メール到達率の改善イメージ図

メール到達率を高めるためのベストプラクティスと受信トレイに届きやすくする工夫

2025年2月18日
著者: Milena Baghdasaryan
翻訳: 古川 綾乃

この記事はPowerDMARCのブログ記事 Email Deliverability Best Practices: Boost Inbox Rates の翻訳です。
Spelldataは、PowerDMARCの日本代理店です。
この記事は、PowerDMARCの許可を得て、翻訳しています。


主なポイント

  1. 到達率は、メールマーケティングの成否を左右する重要な入口となる指標です。受信トレイに届かなければ、開封もクリックも収益も得られません。
  2. 強力な到達率は、送信者の評判、認証プロトコル(SPF、DKIM、DMARC)、およびリストの衛生状態に依存しています。
  3. 到達率が95%以上なら運用が健全で、90%を下回る場合は早急な改善が必要です。
  4. 関連性が高く価値のあるコンテンツを一定のボリュームで送信し、リストを定期的にクリーンアップすることで、迷惑メールフィルタを回避しましょう。
  5. メールマーケティングにおける長期的な成功は、到達率の監視、評判の向上、および進化する基準への適応にかかっています。

もし、メールキャンペーンを送信したのに多くのユーザがそれを見ていない場合、到達率の問題が起きている可能性があります。
しかし多くの場合、その理由や解決策を把握していないケースが多いのが実情です。
この記事では、メール到達率に関する基本的な知識と、配信成功率を向上させてより良いユーザとのやり取りを実現するための実証済みの方法を紹介します。

メール到達率とは?

メール到達率とは、送信したメールのうち、インターネットサービスプロバイダ(ISP) に受け入れられた割合を示す指標です。
メール到達とは、送信したすべてのメールのうち、正常に送信されたメールの割合を示します。
メール到達率は、メッセージがサーバから受信者の受信トレイに届くまでの全過程をカバーします。

「配信」と「到達率」の違い

「配信」と「到達率」は同じ意味で使われることがよくありますが、実際には異なります。
配信とは、メールが受信者のメールサーバに届いたことを意味します。
バウンスされず、ブロックもされなかった、つまり、技術的には通過したということです。

しかし、それが受信トレイに届いたというわけではありません。
迷惑メールフォルダやプロモーションタブに振り分けられてしまう可能性があり、そこは多くの人が見ません。
一方、到達率とは、メールがサーバに受け入れられた後、実際にどこに届いたかを指します。

メッセージが受信トレイに表示されるか、それとも別の場所に埋もれてしまうかを決定するものです。
そこには多くの要素が関わります。送信者の評判、ドメインが認証されているか(SPF、DKIM、DMARC)、ユーザがメールにどのように反応しているか、件名に使われている言葉などです。
イメージしやすく言えば、配信は「玄関先まで届けること」、到達率は「部屋の中まで届けること」です。

なぜメールマーケティングにおいてメール到達率が重要なのか

メール到達率は、投資対効果(ROI)にとって極めて重要です。
高いメール到達率は、送信したメッセージが意図した受信者に見られ、反応される可能性が高いことを意味します。
メール到達率に影響を受ける主な指標には、以下のものがあります。

開封率およびクリック率
メールが受信トレイに届けば、受信者がそれを開封して反応する可能性が高くなります。
コンバージョン率および収益
可視性が高くなると、コンバージョンの機会が増える傾向があります。
キャンペーンの効果
メール到達率が高いほど、メール戦略全体のパフォーマンスが向上します。

一方で、到達率が低いと開封率やエンゲージメント、ブランドの評判に深刻な影響を与える可能性があります。
メールが受信トレイに届かないと、以下のような結果を招く可能性があります。

メール到達率に影響を与える主な要因

メール到達率に影響を与える要因はいくつかあります。

送信者の評判
過去の送信習慣や、受信者によるエンゲージメントの履歴は、インターネットサービスプロバイダ(ISP)があなたのメールをどう扱うかに大きく関係します。
認証プロトコル
SPF、DKIM、DMARC の実装によって、自分が正当な送信者であることを証明し、メールのなりすましを防ぐことができます。
メールコンテンツの品質
メールの内容が受信者にとって関連性があり、正確で価値のあるものであるほど、送信者の評判やエンゲージメントが向上し、メール到達率の改善につながります。
リストの衛生状態
購読者リストが常に最新であり、かつメールにエンゲージしている状態であることを確認しましょう。

