アフィリエイトマーケティングメールの到達率を改善する方法
著者: Ahona Rudra
翻訳: 東條 百々朱
この記事はPowerDMARCのブログ記事 Affiliate Marketing Emails: Fix Deliverability to Stop Commission Loss の翻訳です。
Spelldataは、PowerDMARCの日本代理店です。
この記事は、PowerDMARCの許可を得て、翻訳しています。
主なポイント
- SPF・DKIMのアライメントが重要です。
SPFやDKIMのアライメントが取れていないアフィリエイト向けプロモーションメールは、信頼性の低いメールと判断されやすく、受信トレイへの到達率が低下し、コミッションの減少につながります。 - DKIMを優先しましょう。
すべてのメールは、メールサービスプロバイダ(ESP)のドメインではなく、自社ドメインでDKIM署名を行うことで、最も信頼性の高い認証結果を得られます。 - SPFを最適化しましょう。
SPFレコードはできるだけ簡潔に保ち、自社で管理するサブドメインでアライメントを行い、DNSルックアップ回数の上限を超えないようにしましょう。 - DMARCは段階的に導入しましょう。
まずはp=noneで監視を開始し、アライメントに問題がないことを確認してから、段階的にポリシーを適用してください。
ここまで、パートナーの募集やクリエイティブの制作、期間限定キャンペーンの準備など、多くの作業を進めてきたことでしょう。
しかし、その成果は受信トレイへ届くかどうかで大きく左右されます。
コンバージョンが伸び悩むと、「補償についてどうするか」といった議論が始まり、チームは件名や配信タイミング、季節要因など、あらゆる原因を疑い始めます。
ところが、本当の原因はもっと目立たない場所、つまりDNS設定にあるケースも少なくありません。
SPFやDKIMが「From:」ヘッダのドメインとアライメントしていない場合、大量メールフィルタはアフィリエイト向けのプロモーションメールを、信頼できない送信元として扱います。
アライメントを修正することは地味な作業ですが、気付かないうちに発生しているコミッションの損失を防ぐための、最も効果的な改善策の1つです。
アフィリエイトメールでメール到達率が最優先である理由
アフィリエイトプログラムでは、多くのメールが短期間に配信されます。
パートナーごとにサブドメインを用意し、複数のESPを利用し、場合によってはアフィリエイト事業者やネットワークが代理でメールを送信することもあります。
こうした複雑な配信環境では、メールサービス提供者によるアライメントチェックがより重要になります。
重要なのは、メールサービス提供者はSPFやDKIMが設定されているかだけを確認しているわけではないという点です。
認証に使用されたドメインと、受信者に表示される送信元ドメインが一致しているかどうかも重視しています。
例えば、プロモーションメールがesp-mail.example.netで署名されている一方で、送信者として表示されるドメインがbrand.comだった場合、メールフィルタはその不一致を認識します。
こうしたわずかな認証の不一致が積み重なることで、メールが迷惑メールフォルダへ振り分けられたり、受信拒否されたり、ドメインの信頼性が低下したりする原因になります。
さらに、アフィリエイトマーケティングは収益性の高いチャネルであるため、このようなリスクは見過ごせません。
実際、アフィリエイトマーケティングはEコマース全体の売上の約16%を占めています。
そのため、プロモーションメールの到達率が低下すると、売上やコミッションの損失、成果測定の誤差、さらには支払い遅延へとつながる可能性があります。
また、メールサービス提供者も認証に関する要件を明確に示しています。
Googleでは、認証されたメールは拒否されたり迷惑メールとして判定されたりする可能性が低くなるとしており、「Email Sender Guidelines」では、大量送信者に対してSPF・DKIM・DMARCのすべてを実装することを推奨しています。
政府機関や標準化団体も同様の考え方を採用しています。
CISAのDMARCガイドラインやNIST SP 800-177でも、ドメインアライメントによって信頼性を高め、スプーフィングを防ぐことが推奨されています。
アフィリエイトコミッションを静かに奪う原因:IDアライメントの不一致
「アライメント」とは何か
SPFアライメントでは、Return-Path(エンベロープFrom)のドメインと、「From:」ヘッダに表示されるドメインが一致しているかを確認します。
DKIMアライメントでは、DKIM署名に含まれるd=ドメインと、「From:」ヘッダのドメインが一致しているかを確認します。
DMARCでは、SPFまたはDKIMのいずれか一方でアライメントが取れていれば認証に成功します。
仕組みを簡単に復習したい場合は、「DMARCアライメント」を参照してください。
RelaxedアライメントとStrictアライメントの違いや、mail.brand.comとbrand.comをどのように使い分けるべきかを詳しく解説しています。
アフィリエイトで問題が起こりやすい理由
- 複数のESPや送信元を利用している
