サイバー犯罪とは何か:種類、影響、そして防止
2024年4月10日
著者: Ahona Rudra
翻訳: 岩瀨 彩江
この記事はPowerDMARCのブログ記事 What is Cybercrime? Types, Impact, and Prevention の翻訳です。
Spelldataは、PowerDMARCの日本代理店です。
この記事は、PowerDMARCの許可を得て、翻訳しています。
多国籍企業を停止状態に追い込む高度なハッキング手口から、あなたや私のようなインターネット利用者を欺く小規模なフィッシング詐欺まで、すべてがサイバー犯罪の範囲に含まれます。
サイバー犯罪は、サイバー空間で行われる幅広い悪意ある活動を指す包括的な用語です。
近年、サイバー犯罪は発見が難しく、阻止することはさらに困難になっています。
しかし、それは私たちが絶望するという意味ではありません。
幸いにも、オンラインで自分自身を守るための効果的な技術やテクノロジーが存在します。
2028年までに、サイバー犯罪に関連するコストは13.82兆ドルに達する可能性があります。
これは、予防策の導入が遅れている組織にとって好ましいニュースではありません。
もしこの脅威を抑え込まなければ、状況は本当に混乱したものになりかねません。
重要なポイント
- サイバー犯罪は、デジタル手段によって行われる幅広い悪意ある活動を包含します。
- サイバー犯罪による金銭的損失は2028年までに13.82兆ドルに達すると予測されており、予防策の重要性が強調されています。
- サイバー犯罪者はしばしばダークウェブ上で匿名で活動するため、追跡や逮捕が困難です。
- DMARC、データバックアップ、そしてセキュリティ意識向上トレーニングといった技術を活用することで、サイバー犯罪に関連するリスクを大幅に低減できます。
- ますます高度化するサイバー脅威に対抗するためには、サイバーセキュリティの専門家との協力が不可欠です。
サイバー犯罪とは何か?
サイバー犯罪とは、デジタル手段を用いて行われる犯罪行為を指す用語です。
例えば、他人のコンピュータへ不正にアクセスする行為はサイバー犯罪と見なされます。
サイバー犯罪は、ネットワークシステム、メールセキュリティ、そしてオンライン上の個人情報を危険にさらす可能性があります。
また、企業や政府に影響を与える大規模なデータ侵害が、テクノロジーを利用して行われる場合もあります。
インターネットは、人々が簡単に身を隠せる大きくて暗い場所のようなものです。
これは、オンラインで違法行為を行う人々にとって都合のよい隠れ場所となっています。
サイバー犯罪者は、匿名で違法行為を行うためにインターネットを利用します。
そのため、彼らを見つけたり阻止したりすることはますます困難になっています。
サイバー犯罪の種類
サイバー犯罪はさまざまな形で現れ、それぞれに独自の特徴と動機があります。
金融詐欺
金融詐欺とは、金銭的な動機で行われる、または最終的な目的として金銭的利益を持つ違法行為やサイバー犯罪の一連の行為を指します。
金融詐欺には、フィッシング詐欺、クレジットカード詐欺、アカウント乗っ取り、ランサムウェア、ビジネスメール詐欺などが含まれます。
これらの詐欺の多くは、人々を騙して個人情報を渡させる手口を利用しています。
組織は現在、偽のメールを通じて開始されるこれらのサイバー犯罪の一部に対抗するために DMARC を使用しています。
アイデンティティ盗用
オンラインでのアイデンティティ盗用は深刻な問題です。
サイバー犯罪者は、あなたの個人情報を奪うために多くの手口を持っています。
社会保障番号、クレジットカード情報、パスワードといった機微な個人識別情報(PII)が、彼らが通常狙う対象です。
こうした情報を入手されると、あなたの身元を盗まれ、あなたの名義でサイバー犯罪を行われる可能性があります。
嫌がらせやサイバーストーキング
ソーシャルメディアの普及により、サイバーストーキングや嫌がらせはサイバー犯罪の一般的な形の一つとなりました。
人々はソーシャルプラットフォームを通じて追跡されたり脅されたりし、その結果、精神的な安定や幸福が大きく乱されることがあります。
これらのオンライン攻撃は、操作される危険や深刻な精神的苦痛を引き起こし、感情的・心理的な害を与える可能性があります。
ほとんどのプラットフォームやソーシャルメディアのフォーラムには、オンラインであなたを嫌がらせしている可能性のある人物を報告するためのオプションがあります。
しかし、それで解決しない場合は、法執行機関に相談することが望ましいです。
Web3 技術法に精通した専門家は、企業がサイバーセキュリティやデータ保護規則に準拠するための支援も行うことができ、違反や法的リスクの回避に役立ちます。
