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ゼロデイエクスプロイトとは何か、それはなぜ危険なのか?

ゼロデイエクスプロイトとは何か、それはなぜ危険なのか?

2024年4月19日
著者: Ahona Rudra
翻訳: 逆井 晶子

この記事はPowerDMARCのブログ記事 What is a Zero-Day Exploit, and Why is It Dangerous? の翻訳です。
Spelldataは、PowerDMARCの日本代理店です。
この記事は、PowerDMARCの許可を得て、翻訳しています。


ゼロデイエクスプロイトは、新たに登場したサイバーセキュリティの脅威であり、ハッカーがソフトウェアやシステムの脆弱性を開発者や一般に知られる前に悪用する攻撃です。
ホワイトハットハッカーが問題解決に乗り出す前に、攻撃者はデータに侵入し、システムやネットワークを不正な目的で利用します。

ある報告によれば、2021年に発生したゼロデイエクスプロイトの数は、2019年に記録された数を100%以上上回ったとされています。
この驚くべき統計結果は、2021年だけで全ゼロデイエクスプロイトの約40%が発生したことを示しています。

この記事を読み進めることで、ゼロデイエクスプロイトの詳細とその危険性について理解しましょう。

ゼロデイエクスプロイトとは何か?

ゼロデイエクスプロイトとは、ソフトウェアやシステムの脆弱性がベンダーやプロバイダー、ユーザに知られる前に、ハッカーがその脆弱性を悪用するサイバー犯罪のことを指します。
例えば、マルウェアはゼロデイエクスプロイトの一例であり、政府機関、IT企業、金融機関などを攻撃するために拡散されます。
偽装されたメールを通じて広がるマルウェアやランサムウェアは、DMARCのようなメールセキュリティプロトコルを使用することで軽減することができます。

この攻撃はゼロデイ攻撃やDay-0エクスプロイトとも呼ばれます。
「ゼロデイ」という用語は、問題の深刻さと、開発者が問題を解決するための猶予が全くないことを表しています。

ゼロデイ脆弱性とは、ゼロデイエクスプロイトに関連する用語で、ソフトウェアやプログラムに存在する未発見の欠陥を指します。
開発者が問題を発見して修正プログラムを公開すると、その脆弱性はもはやゼロデイ脆弱性とは呼ばれません。

ゼロデイエクスプロイトのライフサイクル

通常、ゼロデイエクスプロイトのライフサイクルは7つの段階に分けられます。
それぞれについて見ていきましょう。

ステージ1: 脆弱性の導入
ソフトウェアの開発とテスト中に、開発者は「正常」のサインを確認します。
しかし、この時点でソフトウェアには認識していない脆弱なコードが含まれています。
ステージ2: エクスプロイトのリリース
脅威アクターは、ベンダーや開発者が脆弱性を認識し、修正する前に脆弱性を発見します。
ハッカーは、悪意のある目的で悪用されたコードを作成し、展開します。
ステージ3: 脆弱性の検出
この段階では、ベンダーが問題を認識していますが、修正プログラムはまだ作成・公開されていません。
ステージ4: 脆弱性の開示
ベンダーやセキュリティ研究者が問題を公表し、ユーザに潜在的なリスクを通知します。
ステージ5: アンチウイルスシグネチャのリリース
アンチウイルスがリリースされると、ユーザのデバイスが攻撃されてゼロデイ攻撃を仕掛けられた場合、アンチウイルスベンダーはそのシグネチャを識別して防御策を提供することができます。
しかし、攻撃者が他の方法で脆弱性を悪用する可能性があるため、システムは引き続きリスクにさらされることがあります。
ステージ6: セキュリティパッチの公開
開発者は脆弱性に対応するためのセキュリティパッチを作成し、公開します。 作成にかかる時間は、脆弱性の複雑さや優先度に依存します。
ステージ7: セキュリティパッチの展開完了
最後の段階で、セキュリティパッチのインストールが正常に完了します。
セキュリティパッチをリリースしても、それだけでは問題がすぐに解決するわけではありません。
ユーザがパッチをインストールするまでに時間がかかるため、インストールの実施が重要です。
そのため、利用者である企業や個人には、更新されたバージョンについて通知が行われます。

ゼロデイ脆弱性を利用した攻撃が非常に危険である理由

ゼロデイ攻撃がハッカーにとってどのような利点があるかご存知ですか?
システムに侵入し、機密データを盗んだり傍受したりするのが簡単かつ迅速になるのです。
そのため、この手法は、最近のRackspaceに対する攻撃を含む多くのランサムウェア攻撃一部となっています。