一般的なメール到達率の課題

以下は、メールマーケティングキャンペーンにおいて送信者が直面する一般的なメール到達率の課題です。

スパム判定とコンテンツによるフィルタリング

スパムフィルタは、複雑なアルゴリズムを使用して、メールの内容、送信者情報、受信者のエンゲージメントを分析します。
これらのフィルタに引っかからないためには、次の点に注意が必要です。

バウンス率と未達メールの処理

バウンスとは、メールが配信できなかったことを意味します。バウンスには2種類あります。

ハードバウンス
無効なアドレスや存在しないドメインが原因で、恒久的に配信に失敗するケースです。
これらのアドレスは速やかにリストから削除する必要があります。
ソフトバウンス
受信トレイがいっぱいである、またはサーバの一時的な問題など、一時的な理由による配信失敗です。
ソフトバウンスは監視し、継続的にバウンスするアドレスは削除しましょう。

バウンス率を下げるには、以下の対策が有効です。

ブロックリストと送信者の評判への影響

ブロックリストに登録されると、送信者の評判やメールの到達率に悪影響を及ぼします。
ブロックリストとは、スパムメールの送信や疑わしいメール活動を行ったIPアドレスやドメインのデータベースです。
以下の対応をすることで、ブロックリストを回避できます。

送信者の評判とドメインの信頼性

送信者の評判とは、インターネットサービスプロバイダがあなたの送信習慣に基づいて割り当てるスコアです。
良い評判を維持するためには、以下の点を心がけましょう。

認証の問題

メール認証は、メールのなりすましやフィッシングを防ぎ、メールの到達率を向上させるために役立ちます。 以下の主要な認証プロトコルを導入しましょう。

Sender Policy Framework(SPF)
SPFはDNSのTXTレコードで設定されるメール認証の仕組みです。
ドメインからの送信を許可されたIPアドレスやサーバの一覧を定義することで、正当な送信者かどうかを判定します。
メールが送信されると、送信サーバの IP アドレス情報などがヘッダーに付与されます。
これらの情報はSPFレコードとしてDNSに保存されます(正確性を高めるためには、信頼性の高いSPFジェネレーターを利用してレコードを作成することを推奨します。)。 受信側のメールサーバは、SPFレコードに基づいて、送信元IPアドレスの正当性を検証します。
この検証により、メールがSPF通過(pass)または失敗(fail)と判定され、なりすましなどの不正使用を回避できます。
DomainKeys Identified Mail(DKIM)
DKIMは、メールに暗号化された署名を付加する標準的な認証プロトコルです。
受信者のサーバが公開鍵を用いてそのDKIM署名を検証することで、メールが送信途中で改竄されていないかを確認できます。
これにより、メールの正当性と信頼性を検証できます。
Domain-based Message Authentication, Reporting, and Conformance(DMARC)
DMARC は、認証に失敗したメールの処理方針を受信側に指示し、ドメイン所有者へ結果レポートを提供する仕組みです。

メール到達率を改善するためのベストプラクティス

以下は、メールの到達率を向上させるためのベストプラクティスです。

SPF、DKIM、DMARCによるメールの認証を行う

DMARC・SPF・DKIM などの認証プロトコルは、送信者の正当性を検証し、なりすまし防止のため連携して動作します。
これらのプロトコルを丁寧かつ正確に実装すれば、メールの到達率だけでなく、フィッシング攻撃からの安全性や保護の向上にもつながります。

メールリストをクリーンでエンゲージされた状態に保つ

すでに述べたように、過去 6〜12 か月間反応のない購読者は、定期的に除外することを推奨します。
リストを常に最新の状態に保つために、この作業は定期的に行いましょう。
購入したメールリストは絶対に使用しないでください。 購入したリストには無効なものや、低関心のアドレスが多く含まれ、効果がないだけでなく、到達率を悪化させる可能性があります。

