ネットワーク上のトラフィックをリアルタイムで監視・分析し、悪意のあるアクセスやサイバー脅威を自動的に遮断するIPS(不正侵入防止システム)の仕組みのイメージ

IPSとは?定義・種類・仕組みをわかりやすく解説


著者: Yunes Tarada
翻訳: 古川 綾乃

この記事はPowerDMARCのブログ記事 What Is IPS? Definition, Types, and How It Works の翻訳です。
Spelldataは、PowerDMARCの日本代理店です。
この記事は、PowerDMARCの許可を得て、翻訳しています。


主なポイント

  1. 最新のIPSソリューションは、ファイアウォール、Security Information and Event Management(SIEM)システム、その他のセキュリティツールとシームレスに連携し、多層的なセキュリティ対策を実現します。
  2. IPSは悪意のあるトラフィックを積極的にブロックして脅威を防止しますが、IDSは不審なアクティビティを検知して報告するのみです。
  3. 2024年にはデータ侵害による平均被害額が400万ドルを超えており、IPSへの投資は予防的なセキュリティ対策であるだけでなく、多額の経済的損失を回避する手段にもなります。

サイバー脅威が高度化・増加する中、ネットワークセキュリティの重要性はこれまで以上に高まっています。
Intrusion Prevention System(IPS)は、ネットワーク防御の中核を担うセキュリティ技術です。

ネットワーク上の不審なアクティビティを継続的に監視し、侵害の兆候を検知すると、自動的に対策を実行します。
従来のセキュリティ対策が脅威の検知に重点を置いていたのに対し、IPSは検知にとどまらず、悪意のあるトラフィックをリアルタイムで自動的に遮断します。

このような先回り型の防御により、組織全体のセキュリティを強化するとともに、IT部門がすべての脅威に個別対応する負担も軽減できます。
IPSの仕組みや役割を理解することは、サイバーセキュリティ対策を強化したい企業にとって重要です。
本ガイドでは、IPSの概要や種類、主な機能、そして導入によって得られるメリットについて解説します。

IPSとは

Intrusion Prevention System(IPS)は、悪意のあるアクティビティやポリシー違反を検知するために、ネットワークやシステムの動作を継続的に監視するネットワークセキュリティ技術です。
IPSは脅威を特定し、それらが被害をもたらす前に即座かつ自動的に対処して阻止するよう設計されています。

IPSは脅威を未然に防ぐ仕組みとして、ネットワーク通信の経路上に配置されるため、データパケットをリアルタイムで分析できます。
不審なアクティビティが検知されると、システムは脅威を自動的にブロックしたり、管理者へ通知したり、あらかじめ定義された対応を実行したりしてネットワークインフラを保護します。

IPSの仕組み

IPSは、ディープパケットインスペクション、高度なパターン認識、自動対応メカニズムを組み合わせた一連のプロセスによって動作します。
システムは、データパケットがネットワーク上の監視ポイントを通過する際に分析することで、ネットワークトラフィックを監視します。
検知プロセスでは、シグネチャベース検知(既知の脅威パターンとの比較)、異常検知(通常とは異なる動作パターンの特定)、およびプロトコル分析(ネットワークプロトコル違反の検査)など、複数の手法が用いられます。

脅威が特定されると、IPSは悪意のあるトラフィックをブロックしたり、接続をリセットしたり、不審なパケットを別の分析環境へ転送することもできます。
最新のIPSソリューションは、ファイアウォール、Security Information and Event Management(SIEM)システム、その他のセキュリティツールとシームレスに連携し、包括的な多層防御を実現します。
この連携により、複数のセキュリティ層にまたがる協調的な脅威対応が可能になります。

IPSの種類

組織は、自社のセキュリティ要件、ネットワークアーキテクチャ、そして直面する脅威に応じて、さまざまな種類のIPSソリューションを導入できます。
それぞれに特徴や強みがあり、特定のセキュリティ課題に対応します。

Network-based IPS(NIPS)

Network-based IPS(NIPS)は、ネットワークインフラ内の重要な箇所に配置され、ネットワークセグメント間を流れるトラフィックを監視します。
NIPSはネットワークの主要な通信経路を通過するすべてのトラフィックを検査し、ネットワークインフラ全体に対して広範な保護を提供します。
主な強みは、一元的な監視・管理を実現できる点にあります。

