TLS暗号化とは何か、その仕組みとは?
著者: Ahona Rudra
翻訳: 高峯 涼夏
この記事はPowerDMARCのブログ記事 What Is TLS Encryption, and How Does It Work? の翻訳です。
Spelldataは、PowerDMARCの日本代理店です。
この記事は、PowerDMARCの許可を得て、翻訳しています。
主なポイント
- TLSはオンライン通信を保護する標準プロトコルであり、暗号化・データの完全性・通信相手の正当性を確保することで機密情報を保護します。
- TLSは、ハンドシェイク、共通鍵暗号化、認証チェックなどの仕組みによって構成されており、IDを検証し、データを暗号化し、改竄を防ぎます。
- TLSを安全に実装するには、証明書の取得、サーバ設定、最新バージョン(推奨:TLS 1.3)の使用、古いプロトコルや弱い暗号スイートの無効化が重要です。
- TLSは、より強力な暗号化と改善されたパフォーマンスにより、現代のセキュリティ標準としてSSLに置き換わりました。
TLS構成の監視と検証を定期的に行うことが重要であり、PowerDMARCのTLS-RPT Record Checkerのようなツールがこうした運用を支援します。
オンラインショッピングをしたり、銀行にログインしたり、機密情報を共有したりする際には、データがハッカーや盗聴者から安全に守られていると考えるのが一般的です。
こうした安全性を支えるのがTLSです。
では、TLSとは何でしょうか。
TLS(Transport Layer Security)は、Web上の安全な接続を実現するプロトコルであり、送受信されるデータを暗号化してプライバシーを保護します。
この記事では、日常のオンライン活動においてTLSがなぜ重要なのか、どのような仕組みで情報を保護しているのか、そしてTLSで保護されたサイトを認識することがオンラインでの安全性向上につながる理由について解説します。
TLS暗号化とは何か
TLSとは、Transport Layer Securityの略で、2つの通信アプリケーション(例えば、Webサーバなど)間で認証と暗号化サービスを提供するインターネットセキュリティプロトコルです。
TLS暗号化は、SSL証明書を使用してセキュリティを確保したHTTPS接続で使用されます。
SSL証明書は、パスワードやクレジットカード番号などの機密情報を保護するために、インターネット上で転送されるデータを暗号化します。
したがって、HTTPS接続は、Webをブラウジングしたり、友人や家族にメールを送信する際に、インターネット通信が第三者に盗み見られるのを防ぎます。
TLSはSSL 3.0と互換性はありませんが、1999年のRFC 2246で初めて定義され、必要に応じて移行手段が提供されました。
対照的に、TLS 1.2は、2015年6月以降RFC 7568によって非推奨となったSSL 3.0の代わりに使用することが推奨されています。
TLS 1.3は、リリース時点で、より安全性の低いアルゴリズムのサポートを廃止しています。
TLSは、盗聴を防ぐだけでなく、公衆インターネットのような安全でないチャネル上でも、通信する両者間のデータ転送の完全性を保証します。
これは、実際にデータの転送が行われる前に、サーバ(または通信相手)の真正性を検証することによって実現されます。
TLSの構成要素
TLSは、安全な接続を確立・維持するために、いくつかの主要な構成要素によって成り立っています。
- ハンドシェイクプロトコル
- クライアントとサーバ間で暗号化方式の調整および鍵の安全な交換を行い、接続を確立します。
- レコードプロトコル
- データの送受信を担い、転送中のデータを暗号化してデータの完全性を保証します。
- 暗号スイート
- TLSセッションでは、暗号化、認証、および鍵交換がどのように行われるかを定めたアルゴリズムの組み合わせです。
- 証明書
- サーバ(場合によってはクライアント)の身元を検証するデジタル文書であり、なりすましを防ぎ、信頼性を確保します。
TLS暗号化はどのように機能するか?
オンラインで情報を送信する際には、主に3つのセキュリティ問題があります。
- 通信している相手の身元を確認できるか?
- 通信相手から受け取ったデータが改竄されたものでないとどうやって確認できるか?
- 不正なユーザによるデータへのアクセスや閲覧をどう防ぐか?
