サイバーセキュリティにおけるAI
AIで脅威を先読み防御
2024年6月8日
著者: Ahona Rudra
翻訳: 岩瀨 彩江
この記事はPowerDMARCのブログ記事 AI in Cybersecurity の翻訳です。
Spelldataは、PowerDMARCの日本代理店です。
この記事は、PowerDMARCの許可を得て、翻訳しています。
企業の攻撃対象領域は非常に広大であり、しかもその規模はますます拡大しています。
リスクを定量化するためには、数千億にも及ぶ時間とともに変化するシグナルを効果的に処理する必要があります。
シグナルの量は企業の規模によって異なります。
その結果、サイバーセキュリティの態勢を分析し改善することは、もはや人間の手に負える作業ではなくなっています。
サイバーセキュリティは常に進化し続ける分野であり、最新の技術がデータを安全に保つための戦いに絶えず取り入れられています。
これが、サイバーセキュリティにAIが必要とされる理由です。
この前例のない課題に対抗するために、PowerDMARCはAIベースのメールセキュリティおよびDMARCソリューションを使用して、情報セキュリティチームを支援しています。
私たちは、侵害リスクを低減し、メールのセキュリティ態勢をより効率的かつ効果的に改善します。
近年、人工知能(AI)は、人間の情報セキュリティチームの業務を強化するための重要なツールとなっています。
AIは、サイバーセキュリティの専門家が侵害リスクを減らし、セキュリティ態勢を改善するために活用できる、必要不可欠な分析および脅威識別を提供します。
なぜなら、人間だけではもはや変化し続ける企業の攻撃対象領域を十分に保護することができないからです。
セキュリティの分野において、AIはリスクを特定し優先順位をつけ、ネットワーク上のマルウェアを迅速に検出し、インシデント対応を主導し、侵入が発生する前に検知することができます。
しかし、攻撃者もまた機械学習のような技術を活用しています。
たとえば、機械学習ベースのメール詐欺では、大規模なデータセットで訓練されたアルゴリズムを使用して、正規の通信スタイルを模倣した説得力のあるフィッシングメールを生成し、受信者から機密情報を引き出そうとします。
このような脅威を常に上回るためには、多層防御が不可欠です。
重要なポイント
- AIや機械学習(ML)の複雑化および攻撃者による活用の増加により、強固な防御を実現するためには、サイバーセキュリティにおける高度なAI統合が必要不可欠となっています。
- AIは、自動化、異常検知、予測分析を通じて脅威検出を強化し、より迅速で能動的な対応を可能にします。
- PowerDMARCのThreat Intelligenceや自動化プラットフォームのようなAI駆動型ツールは、DMARCなどのセキュリティプロトコルの導入および管理を効率化します。
- 効果的なサイバーセキュリティには、AI技術と人間の専門知識の組み合わせに加え、フィッシングのような脅威を見分けるためのユーザ教育、そして多要素認証(MFA)のようなセキュリティ実践が欠かせません。
- 継続的な監視、進化するサイバー脅威に関する最新情報の把握、そして分析のためのAI活用は、強固なセキュリティ態勢を維持するうえで極めて重要です。
サイバーセキュリティにおけるAIの役割
人工知能(AI)システムは、AI音声生成や音声合成(Text-to-Speech)の進歩などにより、視覚認識、音声認識、意思決定、言語間の翻訳といった、本来は人間の知能を必要とするタスクを機械が実行できるようにします。
AIの一分野である機械学習は、コンピュータが例から学習し、予測を行うことを可能にします。
一方で、サイバー犯罪者はこの仕組みを悪用し、正規のメールを分析するようにボットをプログラムし、署名、件名、返信スタイルを模倣して、詐欺メールを本物のように見せかけます。
サイバーセキュリティにおけるAIの応用には、次のようなものがあります。
- 侵入検知
- AIはネットワーク攻撃、マルウェア感染、その他のサイバー脅威を検知することができます。
- サイバー分析
- AIは、組織のサイバーセキュリティ態勢におけるパターンや異常を検出するために、ビッグデータ分析にも活用されています。
- 安全なソフトウェア開発
- AIを活用したセキュリティツールは、メール攻撃などによって悪用される可能性のある脆弱性を検出するために、コードを分析することができます。
ソフトウェア開発会社のSimpalmによると、「AIは、開発者にリアルタイムでコードが安全に閉じられているかどうかのフィードバックを提供することで、より安全なソフトウェアの作成を支援することができます」と述べています。
サイバーセキュリティの専門家たちは、すでにAIベースのソリューションを活用しています。
しかし、サイバー攻撃の増加に伴い、攻撃に対応するためには、より高度なAIツールや技術の必要性を感じています。