1つのNIPSで複数のシステムやユーザーを同時に保護できるため、大規模なネットワーク環境を持つ組織にとって費用対効果の高いソリューションです。
一方で、NIPSは暗号化トラフィックへの対応に制約があり、復号機能がなければ暗号化されたデータパケットを検査できません。
また、高トラフィック環境では、システムの処理能力を超えると遅延が発生する可能性があります。

Wireless IPS(WIPS)

Wireless IPS(WIPS)は、無線ネットワーク、特にWi-Fiインフラの保護に特化したIPSです。
WIPSは無線アクセスポイントを監視し、不正デバイスを検知するとともに、スプーフィングや中間者攻撃などの無線特有の攻撃を防止します。
この種類のIPSは、不正アクセスポイント、脆弱な暗号化プロトコル、無線侵入の試みといった無線セキュリティ脅威に対して特化した保護を提供します。

WIPSは、大規模な無線インフラを運用する組織や、無線セキュリティが重要な環境において重要な役割を果たします。
一方で、大規模な無線環境では監視範囲が不足する可能性があり、また同じ周波数帯を利用する正規の無線機器によって誤警告が発生する場合があります。

Network Behavior Analysis(NBA)

Network Behavior Analysis(NBA)は、既知の脅威シグネチャだけに依存するのではなく、ネットワークトラフィックの異常なパターンを検出することに重点を置いた高度な侵入防止技術です。
NBAは通常のネットワーク動作のベースラインを確立し、セキュリティインシデントの兆候となる逸脱を検出します。
このアプローチは、既知の攻撃シグネチャに一致しないゼロデイ攻撃や内部脅威の検知に優れています。

また、高度標的型攻撃や内部システムの侵害を示すような、ネットワークトラフィックのわずかな変化も検出できます。
NBAシステムの課題は、誤検知を最小限に抑えるために十分なチューニングと設定が必要であることです。
そのため、組織は正確なベースラインの構築と検知アルゴリズムの調整に時間をかける必要があります。

Host-based IPS(HIPS)

Host-based IPS(HIPS)は、個々のサーバー、ワークステーション、その他のネットワークエンドポイント上で直接動作します。
HIPSは、特定のデバイスにおけるシステムアクティビティ、ファイルアクセスパターン、アプリケーションの動作状況について詳細な監視情報を提供します。
HIPSの主な利点は、ネットワークベースのソリューションでは把握できない暗号化トラフィックやローカルシステムの動作を監視できることです。

そのため、ホスト内部で発生する脅威や、特定のアプリケーションを標的とした攻撃の検知に特に効果を発揮します。
一方で、導入には保護対象デバイスごとにエージェントのインストールと保守が必要です。
また、システムパフォーマンスへの影響や継続的な運用管理の負担も発生するため、組織はセキュリティ上のメリットとのバランスを考慮する必要があります。

IPSとIDSの違い

Intrusion Prevention System(IPS)とIntrusion Detection System(IDS)の違いを理解することは、セキュリティアーキテクチャを設計する上で重要です。
両技術ともネットワークセキュリティにおいて重要な役割を果たしますが、そのアプローチは根本的に異なります。
最大の違いは、脅威への対応方法にあります。

IPSは悪意のあるトラフィックを積極的にブロックして脅威を防止しますが、IDSは不審なアクティビティを検知して報告するのみです。
IDSはネットワークトラフィックのコピーを分析するアウトオブバンド方式で動作する一方、IPSはリアルタイムで脅威を遮断するため、ネットワークトラフィックの経路上に配置されます。
多くの組織では、保護を最大化するために両方の技術を導入しています。

IDSは詳細なフォレンジック分析やコンプライアンスレポートの作成を支援し、IPSは即時の脅威防止を実現します。
両者を組み合わせることで、予防的な防御と包括的な監視を両立した総合的なセキュリティ戦略を構築できます。

IPSのメリット

IPSソリューションを導入することで、組織はセキュリティ体制と運用効率の両面で大きな改善を期待できます。
IPS導入の大きなメリットの1つは、リアルタイムで脅威を防御できることです。
手動対応が必要になることの多い従来型の防御手法とは異なり、IPSソリューションは脅威を検知してから数ミリ秒以内に動作し、被害が発生する前に悪意のあるアクティビティをブロックします。

また、IPSは検知と対応を自動化することで、継続的な手動監視の負担を軽減します。
これにより、セキュリティ担当者はポリシーの強化、プロセスの改善、長期的な防御体制の向上といった、より重要なセキュリティ施策に集中できるようになります。
さらに重要なメリットとして、コンプライアンス対応の強化とセキュリティ体制の向上が挙げられます。