クラウドコンピューティングの大手であるRackspaceは、ランサムウェア攻撃により27人のお客様の個人データにハッカーがアクセスしたことを公表しました。

ゼロデイ脆弱性のどのような特性が、それを非常に危険なものにしているのか、以下で詳しく見ていきましょう。

理由1: 脆弱性がベンダーや開発者に知られていない
プログラムには脆弱性が付き物ですが、開発者が全てを検出することは現実的ではありません。
そのため、問題が発覚次第、迅速に修正プログラムをリリースします。
しかし、もしハッカーが開発者より先に脆弱性を発見した場合、システム侵入に悪用される可能性が高くなります。
理由2: ハッカーは攻撃をカスタマイズする
ハッカーはゼロデイエクスプロイトを成功させるために攻撃をカスタマイズします。
これにより、被害者側が適切に対処することが難しくなります。
多くの場合、被害者はその場しのぎの対策を講じることになりがちです。
理由3: 防御策や保護が存在しない
開発会社が脆弱性を発見したり、侵害事例が報告されたりするまで、防御メカニズムが事前に作られることはありません。
問題とその影響に対処するのは、問題が判明してから始まります。
理由4: ユーザの不注意
一般的に、ユーザはインターネットの安全対策を怠る傾向があります。
疑わしい送信者の真偽を確認せずに、メールを転送したり、ファイルをダウンロードしたり、リンクをクリックしたりします。
これにより、ゼロデイエクスプロイトやSQLインジェクション攻撃、データ漏洩、金融情報の悪用などにつながります。

ゼロデイエクスプロイトの一般的な標的

ゼロデイエクスプロイトは、利益をもたらす可能性のある個人や組織を標的にします。
一般的な標的は次のとおりです。

ゼロデイエクスプロイトの検出方法

企業はデータとお客様情報を保護する責任があります。
規制当局はデータ管理を怠った組織に対して厳しい措置を取るようになっているため、ゼロデイエクスプロイトの検出方法を把握しておく必要があります。
以下に重要な方法をいくつか示します。

脆弱性スキャンの実施
システムやソフトウェア内の欠陥を見つけるためのプロセスです。
脆弱性が判明すれば、ユーザ向けにパッチを作成・リリースすることができます。
脆弱性スキャンは独立して計画することも、ソフトウェア開発プロセスの一環として行うことも可能です。
一部の企業はサイバーセキュリティ専門会社に外部委託しています。
システムユーザからの報告を収集・分析
システムユーザはソフトウェアを日常的に利用しているため、開発チームよりも先に問題を発見する可能性があります。
そのため、ユーザが問題を報告するよう促し、悪意のある行為者によるゼロデイエクスプロイトが行われる前に修正することが重要です。
ウェブサイトのパフォーマンスを監視
ハッカーがWebアプリケーションを侵害しようとしているかどうかを直接判断することはできませんが、以下の兆候に注意を払うべきです。
  1. ログイン時の問題
  2. ウェブサイトの外観の変更(わずかな変更も見逃さないでください)
  3. クローンサイトへのリダイレクト
  4. ウェブサイトトラフィックの異常
  5. 「このサイトはハッキングされている可能性があります」などのブラウザ警告
レトロハンティングを利用
レトロハンティングは、ゼロデイ脆弱性を検出するための実用的な方法であり、IT専門家が有害なサイバー攻撃のレポートを調査し、自社のソフトウェアが同様の方法で影響を受けたかどうかを確認します。
レトロハンティングを効果的に活用するには、次のことを行ってください。
  1. ソフトウェアベンダーからのすべてのメールが統一された受信箱に届くようにします
  2. セキュリティ脆弱性に関する通知を確認します
  3. サイバーセキュリティニュースを最新の状態に保ちます
  4. 悪名高い攻撃で使用された手法が自社に対して有効かを確認します。
ネットワーク速度の低下に注意する
サイバー攻撃者がマルウェアを注入してシステムに侵入すると、トラフィックの急増によりネットワーク速度が低下します。
このような兆候に気付いた場合は、適切な対応を取ってください。
ソフトウェアのパフォーマンスを追跡する
ハッカーが悪意のあるコードをソフトウェアに注入すると、プログラムの速度が低下する可能性があります。
また、機能、外観、設定などに予期しない変更が生じることもあります。
これらの説明できない変更は、誰かがソフトウェアを操作していることを示しています。

ゼロデイエクスプロイトを防ぐための最善策3選

予防は治療に勝ることをご存知ですよね?
以下に、ゼロデイエクスプロイトを防ぐための最善で実践的な方法を3つ紹介します。

1. セキュリティソフトウェアを活用する
セキュリティソフトは、悪意のあるマルウェアやインターネットベースの侵入、その他のセキュリティ脅威からシステムを保護します。
特に、ダウンロードのスキャン、不正なユーザのブロック、機密データの暗号化に特化したソフトウェアを利用しましょう。
また、ブルートフォース攻撃(総当たり攻撃)を防ぐプラグインや、不審なコメントを排除するツールを有効にすることも検討してください。
ニアショアITサービスを活用して独自のセキュリティソフトウェアを開発し、セキュリティをさらに強化し、プライベートデータを保護することも検討してください。
2. ソフトウェアとシステムを最新の状態に保つ
チームに、通知を受け取り次第、ソフトウェアとシステムを更新するように教育しましょう。
更新されたバージョンには、悪意のある攻撃者の新しい攻撃手法に対抗できるパッチが含まれています。
アップデートされたバージョンでは、ファジングの影響を受けやすい小さなバグが修正されています。
3. ユーザアクセスを制限する
ゼロデイエクスプロイトの定義を知るだけでなく、ユーザアクセスを制限することも重要です。
許可リストやブロックリストを使用して、許可されたエンティティのみがシステム、ソフトウェア、機密データにアクセスすることができるようにしましょう。
これにより、被害を限定し、脆弱性の修正が容易になります。