TLS暗号化は、接続を保護するために以下の主要な仕組みによって、これらの課題に対応します。
- ハンドシェイクプロセス
- クライアントとサーバが通信を行い、暗号化方式を決定し、鍵を安全に交換します。
これには、サーバ(場合によってはクライアント)の身元の検証も含まれます。 - 共通鍵暗号化
- 鍵が確立されると、高速な共通鍵暗号方式を用いてデータを暗号化し、転送中のデータの機密性が保たれます。
- 認証および完全性チェック
- TLSは、データの完全性を検証し、送信元が正当であることを確認することで、データが改竄されていないことを保証します。
TLSは安全な封筒にたとえることができます。
ハンドシェイクは受信者の身元確認に相当し、共通鍵暗号化は封筒を閉じて中身を守ることに相当し、完全性チェックは封が破られていないことを確認する役割を果たします。
TLSの実装方法
サーバでTLSを導入するには、安全な通信を実現するためにいくつかの重要なステップが必要です。
- TLS証明書の取得
- 信頼された認証局(CA)から有効なデジタル証明書を取得し、サーバの身元を証明します。
- 証明書のインストールと設定
- 証明書をサーバにインストールし、暗号化通信に使用するようにサーバソフトウェアを設定します。
- 最新のTLSバージョンの利用
- セキュリティとパフォーマンス向上のために、最新のTLSプロトコル(TLS 1.2やTLS 1.3など)を使用します。
- 古いバージョンと弱い暗号スイートの無効化
- TLS 1.0や1.1のような古いTLSバージョンや、脆弱な暗号アルゴリズムを使用しないように設定し、脆弱性のリスクを低減します。
- 設定の確認
- オンラインツールやコマンドラインユーティリティを使用して、TLSが正しく安全に動作していることを確認します。
- 定期的な更新とメンテナンス
- 新たな脅威から保護するために、サーバソフトウェアとTLS設定を常に最新の状態に保ちます。
注:実装の詳細は、Webサーバ、メールサーバ、その他のサービスなど、サーバやアプリケーションの種類によって異なる場合があるため、使用する環境のドキュメントを必ず参照してください。
TLSのバージョンとセキュリティの進化
TLSは登場以来大きく進化しており、各バージョンでセキュリティとパフォーマンスが向上しています。
- TLS 1.0(1999年)
- 初期のバージョンで、SSLの多くの欠陥に対処しましたが、現在では古くなっており、複数の攻撃に対して脆弱です。
- TLS 1.1(2006年)
- 軽微なセキュリティ改善が導入されましたが、現在の基準では十分に安全とは言えません。
- TLS 1.2(2008年)
- より強力な暗号スイートや改良されたハッシュアルゴリズムなど、大幅な強化が行われ、現在も広く使用されており、サポートも継続されています。
- TLS 1.3(2018年)
- 最新バージョンであり、ハンドシェイクの簡素化、古い暗号アルゴリズムの削除、速度の向上、プライバシーの強化を実現しています。
- 非推奨バージョン
- TLS 1.0および1.1は安全とは考えられておらず、脆弱性のため、ほとんどのブラウザやプラットフォームで正式に非推奨とされています。
注:TLS 1.3を使用することで、より強力な暗号化と高速な接続が実現され、旧バージョンの既知の弱点からの保護も強化されます。
そのため、高いオンラインセキュリティを維持するうえで重要です。
TLSとSSLの違い
SSL(Secure Sockets Layer)とTLSはいずれも、インターネット通信を暗号化し、データのプライバシーを保護するために開発されたプロトコルです。
しかし、TLSはより新しく、より安全なプロトコルであり、現在ではSSLに置き換わっています。
SSLは現在では時代遅れで脆弱とされている一方で、TLSは継続的に更新され、広く使用されています。
| 機能 | SSL | TLS |
|---|---|---|
| 導入年 | 1995 | 1999 |
| セキュリティ | 多くの攻撃に対して脆弱 | より強力な暗号化と改良されたセキュリティ機能 |
| プロトコルバージョン | SSL 2.0、SSL 3.0 | TLS 1.0、1.1、1.2、1.3 |
| 現在の利用状況 | 非推奨で安全ではない | 現在の業界標準 |
| ハンドシェイクプロセス | 複雑で処理が遅い | 簡素化され高速 |
| 暗号アルゴリズム | 古く安全性の低いアルゴリズム | 更新されたより強力なアルゴリズム |
まとめ
TLSは安全なWeb暗号化の業界標準となっており、オンライン通信に対して強力な保護を提供します。
暗号化、データの完全性、通信相手の正当性を確認することで、TLSは機密情報を傍受や改竄から保護します。
強固なセキュリティを維持するためには、TLS構成を定期的に監視および検証することが重要です。
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TLSの設定を見直し、PowerDMARCなどのツールを活用することで、セキュリティ強化につながります。
よくある質問
- TLSをどのように確認できますか?
- SSL LabsのSSL TestやPowerDMARCのTLS-RPT Record Checkerなどのオンラインツールを使用して、TLSの設定とセキュリティを検証できます。
- メールでTLSが使用されているかを確認するには、どうすればよいですか?
- メールヘッダの「Received」フィールドを確認してTLSの使用有無を判断するか、メールの通信セキュリティを分析する専用ツールを使用します。
- TLS証明書を取得するにはどうすればよいですか?
- サーバ上で証明書署名要求(CSR)を生成し、認証局(CA)の検証プロセスを完了することで、信頼された認証局からTLS証明書を取得できます。