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メールサーバを特定するDNSレコードの種類とは?

メールサーバを特定するDNSレコードの種類とは?

2024年5月18日
著者: Ahona Rudra
翻訳: 逆井 晶子

この記事はPowerDMARCのブログ記事 Which Type of DNS Record Identifies an Email Server? の翻訳です。
Spelldataは、PowerDMARCの日本代理店です。
この記事は、PowerDMARCの許可を得て、翻訳しています。


メールサーバを識別するDNSレコードは、Mail Exchange(MX)レコードです。
MXレコードは、特定のドメイン名に代わって電子メールメッセージを受け入れる責任を持つメールサーバを指定します。
誰かがあるドメインに電子メールを送信するとき、送信者のメールサーバは、そのドメインのMXレコードを参照して、メッセージをどこに送信すればよいかを判断します。

MXレコードには、メールサーバのホスト名と優先順位の数値が指定されます。
この優先順位の数値は、プライマリのメールサーバが利用できない場合に、どのメールサーバを優先的に使用するかの順序を示します。

重要なポイント

  1. MXレコードは、特定のドメインの正しいメールサーバにメールトラフィックを誘導するために不可欠です。
  2. メールサーバは、メールの送受信において重要な役割を果たし、オンラインの郵便局のように機能します。
  3. SMTP、POP3、およびIMAPは、メールサーバがメッセージの送受信を処理するために使用する主なプロトコルです。
  4. DNSサーバは、ドメイン名をIPアドレスに変換するディレクトリとして機能し、スムーズなインターネットのナビゲーションとメール配信を可能にします。
  5. MXレコードを適切に構成することは、信頼性の高いメール配信を確保し、潜在的な障害を防ぐために重要です。

メールサーバとは?

メールサーバは、電子メールの送受信に使用されるコンピュータシステムです。
電子メールが送信されると、受信者に届くまでに一連のサーバを経由します。
メールサーバとして機能させるには、メールサーバソフトウェアをコンピュータシステムにインストールする必要があります。
このソフトウェアは、サーバにホストされているドメインのメールアカウントを管理・作成する際に、システム管理者をサポートします。

メールサーバの主な目的は、電子メールを収集して最終的な宛先に配信することです。
また、データ転送のセキュリティを確保するために、電子メールを暗号化することも可能です。
電子メールは企業の通信に不可欠であり、2025年までに世界のメールユーザ数は46億人に達すると予想されています。
しかし、その一方で、悪意ある攻撃者によるフィッシングやスパムのリスクも増加しているため、IT主導の企業はDMARCサービスへの投資や暗号化の使用が重要です。

メールサーバの種類

メールサーバは、ネットワーク内外でメールをやり取りする、オンライン上の郵便局のようなものと見なせます。
メールサーバを識別するDNSレコードの種類を理解するために、それぞれの種類を見ていきましょう。

SMTPサーバ
SMTPは、Simple Mail Transfer Protocolの略で、送信メール要求の管理とメールの送信を担当するメールサーバプロトコルです。
これがなければ、メールは送信できません。
POP3サーバ
POP3は、Post Office Protocol 3の略で、安全なネットワーク接続を介して電子メールメッセージを受信するために一般的に使用されるプロトコルです。
これは一方向のプロトコルで、メールは受信され、メールサーバに保存されます。
「3」という数字は、元のPOPプロトコルの第3版を意味します。
IMAP
IMAPは、Internet Message Access Protocolの略で、メールサーバにメッセージのコピーを保持するサーバです。
これにより、ユーザはどこでも、いつでも、どのデバイスからでもメールにアクセスすることが可能になります。

DNSサーバとは?

DNSサーバは、電話帳のようなもので、ドメイン名とそれに対応するIPアドレスが保存されています。
たとえば、「amazon.com」というドメイン名を入力すると、DNSサーバはそのサイトに対応するIPアドレスを見つける役割を果たします。
これは、人間にとって数値のIPアドレス(例:123.45.678)を覚えるよりもドメイン名の方が覚えやすいためです。

DNSサーバは、専用のプログラムを実行し、特別なプロトコルを使って互いに通信します。
ドメイン名をアドレスバーに入力すると、DNSサーバは複数のサーバにDNSクエリを送信し、それぞれのサーバがドメイン名の構成要素(例えば「www」「example」「com」など)を段階的に解決していきます。

DNSサーバの種類

DNSサーバには、プライマリサーバ、セカンダリサーバ、キャッシュサーバの3種類があります。

プライマリサーバ

プライマリDNSサーバは、ゾーンの権限を持つサーバであり、サブドメインの作成などのタスクが実行されます。
これに加えて、ゾーンに関連する変更やゾーンファイルのリソースレコードの追加・変更は、プライマリサーバでのみ実行する必要があります。