代わりに、効果的なマーケティング戦略(例:購読者に無料の電子書籍を提供する、無料デモを提供するなど)を活用して、自分自身でリストを構築しましょう。
新しい購読者にはダブルオプインを使用し、無関係な参加者や関心のない加入者を避けましょう。
リスト取得後は、エンゲージメントや関心度に応じてセグメント化し、適切なターゲットに関連性の高いコンテンツを配信しましょう。

高品質で関連性のあるコンテンツを作成する

有益で信頼性の高いコンテンツを提供し、可能な限りパーソナライズすることを心がけましょう。
そのためには、ターゲットオーディエンスの好み、行動、属性を理解することが重要です。

売り込み色が強すぎる内容や、過度に宣伝的なトーンは避けましょう。
これは、購読者を遠ざけたり、商品・サービスの売り込みに必死だと思われてしまう可能性があります。

送信頻度とタイミングを最適化する

購読者が負担に感じるほど大量のメールを送らないよう注意しましょう。
オーディエンスの行動に基づいてエンゲージメントを最大化できるよう、異なる送信タイミングをテストしてみてください。
送信パターンの一貫性は、受信者や ISP に予測しやすい印象を与え、エンゲージメント向上にもつながります。

モバイル対応のメールデザインを心がける

さまざまな画面サイズやデバイスに適応できるレスポンシブデザインのテンプレートを使用しましょう。 また、モバイルでの表示に最適なように、件名は30〜40文字以内に簡潔にまとめるとよいです。 モバイルで読みやすいよう、1カラムのレイアウトを採用するのが望ましく、ユーザビリティが向上します。

スパムトリガーワードや書式の誤りを避ける

件名や本文で全て大文字のテキストを使用したり、スパムトリガーワードや過剰な句読点を使用するのは避けてください。
テキストと画像の比率は、最低でもテキスト60%を維持するようにしましょう。
また、画像がブロックされても内容が伝わるよう、代替テキスト(alt-text)を設定しておきましょう。

送信者の評判を監視し、改善する

デジタルツールやメール到達率のツールを使用して、自分の評判を追跡しましょう。
問題が見つかった場合は、できるだけ早く対処し、良好な送信者スコアを維持してください。

信頼性が高く、到達率に強みのあるESP(Email Service Provider)を選びましょう。

高い到達率を提供できるESPを選びましょう。
ESPの分析・レポート機能を活用し、リスト管理、セグメント化、自動化などの内蔵機能を使って運用を最適化しましょう。

まとめ

メール到達率の良し悪しは、単に1通のメールが受信者の受信トレイに届くかどうかや、短期的なマーケティングROIだけではありません。
これは、購読者との長期的な関係性、ドメインやビジネスの信頼性、さらにキャンペーンの長期的な ROI に直結する重要な指標です。

メール到達率が長期的なビジネスの成功にとっていかに重要であるかを理解すれば、常にメールの内容や送信方法、全体的な健全性を監視・テストし続けるモチベーションになるはずです。
また、変化するトレンドや基準、規制に柔軟に対応し、常に魅力的で関連性のある発信を続けることも重要です。

よくある質問

メールの到達率に最も影響を与えるのは何ですか?
いくつかの重要な要素が、メールが受信トレイに届くか、迷惑メールに振り分けられるかを決めます。
送信者の評判はその中でも特に重要です。バウンス、スパム報告、送信の一貫性がない場合、受信者側での信頼が失われます。
また、リストの品質も大きな要素です。古くなったリストや購入したリストに送信すると、信頼性がすぐに損なわれます。
さらに、コンテンツやエンゲージメントも影響します。開封、クリック、反応が少ないと、プラットフォーム側でそのメールが価値のないものと判断されることがあります。
メールリストはどのくらいの頻度でクリーンアップすべきですか?
最適な結果を得るためには、3〜6か月ごとにリストをクリーンアップするのが理想的です。
非アクティブなアドレス、バウンスを生じさせるアドレス、無効なアドレスを削除することで、到達率の改善と法令遵守の維持が可能になります。
良好な送信者スコアとは?
送信者スコアは0〜100の範囲で評価されます。
80以上のスコアであれば、迷惑メールのリスクが最小限であり、優れた到達率が得られます。
70を下回ると、バウンスやスパム報告が増え、到達率に支障が出るリスクが高まります。