メール到達性を高めるための実践ガイド
著者: Yunes Tarada
翻訳: 東條 百々朱
この記事はPowerDMARCのブログ記事 How to Improve Email Deliverability: Step-by-Step Guide の翻訳です。
Spelldataは、PowerDMARCの国内正規代理店です。
この記事は、PowerDMARCの許可を得て、翻訳しています。
主なポイント
- 送信者レピュテーションの低下は、メールが迷惑メールに振り分けられる主な原因の1つです。
主要な指標をモニタリングし、クリーンなメールリストを維持することが重要です。 - 認証プロトコル(SPF、DKIM、DMARC)が設定されていない場合、メールボックスプロバイダによってメールが拒否されたり、不審なメールとして判定されたりする可能性があります。
- 迷惑メール判定につながりやすい表現の多用、すべて大文字のテキスト、過剰な句読点、テキストが少なく画像が多すぎる構成、不審なリンク、不適切なHTMLコードなどは、迷惑メールフィルタによる評価に悪影響を与える可能性があります。
メール到達性とは、送信したメールが迷惑メールフォルダに振り分けられたりブロックされたりすることなく、受信者の受信トレイへどの程度正常に届くかを示すものです。
メールマーケティング、トランザクションメール、顧客へのアウトリーチに依存している企業にとって、メール到達性は収益、エンゲージメント、ブランドレピュテーションに直接影響します。
魅力的なコンテンツを用意し、大規模なメールリストを構築していても、受信トレイ到達率が低ければ、ビジネス機会やリソースを失うだけでなく、送信者レピュテーションを損なう可能性があります。
メール到達性を改善するには、メール認証、リスト管理、コンテンツの最適化、継続的なモニタリングを組み合わせて取り組む必要があります。
このガイドでは、メール送信環境を強化し、受信トレイ到達率を向上させるための8つの実践的な手順を紹介します。
メール到達性を改善する方法
到達性の改善には、技術設定、送信者レピュテーションの管理、受信者のエンゲージメントをバランスよく組み合わせた取り組みが必要です。
以下の各手順を組み合わせることで、メールボックスプロバイダから信頼されやすいメール送信環境を構築できます。
ステップ1:ドメインを認証する
メール認証を設定することで、正規の送信元であることを確認できるようになり、サイバー犯罪者によるドメインのスプーフィング対策にもつながります。
適切な認証が設定されていない場合、メールボックスプロバイダは、そのドメインから送信されたとされるメールが正規のものかどうかを判断しにくくなります。
メール認証では、主に以下の3つのプロトコルが使用されます。
- SPF(Sender Policy Framework)
- SPFは、どのメールサーバがドメインに代わってメールを送信できるかを指定します。
これにより、許可されていない送信元がドメインを使用するリスクを軽減できます。 - DKIM(DomainKeys Identified Mail)
- DKIMはメールヘッダに電子署名を付与し、メールが送信中に改竄されていないことを受信側で確認できるようにします。
- DMARC(Domain-based Message Authentication, Reporting & Conformance)
- DMARCは、SPFまたはDKIMの認証結果とFromドメインのアライメントを確認し、認証に失敗したメールをどのように処理するかをドメイン所有者が指定できるようにします。
また、メール認証の状況を確認するためのレポートも提供します。
SPF、DKIM、DMARCがDNSに正しく設定されていることを確認してください。
大量のメールを送信する前に、オンラインの検証ツールを使用して、SPF、DKIM、DMARCの設定やアライメントに問題がないか確認することを推奨します。
適切なメール認証を設定することで、Gmail、Outlook、Yahooなどの主要なメールボックスプロバイダが送信元の正当性を判断しやすくなります。
ステップ2:クリーンなメールリストを維持する
高いバウンス率、迷惑メール報告率、低いエンゲージメントは、メールリストや送信運用に問題がある可能性を示します。
定期的にメールリストを整理し、以下のようなアドレスを削除または見直してください。
- 存在しないメールアドレスによるハードバウンス
- 配信停止済みのユーザ
- 6~12か月間エンゲージメントのない非アクティブな購読者
- スパムトラップの可能性があるアドレス
- 必要に応じて見直す
info@やadmin@などの役割ベースのアドレス - 重複したアドレスや形式に誤りのあるメールアドレス
偽のアドレスや入力ミスのあるアドレスがリストへ追加されるのを防ぐため、ダブルオプトインを導入することも有効です。
登録後にメールアドレスを確認してもらうことで、購読者が実際にメールの受信を希望していることを確認でき、迷惑メール報告のリスクも軽減できます。
また、ハードバウンスしたアドレスや配信停止済みのアドレスを今後のキャンペーンから自動的に除外するSuppression Listを設定してください。
これにより、同じアドレスへの配信失敗を繰り返すことを防ぎ、送信者レピュテーションを保護できます。
ステップ3:迷惑メール判定につながりやすいコンテンツを避ける