- ニュースレター、トリガーメール、共同ブランドキャンペーンなどが、それぞれ異なるプラットフォームから送信されることがあります。
そのため、すべての送信元で認証とアライメントを正しく設定する必要があります。 - キャンペーンの展開スピードが速い
- 短期間でサブドメインを作成して配信を開始するため、DNSの設定変更が間に合わないことがあります。
- リンク短縮サービスやリンク変換サービスを利用している
- これらは直接アライメントに影響するものではありません。
しかし、認証が不十分な状態では、迷惑メールと判定されるリスクを高める要因になります。 - メール転送やメーリングリストを利用している
- コミュニティ内での共有や企業ゲートウェイでの転送では、SPFが無効になり、場合によってはDKIMも失敗することがあります。
基本的な考え方
- ID
- 受信者に表示される送信元ドメイン
- 認証
- SPFとDKIMによる認証
- ポリシー
- 認証に失敗したメールを受信側がどのように処理するかを定めるDMARC
大規模かつ高速にメールを配信する環境では、表示される送信元と認証情報の不一致が、メール到達率の低下につながります。
アフィリエイトメールのアライメント不一致を確認する方法
まずは、成果が伸び悩んだ最近のプロモーションメールをいくつか選びます。
あわせて、成果の良かったキャンペーンも比較用に用意しましょう。
それぞれのメールについて、完全なメールヘッダを取得して確認します。
確認手順
- 1.「From:」ヘッダを確認する
- まず、受信者に表示される送信元を確認します。
例)From: Brand promos@brand.com
- 2.SPFの認証結果を確認する
- メールヘッダから
Received-SPF: passを探し、エンベロープFrom(Return-Path)のドメインを確認します。 - 3.DKIM署名を確認する
- メールヘッダ内のDKIM署名を確認します。
DKIM-Signature: d=brand.com
d=にサードパーティのドメインが指定されている場合は、アライメントが取れていません。 - 4.DMARCの認証結果を確認する
- DMARCの認証結果を確認し、SPFまたはDKIMのどちらで認証に成功しているかを確認します。
- 5.過去のメールと比較する
- 成果の良かったメールと比較し、アライメント結果が異なっていないかを確認しましょう。
同じようなメールにもかかわらず認証結果が異なる場合は、クリエイティブではなく設定のずれが原因である可能性があります。
よくある問題
- SPFは成功しているが「From:」と一致していない
- SPF:
esp.exampleで認証成功
「From:」:brand.com
→SPF認証には成功していますが、アライメントは取れていません。 - DKIM署名がESPドメインになっている
d=esp.example
→DKIM認証には成功していても、アライメントは取れていません。- DMARCが成功したり失敗したりする
- DMARC認証が安定しない場合は、メールサービス提供者からの信頼性が低下し、メール到達率にも悪影響を及ぼします。
GoogleやYahooの大量送信者向け要件については、「GoogleおよびYahooメール認証要件」を参照してください。
コミッション損失を回復する5つのステップ
ここでは、短期間で取り組める優先事項を紹介します。
1.まずDKIMのアライメントを修正する(最も信頼性の高い認証)
ブランドの代理としてメールを送信するすべてのESPで、自社ドメインを使用したDKIM署名を設定してください。
d=には、brand.comまたはoffers.brand.comのような自社ドメインまたはサブドメインを指定します。
DKIM鍵は定期的に更新し、プラットフォームごとに異なるセレクタを使用しましょう。
DNS設定を変更した後は、実際のメールヘッダで認証結果を確認してください。
設定ミスが1文字あるだけでも、DKIM署名は無効になります。
詳しいトラブルシューティングについては、「SPF alignment failedの修正方法」を参照してください。
RelaxedモードとStrictモードの使い分けについても解説しています。
2.SPFをアライメントする(シンプルな構成を維持する)
mail.brand.comやaffiliates.brand.comなどのサブドメインから送信する場合は、そのサブドメインにSPFレコードを公開してください。
また、SPFレコードが複雑になりすぎないよう、不要なincludeを整理し、DNSルックアップ回数を10回未満に抑えましょう。
可能であれば利用するESPを整理・統合し、設定のずれが発生しにくい環境を構築することをおすすめします。
3.DMARCを段階的に適用する(収益を守りながら強化する)
まずはp=noneでDMARCレポートを収集し、認証状況を確認します。
p=quarantine; pct=20
問題がないことを確認したら、上記のとおり移行し、適用範囲を徐々に拡大していきます。
すべてのパートナーとESPでアライメントが確認できた後に、p=rejectへ移行しましょう。
4.メール転送やパートナー送信にも対応する
- 転送されたメールにはARCを活用する
- ニュースレターなどが転送された場合でも、認証情報を維持しやすくなります。