最新のIPSプラットフォームは、規制要件への準拠を支援する詳細なログやレポートを生成し、包括的な監査証跡を維持します。
この機能により、組織はコンプライアンス基準を満たしやすくなるだけでなく、継続的なリスク管理に役立つリスク管理に役立つ情報も得られます。

財務面でも、IPSは費用対効果の高い投資といえます。
2024年にはデータ侵害による平均被害額が400万ドルを超えており、IPSへの投資は予防的なセキュリティ対策であるだけでなく、多額の経済的損失を回避する手段にもなります。

IPSの制約

多くの利点がある一方で、IPSソリューションには、導入時や日常運用時に慎重に評価すべき課題もあります。
代表的な懸念事項の1つが、誤検知(False Positive)です。
場合によっては、正当なトラフィックが不審な通信として検知され、業務に支障をきたす可能性があります。

このような事象を最小限に抑えるには、慎重な設定、チューニング、継続的な改善が必要です。
パフォーマンスへの影響も考慮すべき点です。
IPSはネットワークトラフィックの経路上に配置されることが多いため、すべてのパケットをリアルタイムで処理する必要があります。

十分なハードウェアリソースがない場合、特にトラフィック量の多い環境では、遅延やネットワーク性能の低下を引き起こす可能性があります。
また、IPSは進化し続ける脅威に対応するため、定期的な更新が欠かせません。
シグネチャデータベースは継続的に更新する必要があり、行動分析アルゴリズムについても、変化するトラフィックパターンや攻撃手法に合わせた継続的な調整が求められます。

IPSの今後の展望

IPS技術は、人工知能(AI)や機械学習の発展によってさらに進化しています。
AIを活用したIPSソリューションは、行動パターンを分析し、新たな攻撃手法に自動的に適応することで、これまで知られていなかった脅威を特定できます。
機械学習アルゴリズムにより、IPSシステムは時間の経過とともに検知精度を高めることができます。

これにより、誤検知を減らしながら、従来のシグネチャベースのシステムでは見逃される可能性のある高度な脅威も検出できます。
こうした進化により、IPS技術は高度標的型攻撃やゼロデイ攻撃に対して、より効果的な防御手段となっています。

さらに、クラウドセキュリティプラットフォームやSoftware-Defined Networking(SDN)との統合も重要なトレンドです。
ハイブリッド型や分散型のネットワークインフラを採用する組織が増える中、IPSソリューションには、オンプレミス環境とクラウド環境の両方で一貫したセキュリティを適用できることが求められています。

まとめ

IPS技術は、現代のサイバーセキュリティ戦略において不可欠な要素となっています。
その理由は、従来のセキュリティ対策だけでは実現が難しい、リアルタイムの脅威防御を提供できるためです。
データ侵害による損失が数百万ドル規模に達している現在、効果的なIPSソリューションの導入は、セキュリティ上の必要性であると同時に、ビジネス上の重要課題でもあります。

セキュリティ体制の強化を目指す組織は、包括的なセキュリティテストデータ侵害防止戦略の一環として、IPSの導入を検討すべきです。
適切に設定された侵入防止システムを導入することで、ネットワークインフラの保護を今すぐ強化できます。
さらに、PowerDMARCの高度なメール認証、DMARC適用、脅威インテリジェンスサービスを活用することで、防御体制を一層強化できます。

これらのツールは、重要なセキュリティギャップを解消し、巧妙化・高度化するサイバー脅威から組織を保護するよう設計されています。
PowerDMARCの無料トライアルを予約し、これらのソリューションをお客様のセキュリティフレームワークにどのように統合できるかをご確認ください。

よくある質問(FAQ)

NBAは従来のIPSとどのように異なりますか?
Network Behavior Analysis(NBA)は、シグネチャベースの識別だけに依存するのではなく、行動パターンの分析や異常検知に重点を置いています。
そのため、未知の脅威やゼロデイ攻撃の検知に特に効果的です。
NIPSはファイアウォールと同じですか?
いいえ。 ファイアウォールは基本的な通信制御やフィルタリングを行いますが、Network-based IPS(NIPS)はディープパケットインスペクションや行動分析を行います。
そのため、より高度な脅威検知と能動的な防御を実現できます。
WIPSはWi-Fiのパフォーマンスを低下させる可能性がありますか?
適切に設定されていないWireless IPS(WIPS)は、無線ネットワークのパフォーマンスに影響を与える可能性があります。
ただし、最新のシステムは、強力な保護を維持しながらオーバーヘッドを最小限に抑えるよう設計されています。