メールの内容や構成も、迷惑メールフィルタによる評価に影響します。
現在のメールボックスプロバイダは、件名、本文、リンク、HTML構造など、さまざまな要素を確認してメールの振り分け先を判断しています。
以下の点に注意してください。
- 過剰な句読点(
!!!)、すべて大文字の件名、「100% free」「guaranteed results」など、誤解を招く過度な宣伝表現を避けてください。 - テキストと画像のバランスを適切に保ってください。
画像だけで構成されたメールは、迷惑メールフィルタによる評価に悪影響を与える可能性があります。 - リンクは必要なものに絞り、信頼できるURLを使用してください。
リンク先を分かりにくくするURL短縮サービスの使用には注意が必要です。 - HTMLコードはシンプルかつ適切に記述し、モバイル端末でも正しく表示されるようにしてください。
壊れたHTMLコードは、メールの表示や評価に悪影響を与える可能性があります。 - 法令や各メールサービスの要件に対応し、迷惑メール報告を減らすため、マーケティングメールには分かりやすい配信停止方法を用意してください。
キャンペーンを送信する前に迷惑メールチェックツールを利用し、問題がないか確認することも有効です。
また、送信者名、Fromアドレス、メールデザインに一貫性を持たせることで、受信者が送信元を認識しやすくなります。
ステップ4:送信者レピュテーションをモニタリングする
送信者レピュテーションとは、過去のメール送信実績などをもとに、メールボックスプロバイダが送信元の信頼性を評価する仕組みです。
送信者レピュテーションが低下すると、メールが迷惑メールフォルダに振り分けられたり、拒否されたりする可能性が高くなります。
レピュテーションには、バウンス率、迷惑メール報告率、送信量の変化、エンゲージメントなどが影響します。
1回の不適切なキャンペーンによって、それまで積み重ねてきた送信実績に悪影響が及ぶ場合もあります。
送信者レピュテーションを維持するには、以下を実施してください。
- Google Postmaster Tools、Microsoft SNDS、Sender Score、Talos Intelligenceなどを利用し、ドメインやIPアドレスの状態を定期的に確認してください。
- バウンス率、迷惑メール報告率、エンゲージメントの傾向を継続的にモニタリングしてください。
- 大量送信やトランザクションメールなど、性質の異なるメールを分離したい場合は、専用IPアドレスの利用を検討してください。
- レピュテーションに関する警告や迷惑メール報告の増加を確認した場合は、原因を調査し、速やかに送信方法を見直してください。
レピュテーションが低下している場合は、送信量を抑え、まずエンゲージメントの高い購読者を中心にメールを送信することを検討してください。
反応の少ない大規模なリストへ送り続けるよりも、エンゲージメントの高い受信者へ適切なメールを送信する方が、レピュテーションの回復につながりやすくなります。
ステップ5:送信頻度と送信量を最適化する
送信量が急激に増減したり、不規則な送信が続いたりすると、メールボックスプロバイダによる評価に影響する可能性があります。
予測しやすく安定した送信パターンを維持することが重要です。
以下の点を意識してください。
- 新しいドメインやIPアドレスを使用する場合は、送信量を段階的に増やしてください。
まずエンゲージメントの高い購読者を対象に少量から開始し、数週間かけて徐々に増やします。 - ニュースレターやキャンペーンでは、一貫した送信スケジュールを維持してください。
- エンゲージメントに応じて受信者をセグメント化し、アクティブな購読者には適切な頻度で送信し、反応の低い購読者への送信は減らしてください。
- 過去のデータを分析し、受信者が反応しやすい時間帯を確認してください。
- 大規模なリストへ一度に大量送信するのではなく、必要に応じて送信を分散し、急激な送信量の増加を避けてください。
ステップ6:メールエンゲージメントを改善する
開封、クリック、返信などのエンゲージメントは、受信者がメールに関心を持っているかを判断する際の参考情報になります。
継続的に良好なエンゲージメントが得られているメールは、送信者レピュテーションの維持にもつながります。
以下の方法でエンゲージメントの向上を図ってください。
- 購読者の関心、行動、属性に応じて、件名やコンテンツをパーソナライズしてください。
- セグメンテーションを活用し、受信者のニーズに合った内容を送信してください。
- A/Bテストを使用して、件名、プレビューテキスト、CTAなどを比較してください。
- 受信者のタイムゾーンや過去の反応を考慮し、適切な時間帯に送信してください。
- 6~12か月間反応のない購読者は、再エンゲージメントキャンペーンを行ったうえで、必要に応じてリストから除外してください。
- 返信を受け付けられるメールの場合は、その反応も確認してください。
返信などの直接的なやり取りは、良好なエンゲージメントの一つとして評価される可能性があります。
単純な送信量だけを増やすのではなく、メールを必要としている受信者へ関連性の高い情報を届けることが重要です。
ステップ7:到達性に関する指標を追跡・分析する
継続的にモニタリングすることで、メール到達性の問題を早期に発見し、影響が広がる前に対応できます。
以下の指標を確認してください。