- パートナー向けの運用ルールを整備する
- パートナーには、次の内容を運用ルールとして定めておくと安心です。
- 自社ドメインでDKIM署名を行うこと
- 本番配信前にテストメールのヘッダを提出すること
- サブドメインを委任する
affiliates.brand.comのようなサブドメインをパートナーへ委任することで、安全にDKIM公開鍵を管理できます。
5.コンプライアンスだけでなく収益指標としても監視する
送信元ごとのアライメント成功率を継続的に監視しましょう。
アライメント失敗率が急増したタイミングは、売上やコミッションの減少と一致していることが少なくありません。
DMARCレポートとアフィリエイトダッシュボードを組み合わせて分析することで、改善による成果を定量的に把握できます。
アフィリエイトでよくある問題と対処方法
パターンA:DKIM署名がESPのドメインになっている
- 症状
d=esp-mail.exampleとなっている一方、「From:」ヘッダはbrand.comになっています。- 対処方法
- ESPのドメインではなく、自社ドメインでDKIM署名を行うよう設定してください。
selector._domainkey.brand.comをDNSへ公開し、設定後にテストメールを送信して認証結果を確認しましょう。
パターンB:SPFは成功しているが送信元ドメインが一致していない
- 症状
- SPF認証には成功しているものの、エンベロープFrom(Return-Path)が
esp-mail.exampleになっています。 - 対処方法
- Return-Pathを、自社で管理するサブドメイン(例:
bounce@affiliates.brand.com)へ変更し、そのサブドメインにSPFレコードを設定してください。
パターンC:メール転送によってSPFが失敗する
- 症状
- 企業内でメールが転送された後、SPF認証が失敗します。
- 対処方法
- DKIMアライメントを優先し、メール転送などで軽微な変更が加わっても署名が無効になりにくいRelaxed Canonicalizationを利用してください。
パターンD:複数ブランドを同じ配信基盤で運用している
- 対処方法
- ブランドごとにサブドメインを分け、それぞれ固有のDKIM鍵を設定してください。
また、サブドメインごとにSPFとDMARCを設定することで、レポート分析もしやすくなります。
パターンE:リンク短縮サービスやリンク変換サービスを利用している
- 対処方法
- 一般的な短縮URLではなく、
go.brand.comのようなブランド専用の短縮ドメインを使用しましょう。
送信元ドメインとの一貫性が保たれ、受信者からの信頼向上にもつながります。
パターンF:パートナーが代理でメールを送信している
- 対処方法
- パートナーには次のとおり依頼し、設定内容を事前に確認しましょう。
- 自社サブドメインでDKIM署名を行うこと
- アライメントしたReturn-Pathを使用すること
- 本番配信前にテストメールのヘッダを提出すること
アフィリエイトコミッションを守る7日間プラン
- 1~2日目
- 現状を確認する。
利用しているすべての送信プラットフォームを洗い出し、実際のメールヘッダを取得します。
SPF・DKIM・DMARCの認証結果とアライメントの状況を一覧化しましょう。 - 3~4日目
- 認証設定を見直す。
DKIM署名を自社ドメインへ切り替え、公開鍵をDNSへ登録します。
あわせて、Return-Pathをアライメントしたサブドメインへ変更してください。 - 5日目
- DMARCを導入する。
次のDMARCレコードを公開します。v=DMARC1; p=none; rua=mailto:dmarc@brand.com; pct=100
レポートを収集し、すべての送信元で認証が正常に行われていることを確認します。 - 6日目
- パートナー向けガイドを作成する。
パートナー向けに、1ページ程度の設定ガイドを用意しましょう。
ガイドには次の内容を含めることをおすすめします。
- アライメントのルール
- テストメールの送信方法
- DNS変更時のSLA(対応期限)
- 7日目
- DMARCポリシーを強化する。
p=quarantine; pct=20
送信メールの95%以上で、DKIMまたはSPFのアライメントが確認できたら、上記のとおり移行し、配信状況を監視しながら段階的に適用範囲を広げていきます。
まとめ
アフィリエイトメールで発生するコミッションの損失は、「クリエイティブが悪い」「メールリストが古い」と考えられがちです。
しかし実際には、SPFやDKIMが「From:」ヘッダのドメインと一致していない、IDアライメントの不一致が原因となっているケースも少なくありません。
アライメントの修正は地味な作業ですが、効果を測定しやすく、比較的短期間で改善が期待できます。
まずはDKIMのアライメントを見直し、SPFを最適化したうえで、DMARCを段階的に適用しましょう。
あわせて、パートナーとも認証設定や運用ルールを統一することが重要です。
送信者認証と送信元ドメインの整合性が確保されれば、プロモーションメールは受信トレイへ届きやすくなり、本来得られるはずだったコミッションを逃すリスクも大幅に減らせます。