ハッキング
ハッキングとは、誰かが許可なくコンピュータシステム、ネットワーク、デジタルアカウント、電子機器に侵入したり、データへアクセスしたりすることを指します。
サイバー犯罪者が誰かをハッキングする理由は複数あり、データや認証情報の盗難、スパイ行為、あるいは単に迷惑をかけることが目的の場合もあります。
違法または悪意のある目的で行われるハッキングはサイバー犯罪と見なされます。
しかし、ハッキングが常に悪意あるものとは限りません。
エシカルハッカー(倫理的ハッカー)は、既存システムのセキュリティ脆弱性を特定するためにその技能を活用します。
彼らは企業のデジタルインフラにおける悪用可能な領域を検出するため、セキュリティ企業によって雇われています。
DDoS攻撃
DDoS(分散型サービス拒否)攻撃は、サイバー犯罪の一種です。
これらの攻撃は、過剰なトラフィックを送りつけることで Webサイトやネットワークを過負荷状態にします。
このサイバー犯罪の動機は、金銭的利益であったり、大規模な混乱や被害を引き起こすことそのものであったりします。
攻撃が長時間続くと、深刻なサービス障害が発生し、オンラインプラットフォームに依存する企業が停止状態に追い込まれる可能性があります。
その結果、莫大な金銭的損失につながります。
マルウェア
最後にマルウェアがあります。
マルウェアとは、コンピュータ、デバイス、ネットワーク、サーバを破損させたり障害を引き起こしたりする有害なソフトウェアのことです。
ウイルス、ワーム、トロイの木馬、スパイウェア、ランサムウェアは、いずれもマルウェアの種類です。
マルウェアは自らを複製して拡散することさえあります。
サイバー犯罪者はどのように活動するのか?
サイバー犯罪者は、テクノロジーを活用して活動します。
必ずしも全員ではありませんが、近年のサイバー犯罪者の多くは、インターネット資源を悪用する方法を理解している高度な技術者です。
多くは通常のウェブ上で活動しますが、ダークウェブはサイバー犯罪者の拠点となっています。
この隠れた領域は、匿名で行動することを可能にし、ほとんどデジタル痕跡を残しません。
以下では、サイバー犯罪者が一般的にどのように活動するのかをいくつか紹介します。
フィッシングとスプーフィング
これらの犯罪者が活動する最も一般的な手口の一つが、フィッシングとスプーフィングです。
フィッシングとは、サイバー犯罪者が個人や組織などの正当な存在になりすまして被害者をだます行為です。
一方、スプーフィングとは、信頼されている送信元になりすますために、ドメイン名・Webサイト・メールアドレスなどを偽造するサイバー犯罪です。
これらの手口はいずれも、攻撃者に機微な情報を漏えいさせる可能性があります。
そのため、常に注意が必要です。
ランサムウェア
ランサムウェアでは、被害者のデータ、ファイル、またはオペレーティングシステムがロックされ、攻撃者は復号と引き換えに金銭を要求します。
これらの攻撃により、病院や政府などの組織、そしてあなたや私のような個人が多額の損失を被る可能性があります。
身代金を支払っても、ファイルへのアクセスが戻らないことは珍しくありません。
ソーシャルエンジニアリング
ソーシャルエンジニアリングは、心理的な操作を通じて人々から個人情報を引き出す手口です。
これはしばしばフィッシングなど、他のサイバー攻撃と組み合わせて利用されます。
これは、「人為的なミスが最大のセキュリティ上の脆弱性である」ことを示しています。
ゼロデイ攻撃
ゼロデイ攻撃は、ソフトウェアやハードウェアに存在する未発見の脆弱性を悪用します。
これらは問題が発見され修正されるまで防ぐことができないため、非常に危険です。
この種の攻撃を回避する唯一の方法は、事前の予防措置を積極的に講じることです。
一度攻撃が仕掛けられてしまうと、脆弱性が未知であるため、防ぐ手段はほとんどありません。
サイバー犯罪の影響
サイバー犯罪の影響は、私たちが考えているよりもはるかに大きいです。
日々、人々や企業は数百万ドル規模の損失を被っています。
AI や自動化の導入により、その影響はこれまで以上に深刻な問題となっています。
サイバー犯罪は次のような影響を引き起こす可能性があります。
- 金銭的損害
- 評判の失墜
- 顧客の喪失
- データの消失
- 情報や身元の盗用
- 精神的・心理的苦痛
- 法的な結果
サイバー犯罪の例:実際の事件とニュース
いくつかの実際に起きたサイバー犯罪事件を見ていきましょう。
1.REvil による Kaseya ランサムウェア強奪事件
2021年の独立記念日週末、REvil ランサムウェアグループは IT 管理ソフトウェアを提供する Kaseya を標的に攻撃を仕掛けました。