一般的に、各ゾーンには1つのプライマリサーバしかありませんが、ADサービスとMicrosoft DNSサーバを統合する場合は例外です。

プライマリDNSサーバは通常、独自のIPアドレスを持ち、クライアントコンピュータがドメイン名をIPアドレスに解決するためのクエリを送信する際に使用されます。
同じコンピュータに複数のドメインがホストされている場合は、セカンダリDNSサーバとして動作することもあります。

セカンダリサーバ

セカンダリDNSサーバは、ドメインレジストラによって運用される、冗長性を確保するためのDNSサーバです。
事前に設定されたガイドラインに従い、DNSリクエストを処理できるようになっています。
これは、メインサーバが使用できない場合や機能しない場合にDNSレコードを取得するために使用されます。

また、プライマリサーバから自動的に情報を更新するため、インフラストラクチャに変更があった場合でも手動で更新する必要がありません。

キャッシュサーバ
キャッシュサーバは、プライマリおよびセカンダリサーバの追加のバックアップ層として機能します。
しかし、これらは設定が複雑で時間がかかります。

DNSレコードとは?

DNSレコードは、ドメイン名とそれに対応するIPアドレスを関連付けるための情報を、DNSサーバに設定するためのレコードです。
これらの命令は、DNSルックアップのプロセスにおいて重要です。
すべてのドメインには、ユーザがドメイン名を使ってWebサイトにアクセスできるようにするために、少なくともいくつかの基本的なDNSレコードが必要です。
さらに、任意で設定できるレコードタイプもいくつか存在します。

メールサーバを識別するDNSレコードの種類とは?

それでは、本題に入りましょう。
メールサーバを識別するDNSレコードの種類を説明します。

MXレコード
DNSのMXレコード、またはMail Exchangeレコードは、電子メールを受信者のアドレスに一致させるために必要です。
これは、特定のドメイン宛の受信メールを受け取るように指定されたメールサーバを定義します。
また、そのドメインに送信されたメールのルートも示します。
正しく構成されていない場合、メール配信が失敗する可能性があります。
DNSレコードとメールサーバの識別における役割

誰かにメールを送信するとき、そのメールが受信者の受信箱に届くまでの過程について、深く考えることはあまりないかもしれません。
しかし実際には、メールを正しい宛先に届けるために、数多くのプロセスが舞台裏で動いています。

メール配信において最も重要な構成要素の1つが、Domain Name System(DNS)です。
DNSは、ドメイン名(例:google.comやyahoo.com)をIPアドレス(例:172.217.0.46や98.137.246.8)に変換するシステムです。
DNSがなければ、Webサイトへの接続やメールの送信ははるかに困難になります。

ドメイン名をIPアドレスに変換することに加え、DNSはドメイン名に関する追加情報を提供する様々な種類のレコードも保存しています。
メール配信において最も重要なDNSレコードの種類の1つが、MXレコードです。

MXレコードは、特定のドメイン名に対して受信した電子メールメッセージを受け入れる責任を持つメールサーバを指定する、DNSレコードの一種です。
たとえば、user@example.com という宛先にメールを送信すると、送信者のメールサーバは、example.comの MXレコードをDNSから検索します。
MXレコードには通常、そのドメインのメール処理を担当するメールサーバのホスト名が含まれています。

MXレコードの例


example.com.    IN    MX    10    mail.example.com.
MXレコードの内訳
  • example.com. は、このMXレコードが適用されるドメイン名です。
  • IN はレコードクラスで、通常は「IN(インターネット)」を意味します。
  • MX はレコードタイプで、これがMXレコードであることを示します。
  • 10 は優先度の値で、メールサーバをどの順序で試すべきかを示します。
    値が小さいほど優先度が高くなります。
  • mail.example.com. は、example.comの受信メールを処理する責任を持つメールサーバのホスト名です。

この例では、example.com宛のすべての受信メールメッセージは、mail.example.comのメールサーバに送信されます。
もしそのホスト名のメールサーバが利用できない場合、送信者のメールサーバは、より高い優先度値を持つ次のMXレコードに従ってメッセージの送信を試みます。

MXレコードは、複数のメールサーバと共に構成することで、冗長性を確保し、1つのサーバが停止または利用不可になってもメールが確実に配信されるようにすることができます。
また、より高い優先度値を持つバックアップ用のMXレコードを設定することで、プライマリのメールサーバが利用できない場合でも、バックアップサーバが受信メールを引き受け、プライマリサーバが復旧するまで処理を引き続き行うことができます。

総じて、MXレコードはメール配信において非常に重要な要素であり、メッセージが正しい宛先に確実に届くようにする役割を果たします。
受信メールの処理を担当するメールサーバのホスト名を指定することで、MXレコードは、電子メールが意図した受信者に確実に届けられるよう支援します。