サービスとしてのメールなりすまし

サービスとしてのメールなりすまし

2024年6月4日
著者: Ahona Rudra
翻訳: 岩瀨 彩江

この記事はPowerDMARCのブログ記事 Email spoofing-as-a-service の翻訳です。
Spelldataは、PowerDMARCの日本代理店です。
この記事は、PowerDMARCの許可を得て、翻訳しています。


今日の相互接続された世界において、電子メールは企業、政府、そして個人にとって不可欠なコミュニケーション手段です。
しかし、「サービスとしてのメールなりすまし」の台頭は、電子メール通信の安全性と完全性に関する懸念の高まりを浮き彫りにしています。
メールなりすましとは、送信者アドレスを偽装し、あたかも他人が送ったかのように見せかけてメールを送信する行為のことです。

この手法は、フィッシング詐欺やマルウェアの配布など、悪意のある目的でよく使用されます。
「サービスとしてのメールなりすまし」は、この手法をさらに進化させ、誰でも簡単かつ匿名で偽装メールを送信できるようにします。

重要なポイント

  1. メールなりすましとは、送信者アドレスを偽装してメールを送信することであり、フィッシングやマルウェアの拡散を容易にする可能性があります。
  2. 「サービスとしてのメールなりすまし」は、利用者が少額の料金で、簡単かつ匿名で偽装メールを送信できるようにします。
  3. この種のなりすましは、攻撃者が信頼できる組織を装うことを可能にし、データ漏えいや金銭的損失を引き起こす重大なリスクをもたらします。
  4. DMARC、SPF、DKIMといった技術的対策は、組織がメールの正当性を検証し、なりすましのリスクを軽減するのに役立ちます。
  5. 利用者への教育や厳格なメールポリシーの実施は、メールなりすましへの対抗と全体的なセキュリティ向上のために不可欠です。

サービスとしてのメールなりすましの仕組み

サービスとしてのメールなりすましを提供する事業者は、通常、利用者が偽装メールを作成して送信できるwebベースのインターフェースやAPIを提供します。
このサービスは、受信者の受信トレイに送信者として表示される「From」メールアドレスを偽造することで動作します。
偽装メールを送信するには、利用者が送信者として表示させたいメールアドレス、受信者のメールアドレス、件名、およびメッセージの内容を入力します。

その後、サービスはメールを生成して利用者に代わって送信します。
受信者は受信トレイで偽装された送信者のメールアドレスを目にし、そのメールが他人によって送信されたかのように見えます。

なぜ危険なのか?

「サービスとしてのメールなりすまし」の概念は単純です。少額の料金を支払うと、任意のアドレスからメールを送信できるツールにアクセスできるようになります。
サービス提供者がなりすましの技術的な詳細を処理するため、利用者は送信したいメールの送信者アドレスを入力するだけで済みます。
それはほとんどGmailやOutlookからメールを送るのと同じですが、自分の個人アカウントや自分のIPアドレスを使う代わりに他人のものを使い、メッセージはまるで [email protected] から送信されたかのように受信者の受信トレイに表示されます。

サービスとしてのメールなりすましのリスク

「サービスとしてのメールなりすまし」は、個人、企業、そして政府にとって重大なリスクをもたらします。
この仕組みは、攻撃者が信頼できる人物や組織になりすますことを可能にし、受信者をだまして悪意のあるリンクをクリックさせたり、機密情報を提供させたりすることを容易にします。
その結果、データ漏えい、金銭的損失、そして信用の失墜につながる可能性があります。

さらに、「サービスとしてのメールなりすまし」は、ビジネスメール詐欺(BEC)など、より高度な攻撃にも利用される可能性があります。
BEC詐欺とは、主に企業を標的とする電子メール詐欺の一種であり、経営幹部、取引先、またはパートナーになりすますことが一般的です。
攻撃者は、信頼できる送信元からのメールのように見せかけて、送金やその他の機密情報を要求するメールを送ります。
この種の詐欺は、これまでに企業に数十億ドルもの損失を与えてきました。

サービスとしてのメールなりすましの防止

「サービスとしてのメールなりすまし」を防止するには、技術的対策と非技術的対策の両方を組み合わせる必要があります。
最も効果的な技術的対策の一つは、ドメインベースのメッセージ認証、報告、および適合(DMARC)プロトコルの使用です。
DMARCは、送信者のメールアドレスが主張されているドメインと一致しているかを検証することで、メールなりすましを防止します。

DMARCに加えて、組織は送信者ポリシーフレームワーク(SPF)やドメインキー識別メール(DKIM)を実装して、送信者を認証することもできます。
これらのプロトコルは追加のセキュリティ層を提供し、攻撃者がメールを偽装することをより困難にします。
非技術的対策としては、利用者教育と意識向上があります。

従業員や利用者に対して、メールなりすましのリスクやフィッシングメールの見分け方について教育することは、攻撃の成功を防ぐ助けになります。
また、多要素認証の導入、強力なパスワードの使用、定期的なパスワード変更を義務付けるメールポリシーを策定・実施することも重要です。

As-a-Service型攻撃の恐怖の高まり

「As-a-Service攻撃」とは、ハッカーが標的組織が提供するサービスを利用してデータにアクセスするタイプの攻撃です。
最も一般的なAs-a-Service型攻撃は、サプライチェーン攻撃とソフトウェア・アズ・ア・サービス(SaaS)攻撃の2つのカテゴリに分類されます。
サプライチェーン攻撃では、攻撃者は侵害されたベンダーや第三者の供給業者を利用して、標的企業のネットワークにアクセスします。

SaaS攻撃では、攻撃者は標的企業が提供する正規のSaaSアプリケーションを悪用して、そのネットワークに侵入します。
As-a-Service型のサイバー攻撃は、さまざまな方法で実行される可能性があります。
最も一般的な手法は、マルウェアに感染させることです。

このマルウェアの中には、利用者が知らないうちにダウンロードしてしまうものもあり、ハッカーがデータにアクセスできるようになります。
別の方法としては、組織の会計ソフトウェアにハッキングし、そこから口座資金を盗み出すものがあります。
さらに別の手法として、FacebookやX(旧Twitter)などのソーシャルメディアアプリや、Microsoft Outlookのようなメールクライアントなど、第三者アプリケーションの脆弱性を悪用するものもあります。
また、巧妙に作成された偽の大量メールを、偽装されたアドレスから送信する方法も用いられます。

結論

「サービスとしてのメールなりすまし」は、個人、企業、そして政府にとってますます深刻な懸念事項となっています。
攻撃者はこのサービスを利用して、信頼できる人物や組織になりすまし、データ漏えい、金銭的損失、そして信用の失墜を引き起こす可能性があります。
「サービスとしてのメールなりすまし」を防ぐには、DMARC、SPF、DKIMといったプロトコルの活用、利用者教育と意識向上、そしてメールポリシーの策定など、技術的対策と非技術的対策の組み合わせが必要です。
これらの対策を講じることで、組織はメールなりすましを防止し、この行為に関連するリスクから自らを守ることができます。

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