この攻撃では、脆弱性のあった Kaseya の VSA サーバが悪用され、下流の 800〜1500 社、そして Kaseya の直接顧客 60 社が影響を受けました。
攻撃者は 7,000 万ドルの身代金を要求したとされています。
この事件は、サプライチェーンの脆弱性に伴うリスク、そして単一点の侵害から広範囲に混乱が生じうることを浮き彫りにしました。
2.Equifax データ侵害
2017年、最大級の信用情報機関である Equifax は大規模なデータ侵害を受け、およそ 1億4700万人の消費者の個人情報が流出しました。
この侵害は、同社の Web アプリケーションに存在していた既知の脆弱性を修正しなかったことが原因で発生しました。
Equifax のデータ侵害は、同社による機微な消費者データの取り扱いに対して広範な非難と監視を招きました。
また、多数の訴訟、規制当局による罰金、そして信用情報業界に対する消費者の信頼への長期的な損害をもたらしました。
Equifax Inc. は、少なくとも 5億7500万ドル(最大 7億ドルともいわれる)の補償金を支払うことに合意しました。
3.SolarWinds サプライチェーン攻撃
2020年末、IT 管理ソフトウェアの大手プロバイダーである SolarWinds が高度なサプライチェーン攻撃の標的となりました。
サイバー犯罪者は SolarWinds のソフトウェア更新メカニズムを侵害し、世界中の数千の組織にマルウェアを配布しました。
SolarWinds への攻撃により、政府機関、テクノロジー企業、その他の組織内の機密データへ不正アクセスが発生しました。
この事件は、ソフトウェアサプライチェーンの脆弱性と、広範囲に及ぶサイバー諜報活動が起こりうる可能性を改めて明らかにしました。
サイバー犯罪の防止:防御力を高めるための推奨事項
サイバー犯罪を防ぐには、防御を強化するための情報と積極的な対策が必要です。
サイバー攻撃の経路について学び、リモート監視ツールのような予防策を慎重に計画・実施することで、自分自身を守ることができます。
ここでは、サイバー犯罪のリスクを軽減するために実証済みの方法について紹介します。
メールセキュリティ技術
メールはサイバー犯罪者に狙われやすく、攻撃の発信源として非常に一般的な手段です。
暗号化、スパムフィルター、メール認証プロトコルなどの技術を利用することは、保護のために極めて重要です。
これらの対策により、悪意あるメールを防ぎ、メール内容を第三者の目から守ることができます。
PowerDMARC では、誰でも簡単に DMARC を導入できるよう、メールセキュリティをシンプルにしています。
当社のホステッドソリューションを利用することで、時間とコストの両方を節約でき、総合的なドメインセキュリティを実現するためのさまざまなツールや機能も利用できます。
セキュリティ意識向上トレーニング
人的ミスはサイバー攻撃が成功する主な原因です。
トレーニングプログラムは、ユーザーにフィッシングメールや悪意ある添付ファイルなどの脅威を見抜き、避ける方法を教えます。
このような教育はセキュリティ意識の高い文化を育み、サイバー脅威に対する防御力を強化します。
データのバックアップと復旧
サイバー攻撃は、二度と取り戻せない重要なデータの消失につながることがあります。
定期的にデータをバックアップしておけば、攻撃後でも失われた情報をすばやく復元できます。
これは、業務の中断リスクや重要なビジネス情報の損失を減らすことにつながります。
バックアップを行うことは、サイバー犯罪に対して強固に備えるための重要なステップです。
さらに強力な保護のため、一部の企業は「真正なイミュータビリティ(改ざん不可性)」を備えたシステムを導入し始めており、攻撃者であっても重要データを変更・削除できないようにしています。
サイバー防御のための AI と ML
AI(人工知能)や ML(機械学習)といった新興技術は、データを素早く分析し、攻撃パターンを検知し、即座に対応することでサイバー脅威と戦う助けになります。
エンタープライズ向け AI エージェントはその一例で、大規模なデータ分析を支援し、複雑なシステム全体でリアルタイムの不正検知を行うことができます。
最後に
サイバー犯罪は年々変化し、より複雑になり続けているため、私たちも常に防御を進化させ、強化していく必要があります。
テクノロジーが高度になるにつれて、サイバー犯罪を行う犯罪者もその手口を巧妙化させています。
しかし、差し迫った危険について学ぶ「まずは認識する」という姿勢を持ち、サイバーセキュリティのベストプラクティスに従い、専門家(セキュリティの専門家や企業)と協力することで、サイバー犯罪に伴うリスクを大幅に低減することができます。