DNS認証とは何か、そしてそれが重要である理由
2024年6月29日
著者: Ahona Rudra
翻訳: 岩瀨 彩江
この記事はPowerDMARCのブログ記事 What is DNS Authentication and Why is it Important? の翻訳です。
Spelldataは、PowerDMARCの日本代理店です。
この記事は、PowerDMARCの許可を得て、翻訳しています。
DNS認証はサイバーセキュリティにおいて非常に重要です。
これはDNSレコードを検証し、攻撃者がトラフィックを悪意のあるWebサイトにリダイレクトするのを防ぎます。
DNSに基づく名前付きエンティティの認証(DANE)は、DNSSECを使用してデジタル証明書を認証します。
この記事では、DNS認証の概要、その重要性、そしてフィッシングやなりすましなどのDNSベースの攻撃からどのように保護するかについて説明します。
重要なポイント
- DNS認証は、DNSレコードを検証し、悪意のあるトラフィックのリダイレクトを防ぐために不可欠です。
- DNSSECやDANEなどのプロトコルを実装することで、オンライン通信のセキュリティと信頼性が強化されます。
- SPF、DKIM、DMARCといったプロトコルは、メール通信を保護し、フィッシング攻撃を防止するうえで重要です。
- DNSセキュリティを定期的に監視することで、脆弱性を特定し、全体的なサイバーセキュリティ対策を向上させることができます。
- DNS認証への投資は、サイバー脅威からオンラインプレゼンスを保護するための強固な戦略の重要な要素です。
DNS認証でオンラインプレゼンスを保護する:詳細な概要
サイバー攻撃が増加する中、DNS変換の正確性だけに頼るのは十分ではありません。
そこで重要となるのがDNS認証です。
DNS認証は、受信するDNS応答が真正であり、改竄されていないことを保証するための、追加のセキュリティ層を提供します。
DNS認証により、認可されたユーザのみがDNSサーバから情報を要求できるようにすることが可能になります。
DNSサーバは、要求元のIPアドレスに基づいてリクエストを受け入れるか拒否するかを設定できます。
これは、機密情報を保護したり、なりすましリクエストをブロックしたりするのに有効です。
メール検証APIと組み合わせて使用すると、メールリクエストの正当性を確認し、フィッシング攻撃を防止します。
クライアントがDNSサーバにリクエストを送信すると、サーバは要求者が求められた情報を取得できるかどうかを判断します。
取得できる場合は要求された情報を提供し、そうでない場合はアクセス拒否を示すエラーメッセージを返します。
DNS認証の種類:目的に合った方式の選び方
DNS認証プロトコルを実装することで、フィッシング攻撃、DNSキャッシュポイズニング、中間者攻撃(Man-in-the-Middle攻撃)のリスクを大幅に低減し、インターネットのセキュリティと信頼性を高めることができます。
主なDNS認証の種類には、次のようなものがあります。
- DNSSEC
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DNSSECは「Domain Name System Security Extensions(ドメインネームシステムセキュリティ拡張)」の略です。
これは、DNSに認証機能を追加するための拡張機能群です。
つまり、DNSSECを使用してWebサイトにアクセスする際、DNSサーバは、照会しているドメイン名(例:wikipedia.org)が本当にそのドメインであることを確認します。 - DANE
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DANEは「DNS-based Authentication of Named Entities(DNSベースの名前付きエンティティ認証)」の略で、DNSプロトコルにおいて認証サービスを提供する際のDNSSECの代替手段です。
これは、DNSレコードと証明書を組み合わせて使用し、接続要求を受け入れる前にサイトまたはホスト名の真正性を検証します。 - SPF(Sender Policy Framework)
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SPFは、組織が自社のドメイン名を使用してメールを送信することを許可されたサーバを指定できる、DNS認証の一種です。
受信者があなたのドメインから送信されたとされるメールを受け取った場合でも、そのメールが許可されたサーバ以外から送信されていた場合、受信者はそのメールを拒否したり、スパムとしてマークしたりすることができます。 - DKIM(DomainKeys Identified Mail)
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DKIMは、SPFを補完するアプローチです。
SPFがメールの送信元が正当であることを検証するのに対し、DKIMはメッセージを暗号化して署名し、受信者がメールの正当性と内容を検証できるようにします。
DMARC(Domain-based Message Authentication, Reporting & Conformance)は、送信者と受信者が自分たちのシステムの動作状況を追跡できるようにするレポート機能を提供することで、DKIMを補完します。 - DMARC