機械学習を利用したメール詐欺のような進化する脅威に先んじる最良の方法は、サイバーセキュリティの新たな動向を常に把握し、多層防御戦略を採用することです。
サイバーセキュリティにおけるAIの未来
人工知能(AI)は、私たちの生活や働き方を一変させる可能性を持っており、それはサイバー脅威からの防御方法にも及びます。
AIは、これまで以上に正確にリスクを理解し、精度を損なうことなく迅速に意思決定を行うことを可能にします。
また、これまでにないスピードで新たな攻撃を検知することを可能にします。
さらに、人間が介入するのを待たずに、どのように対策を講じるのが最適かを判断することもできます。
一方で、文章作成やコンテンツ生成(例:技術的なホワイトペーパーや映画『ジュノ』の分析エッセイ)のような分野では、AI検出ツールを使用して、そのコンテンツが完全に自動生成されたものかどうかを確認することもできます。
このようなAI検出ツールをコンテンツ評価プロセスに統合することで、品質管理の全体的な精度を高め、コンテンツが独自性と関連性の基準を満たしていることを保証できます。
AIはどのようにサイバー攻撃からの防御に役立つのか?
AIは人間に取って代わることはできませんが、サイバー攻撃との戦いにおいて重要な役割を果たします。
AIと人間の専門知識、そしてユーザ教育を組み合わせた多層的なアプローチが鍵となります。
以下は、AIが次のサイバー攻撃からの防御にどのように役立っているかの例です。
- 1.脅威検知の自動化
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AIがサイバー攻撃からの防御に役立つ最初の方法は、脅威検知の自動化です。
機械学習アルゴリズムは、セキュリティ侵害を示す可能性のあるユーザ行動やシステム性能の異常を検出します。高度なメールセキュリティソリューションもまた、機械学習を活用してメールデータを分析し、不正行為を示す異常を検出します。
これにより、送信者を認証しメッセージの完全性を確認するSPF、DKIM、DMARCといった標準プロトコルを補完します。 - 2.機械学習
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機械学習は、アルゴリズムを使用して大量のデータを分析し、データ内で見つかったパターンに基づいて予測を行います。
これは、AIシステムがこれまで知られていなかった、または予期しない攻撃を認識できるように訓練するために使用されます。
また、行動分析を活用して、フィッシング攻撃の可能性を示す異常な行動パターンを特定することもできます。 - 3.予測分析
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予測分析を活用することで、将来発生しうる脅威を予測することができます。
たとえば、どの従業員アカウントが侵害される可能性が最も高いか、あるいは特定の日にどのようなタイプの攻撃が発生しやすいかを予測することができます。
このような分析は、組織が自社のセキュリティ上の脆弱箇所を特定し、実際に被害が発生する前にそれを修正するのに役立ちます。 - 4.異常検知
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AIシステムは、ネットワークトラフィックやその他のデータストリーム内のパターンを分析し、想定される挙動と実際の挙動との類似点や相違点を比較することで、異常を検出することもできます。
このような監視は、悪意ある行動に発展する前の異常な振る舞いを検知するのに役立ちます。たとえば、権限のない機密情報へのアクセスを試みている場合などです。
また、システムログやユーザの活動を監視し、サイバーセキュリティ上の脅威を示す可能性のある不審な行動を検出することも重要です。 - 5.セキュリティの自動化
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ビジネスにおけるAIは、サイバー攻撃から守るために新しいセキュリティポリシーやプロトコルを自動化し、実施することでサイバーセキュリティを強化することができます。
AIは、なりすまし(Spoofing)攻撃、フィッシングなどの主要なサイバー攻撃からの防御にも役立ちます。
サイバーセキュリティ対策を自動化することで、次のような効果が得られます。- 時間と労力の節約
- ヒューマンエラーの削減
- 100%の精度でコスト効果の高いソリューションを提供
- 即座に効果が実感できる結果を提供
- 6.セキュリティオーケストレーション
- AIは、現在多くの時間とリソースを消費している日常的なタスクを自動化することができます。 たとえば、異常な行動の検出や、ネットワーク上の不審なユーザの特定などです。