- 受信トレイ到達率
- 送信したメールのうち、迷惑メールフォルダではなく受信トレイへ届いた割合です。
95%以上を一つの目安として確認してください。 - バウンス率
- ハードバウンスとソフトバウンスを区別して確認します。
バウンスが増加した場合は、メールリストや送信環境を見直してください。 - 開封率とクリック率
- トラッキング技術の制限による影響を受ける場合がありますが、エンゲージメントの傾向を把握する参考になります。
- 迷惑メール報告率
- メールを迷惑メールとして報告した受信者の割合です。
急激な増加がないか継続的に確認してください。 - 認証成功率
- SPF、DKIM、DMARCが継続して正常に機能しているか確認してください。
月ごと、またはキャンペーンごとにパフォーマンスを確認し、変化の傾向を把握することを推奨します。
異なるセグメント、送信時間、コンテンツタイプを比較し、どの方法がより良い結果につながっているか分析してください。
その結果に応じて、送信頻度、セグメンテーション、コンテンツ戦略を調整します。
メール到達性の改善には、継続的な見直しが必要です。
ステップ8:送信前にテストする
メールが受信トレイへ届かない原因を特定する方法の一つが、キャンペーンを送信する前に受信トレイ到達テストを実施することです。
PowerDMARCのメール到達性テスターでは、Gmail、Outlook、Yahoo Mail、iCloud、AWS Mail、Zoho Mailなどのテスト用メールボックスへメッセージを送信し、それぞれでどこへ振り分けられたかを確認できます。
受信トレイ、迷惑メール、プロモーションなどの振り分け状況を確認することで、プロバイダごとの問題を把握しやすくなります。
また、同じテスト内でSPF、DKIM、DMARCも確認できるため、メール認証上の問題と到達結果をまとめて確認できます。
送信前に問題を把握したい場合は、メール到達性テスターを使用して確認してください。
避けるべき一般的なミス
経験豊富なメールマーケターでも、メール到達性に悪影響を与える運用をしてしまうことがあります。
特に、以下の点には注意してください。
- メールリストを購入またはレンタルする
- 購入したリストには、無効なアドレス、スパムトラップ、メール受信に同意していないユーザなどが含まれている可能性があります。
メール到達性を悪化させるだけでなく、法令上の問題につながる場合もあります。 - SPF、DKIM、DMARCの設定を怠る
- 認証を設定していない場合、ドメインがスプーフィングに悪用されるリスクが高まり、送信元の信頼性を確認しにくくなります。
- メールにリンクや画像を詰め込みすぎる
- 過剰なリンクや画像中心のコンテンツは、迷惑メールフィルタによる評価に影響する可能性があります。
- 送信頻度が高すぎる、または長期間送信した後に突然大量送信する
- 不規則な送信は、受信者のエンゲージメントや送信者レピュテーションへ悪影響を与える可能性があります。
- 配信停止要求を無視する
- 配信停止を希望したユーザへ送信を続けると、迷惑メール報告につながるだけでなく、適用される法令に抵触する可能性があります。
- 送信前のテストを省略する
- コンテンツ、認証、受信トレイへの振り分け状況を確認せずにキャンペーンを送信すると、事前に防げる問題を見逃す可能性があります。
まとめ
メール到達性を改善するには、メール認証、リスト品質、コンテンツの最適化、送信方法、継続的なモニタリングに取り組む必要があります。
今回紹介した8つの手順を実践することで、送信者レピュテーションを維持し、受信トレイへメールを届けやすくするための基盤を構築できます。
まずは、SPF、DKIM、DMARCを使用してドメインを適切に認証してください。
これらのプロトコルは、メールセキュリティとメール到達性を支える重要な仕組みです。
そのうえで、クリーンなメールリストの維持、関連性の高いコンテンツの作成、送信前のテスト、各種指標のモニタリングを継続してください。
PowerDMARCは、自動化された設定管理、リアルタイムモニタリング、分かりやすいレポート機能を通じて、メール認証の管理を簡素化します。
メールドメインを保護しながら、メール到達性や認証状況を継続的に管理したい場合は、PowerDMARCのデモをご確認ください。
よくある質問(FAQ)
- 適切なメール到達率とは?
- 一般的には、95%以上が良好なメール到達率の目安とされています。
ただし、測定方法や使用するツールによって数値は異なるため、単一の数値だけで判断するのではなく、バウンス率、迷惑メール報告率、認証結果、エンゲージメントなどとあわせて確認することが重要です。 - メール到達性を改善するにはどのくらい時間がかかりますか?
- 必要な期間は、問題の原因や送信者レピュテーションの状態によって異なります。
SPF、DKIM、DMARCなどの設定ミスは比較的短期間で修正できますが、低下した送信者レピュテーションの回復には、数週間以上にわたり良好な送信を継続する必要がある場合があります。 - メール到達性と配信率の違いは何ですか?
- 配信率は、メールが受信側のメールサーバに受け入れられたかどうかを示します。
一方、メール到達性は、そのメールが迷惑メールフォルダなどではなく、意図した受信トレイへ届いたかどうかを示します。
そのため、配信率が高くても、メール到達性が高いとは限りません。