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DNS認証のもう一つの種類が、DMARC(Domain-based Message Authentication, Reporting & Conformance)です。
DMARCはSPFと連携して、メールの送信元が正当であることを認証し、なりすましや、他人が送信したように見せかける改竄などを防ぎます。
SPFとDKIMの状態を検証した後、DMARCレコードはDNSレコード内のテキストエントリとして設定され、メールドメインのポリシーを外部に示します。
SPF、DKIM、またはその両方が認証に成功した場合、DMARCが認証を行います。
この仕組みは識別子アラインメント(Identifier Alignment)またはDMARCアラインメントと呼ばれます。
さらに、DMARCレコードは、メールサーバに対して、DMARCレコード内で指定されたレポート用メールアドレスにXMLレポートを送信するよう指示します。
これらのレポートは、あなたのメールがどのように配信エコシステム内を通過しているかを示す情報を提供し、あなたのメールドメインを使用している不正な活動を特定するのに役立ちます。
オンラインセキュリティにおけるDNS認証の利点
DNS認証を利用することで得られる利点はいくつかあります。
主なものを以下に挙げます。
- DNSスプーフィングの防止
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DNSスプーフィング(DNSキャッシュポイズニングとも呼ばれます)は、ハッカーがDNS変換プロセスを乗っ取り、ユーザを偽のWebサイトへリダイレクトするタイプのサイバー攻撃です。
DNS認証は、DNS応答の真正性を検証し、それらが信頼できるソースから来ていることを確認することで、このような攻撃を防ぐことができます。 - フィッシング攻撃の防止
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フィッシング攻撃は、攻撃者がログイン情報やクレジットカード情報などの機密情報をユーザからだまし取ろうとする一般的なサイバー攻撃です。
DNS認証は、DMARCのようなプロトコルを利用できるようにすることで、フィッシングの試みを検出・遮断し、これらの攻撃を防止するのに役立ちます。 - 全体的なセキュリティの強化
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DNS認証は、受信するDNS応答の真正性を検証することで、オンラインプレゼンスに追加のセキュリティ層を提供します。
DNSスプーフィングやフィッシング攻撃を防ぐことにより、DNS認証はWebサイト、メール、その他のオンラインサービスをサイバー脅威から保護するのに役立ちます。
DNS認証の実装:ステップバイステップガイド
以下は、ネットワーク上でDNS認証を構成する手順です。
- 1.DNS認証方式の特定
- 組織の規模、必要とするセキュリティレベル、提供するオンラインサービスの種類に基づいて、最も適したDNS認証方式を選択します。
- 2.DNSサーバ設定の構成
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DNS認証を有効にするためにDNSサーバの設定を行います。
これには、暗号鍵の生成、DNSゾーンファイルの設定、DNSSEC、DANE、SPF、DKIM、またはDMARCの有効化などが含まれます。 - 3.DNSレコードの公開
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DNS認証を有効にするために、ドメイン名のDNSレコードを公開します。
通常、DNSゾーンファイルにDNSリソースレコードを追加する作業が必要です。 - 4.DNS構成の検証
- DNSSEC検証の実行、DNSリゾルバ設定の確認、DNSテストの実施などにより、DNS構成が正しいことを確認します。
- 5.DNSセキュリティの監視
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DNSログの定期的な確認、DNSトラフィックの分析、DNSセキュリティ監査の実施によって、DNSセキュリティを監視します。
これにより、潜在的なDNSの脆弱性やセキュリティ問題を特定し、対処することが可能になります。 - 6.DNS認証設定の更新
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オンラインプレゼンスのセキュリティを維持するために、必要に応じてDNS認証設定を更新します。
これには、暗号鍵の更新、DNSゾーンファイルの修正、DNSセキュリティポリシーの調整などが含まれます。
まとめ:インターネットセキュリティにおけるDNS認証の重要性
インターネットセキュリティは、オンライン通信の完全性と信頼性を確保するために、DNS認証に依存しています。
DNS認証プロトコルは、DNSレコードを認証し、攻撃者によるトラフィックの悪意あるWebサイトへのリダイレクトを防止することで、フィッシング攻撃、DNSキャッシュポイズニング、中間者攻撃(Man-in-the-Middle攻撃)などを防ぐことができます。
デジタル証明書はDNSSECを使用して認証されます。
DNSSECは暗号化されたデジタル署名を用いてDNSレコードの真正性を検証します。
DNS認証への投資は、サイバーセキュリティの中で極めて重要な要素であり、常に考慮すべきものです。