、MTA-STS、TLS-RPT、BIMIなどが含まれます。 - ステップ2:自社およびクライアントのドメインを登録する
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直感的に操作できるセットアップウィザードを使用して、プラットフォーム上にドメインを登録します。
MSPのスーパ管理者として、チームの管理者を追加し、ユーザや管理者の権限を設定することができます。 - ステップ3:SPFおよびDKIMを設定する
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DNS上にSPFおよびDKIMの認証基準を作成・公開します。
正当なメールがブロックされないよう、SPFおよびDKIMの設定をテストします。
当社のプラットフォームには、数秒でレコードを作成・確認できる自動化ツールが用意されています。 - ステップ4:DMARCレコードを作成する
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必須のDMARCタグについて理解します。
これらのタグは、メール受信者がDMARCチェックを行う際の指針となり、認証に失敗したメッセージに対して適切な対応を取ることができるようにします。
主要なDMARCタグには、v=、p=、および推奨タグのrua=があります。
その後、登録済みドメインに対して、当社のジェネレータツールを使用してDMARCレコードを自動的に作成します。 - ステップ5:DMARCレコードを追加する
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DMARCレコードをDNSに追加します。
これにより、登録されたすべてのドメインでプロトコルが有効になります。 - ステップ6:DMARCポリシーをアップグレードする
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最初は、DMARCポリシーを「none」に設定してメールの活動を監視します。
この段階では、メール配信には影響しません。
その後、当社のホスト型DMARCを有効化し、DMARCポリシーを適用して、未承認のメール送信元を自動的に拒否できるようにします。
成功へ導くための追加特典
当社のマネージドサービスプロバイダ向けパートナープログラムは、単にDMARCを提供するだけではありません。
現場での成功を支援するために、次のような多くの特典を提供しています。
- カスタムSlack Webhookおよびメールアラート
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しきい値やフォレンジック(分析)インシデントを指定でき、疑わしいメールの挙動、管理者・ユーザの活動を受信トレイまたはSlackから直接追跡できます。
これにより、プラットフォームへ頻繁にログインする必要が最小限になります。 - 完全なプラットフォームのホワイトラベリング
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プラットフォーム全体を自社ブランド仕様に再設計できます。
カスタムカラー、テーマ、ブランドロゴ、ホワイトラベル版レポートおよびホストサービス、さらに独自のURLまで設定可能です。 - 無料の認定資格
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業界の専門家としての地位を確立するための認定資格を無料で取得できます。
これには、詳細なトレーニング、知識共有セッション、そして明確で安心できるサービス提供を支える24時間体制の技術サポートが含まれます。 - 再ブランド化されたマーケティング資料
- 自社ブランドおよびこれらのサービス導入の重要性を広めるための資料として活用できます。
- クライアント向け15日間の無料トライアル提供のサポート
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有料プランに関する不安を解消し、サービス価値を効果的に実感してもらうための体験期間を提供できます。
また、包括的なオンボーディングチェックリストによる支援も行われます。 - メール認証管理の大部分をアウトソーシング可能
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プロトコルに関する深い技術知識がなくても、高度なセキュリティサービスを提供できます。
MSPは専門家による支援を受けながら、クライアントのメールセキュリティ強化に注力できます。
DMARC管理のベストプラクティス
DMARCを用いたメール管理は複雑です。
組織は、最適なDMARC管理戦略を選択するために、適切な手順を踏む必要があります。
ここでは、DMARCの導入をスムーズかつ手間なく進めるためのベストプラクティスを紹介します。
- 適切なDMARCポリシーを選択する
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DMARCには、
none、quarantine、rejectの3つのポリシーがあります。
最初の「p=none」は、DMARCの導入初期に適用され、メール配信に影響を与えずにメール活動を監視できます。
最終的な目標は、強固な保護を実現する「p=reject」への移行です。
このポリシーは、受信サーバに対して未認証のメールをブロックするよう指示し、フィッシングやスプーフィングメールがクライアントの受信トレイに届くのを防ぎます。
より厳格なポリシーへ移行する際には、メール運用およびドメイン活動を継続的に監視し、適切に調整を行うことが重要です。 - DMARCレポートを受け取る
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DMARCレポートは、メールドメインの活動に関するデータやインサイトを提供します。
これには、認証に失敗したメールの数や、配信されなかったメール、警告されたメールなどの情報が含まれます。
DMARCのRUAレポートは、導入全体の効果を評価するために役立つデータを提供します。
DMARCの未来
DMARCは、現在だけでなく、将来のサイバーセキュリティ戦略においても重要な位置を占めています。
MSPの防御戦略が最新であっても、DMARCが含まれていなければ、それは不完全です。
このメール認証プロトコルは、メールセキュリティを強化するだけでなく、配信率を向上させます。
さらに、ドメイン所有者をビジネスメール詐欺やフィッシング攻撃から保護します。
したがって、もしあなたがMSPとして、DMARCやその他のメール/ドメイン認証ソリューションを自社のサービススイートに追加しようとお考えであれば、ぜひ当社にご相談ください。
デモを予約するか、パートナーシップ担当者までお気軽にお問い合わせください。