- 7.人間の能力の強化
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AIが大規模なデータ分析や自動化を担う一方で、人間の専門知識は依然として極めて重要です。
多くの組織では、AIツールを効果的に統合し、社内のセキュリティポリシーと整合させるための指針を提供するAIコンサルタントを導入しています。
また、ユーザ教育も重要な要素です。従業員は、フィッシング攻撃を見分ける方法、不審なリンクをクリックしたり未知の送信元からの添付ファイルをダウンロードしたりしないこと、そして潜在的な脅威を報告することを訓練されなければなりません。
さらに、多要素認証(MFA)の導入は重要なセキュリティ層を追加し、機密システムやデータへのアクセスを許可する前に、パスワード、セキュリティトークン、生体認証など複数の認証手段を要求します。
加えて、業界の出版物や脅威インテリジェンスレポートを通じて最新のサイバーセキュリティ動向を把握することも不可欠です。
AI駆動型DMARCソリューションでメール認証を次のレベルへ
真のAIを導入することで、ネットワーク管理がより容易になります。
エラーを最小限に抑えながら、ネットワークの設定、トラブルシューティング、防御を迅速に行うことができます。
そして、人に影響が及ぶ前に問題を解決できるようになれば、まさに次のレベルの体験を提供していると言えるでしょう。
- DMARC脅威インテリジェンス
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PowerDMARCのDMARC Threat Intelligence(TI)エンジンは、プロトコルの迅速な設定を支援するとともに、潜在的なリスクを特定します。
このエンジンは、メールの送受信プロセス全体において、有害な活動を監視・特定・分析します。
DMARC Threat Intelligence(TI)エンジンは、企業に対して実行可能で、タイムリーかつ関連性の高いインサイトを提供します。 - AI駆動型レコード生成および検索ツール
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PowerToolboxには、AIを活用したDNSレコード生成および検索ツールが搭載されており、即時に結果を提供します。
認証の導入を始めたいが、どこから手をつけてよいかわからない場合でも、これらの初心者向けツールを使えば、ボタンをクリックするだけでSPF、DKIM、DMARCレコードを作成できます。
すでにプロトコルを設定済みの場合は、検索ツールを使用してレコードの有効性を照合することもできます。 - AIによって駆動する自動化プラットフォーム
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PowerDMARCプラットフォーム(DMARCレポート解析ダッシュボード)は完全に自動化されており、AI駆動のインターフェースを通じて、IPの位置情報、組織、メール送信元を追跡する機能を備えています。
このプラットフォームは、DMARCレポートをリアルタイムで解析し、データを整理された形式で構成します。
なりすまし攻撃、フィッシング攻撃、その他のメール詐欺から組織を保護するために、このプラットフォームではDMARCデータを可視化し、不審なIPを特定して対策を講じることができます。
まとめ
サイバーセキュリティは複雑な課題ですが、特に機械学習を利用したメール詐欺のような高度な脅威に対しては、AIが強力な防御ツールとなります。
AIは、サイバーセキュリティチームが人間と機械の強力な協働体制を構築することを可能にし、知識を拡大し、生活を豊かにし、サイバーセキュリティをその総和を超える形で推進します。
しかし、テクノロジーだけでは十分ではありません。
脅威を先取りするためには、高度なAIソリューションと人間の専門知識を組み合わせ、多要素認証(MFA)のような強固なセキュリティ実践、継続的な監視、そして進化する脅威を認識し対応するためのユーザ教育を組み合わせた多層的なアプローチが必要です。
信頼できるパートナーと共に行動することで、脅威を先取りし、リアルタイムのインテリジェンスとセキュリティを手に入れることができます。
PowerDMARCの特許取得済みDMARC Threat Intelligence(TI)エンジンは、24時間体制で監視するあなたの哨戒役です。
AIベースの脅威検出ソリューションは、高度なアルゴリズムを用いて、各IPが登録されているグローバルブロックリストや送信者ホスト名のメール評価を迅速に特定します。
これらすべては、人間には到達できない精度のレベルで実行されます。
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