BIMI

BIMI

| 対応規格: BIMI Draft-14 / SVG Tiny PS / VMC・CMC要件対応

BIMIビミ(Brand Indicators for Message Identification: メッセージ識別のためのブランド指標)は、ドメイン所有者がMUA(Mail User Agent: メールクライアントの事)と協力して、適切に認証されたメッセージの隣にブランド固有の指標を表示できるようにすることを目的としています。
BIMIにより、受信者はヘッダ情報を確認せずとも、メールが正当なドメイン認証を経たことが一目でわかるようになります。
また、商標登録されたシンボルマークが表示されることで、カズンドメインによるなりすましメールを見分けることが可能になり信頼性の向上となります。

BIMIは、現在、IETFでドラフト版の段階です。

GmailでのBIMIによる商標登録したシンボルマークの表示

DMARCの問題

要点:DMARCだけでは防ぎきれない「類似ドメインによるなりすまし」を、視覚的なブランド表示によって解決します。

DMARCについては、以下のような問題があります。

BIMIを設定し、メールソフトの受信箱で商標登録されたブランドシンボルマークが表示される事で、視覚的に正しいドメインからの送信であることを明確にします。
BIMIを実装すれば、お客様や取引先に対して、自社のシンボルマークが表示されないメールは、なりすましメールだと伝えることが出来ます。
また、BIMIを実装すると、Gmailではブルーバッジが表示されます。

Gmailでのシンボルマークとブルーバッジの表示

現在、BIMIは、以下のベンダーのメールクライアントが対応しています。

なお、Appleについては、iCloud.comのWebメールでは表示されるものの、2026年7月時点で、iOS/iPadOSおよびmacOSのネイティブメールアプリでは、BIMIロゴが表示されないという不具合が報告されています。
Apple公式のサポートページでは、iOS 16、iPadOS 16、macOS Ventura 13以降で対応しているとされていますが、実際の挙動と乖離があるため、Appleのメールクライアントでの表示を前提とした提案は避けることを推奨します。

BIMIについての仕様や各種情報は、BIMI Groupのサイトで閲覧できます。

BIMIの基本

要点:BIMIはドメイン所有者がMUAと連携して正規メールにロゴを表示するオープンな標準仕様であり、DMARCの厳格な運用(p=quarantine/reject)を前提とします。

SPF、DKIM、DMARCの設定

シンボルマーク

SVG Tiny PS形式でつくる
メールソフト(MUA)で表示される企業のシンボルマークは、SVG形式の中でも「SVG Tiny Portable/Secure(SVG Tiny PS)」という規格に準拠して作成します。
SVG Tiny PSで使える記法は制限されるため、凝ったデザインにすると、実装が困難になります。
32KB以内にする
BIMIで使用するSVG Tiny PS形式のシンボルマークは、32KB以下にします。
このファイルの記述は、そのまま、VMCの中に入ります。
画像の埋め込みでSVGを作成すると、32KBに収めるのは困難です。
従って、SVG Tiny PSの仕様で使用が許可されている限られた文法を使って記載することになります。
縦横の比率は1:1
シンボルマークの横と縦の比率は、1:1です。
四角、もしくは、丸で囲われた枠に表示されるようにデザインする必要があります。
シンボルマークの商標登録について(VMCの場合)
VMC(Verified Mark Certificate)を取得する場合、シンボルマークは商標登録されている必要があります。
VMCは、DigiCertの他、Entrust、SSL.comなど複数の認証局が発行していますが、Spelldataでは、DigiCertの正規代理店として、DigiCertのVMC/CMCを中心にご案内しています。
DigiCertの認証要件では、日本の商標法とは異なる解釈があるため、注意が必要です。
以下に主な違いを示します。
  • 企業のロゴは通常、シンボルと企業名の文字で構成されていますが、シンボルのみをBIMIで表示する場合、そのシンボル単独で商標登録が必要です。
  • 既存の商標登録済みシンボルマークとロゴを組み合わせて、新たなシンボルマークとして使用することは認められません。
  • 日本の商標法では、形状が一致していれば色の変更が可能なため、多くの場合、白黒で商標登録されています。しかし、DigiCertの認証要件では、シンボルマークが色を含め商標と完全に一致している必要があります。
適切な商標登録を行うことで、スムーズに認証手続きを進めることができます。
なお、商標登録が無い場合でも、後述のCMC(Common Mark Certificate)を利用することでGmailへのロゴ表示自体は可能です。
シンボルマークとVMCはWebサーバにアップロード
シンボルマークファイルは、基本的には、自社で用意したWebサーバ上にアップロードします。
表示速度などに関する懸念があるのであれば、他社のサーバを使う事も可能です。
(URLがメールのドメインと合致しなくても良い)
VMCが必要
シンボルマークの意匠権保護のために、VMC(Verified Mark Certificate)の取得とアップロードが求められます。
VMCは、シンボルマークを特許庁に商標登録していれば、DigiCertなどの認証機関から発行してもらう事が可能です。
VMCは、ドメインについてワイルドカードで発行できるので、全てのサブドメインに効果を及ぼすことができます。
CMC(Common Mark Certificate)という選択肢
CMC(Common Mark Certificate)は、商標登録が無くてもGmailにシンボルマークを表示できるようにする証明書です。
VMCに比べて取得コストが低い一方、CMCではGmailの確認バッジ(ブランド確認済みを示すブルーバッジ)は付与されません。
商標登録を完了していない、または商標登録に時間がかかる企業にとっては、CMCによって先行してGmailでのロゴ表示を開始し、商標登録完了後にVMCへ切り替える、という段階的な導入が可能です。
なお、CMCはGmail向けの証明書であり、Yahoo!やFastmailなど、そもそもVMCなしでもロゴ表示に対応しているプロバイダには影響しません。

BIMIの特徴

BIMIのアプローチは、DKIMのアプローチに大きく影響されていて、以下の特徴があります。

BIMIで複数のシンボルマークを利用するためのセレクタの使い分け

BIMIの特徴の1つとして、一つのドメインに複数のセレクタを設定することができる為、ブランドのシンボルマークをメールの属性に対応して使い分けることが可能です。
以下にその基本的な構成や実現手段について説明します。

BIMIのセレクタ

BIMIのセレクタは、DNSで設定されるテキストレコードです。
これにより、メールがどのシンボルマークを使用するかを指定することが可能になります。
セレクタを複数設定して使い分けることで、そのドメインに属する別のメールに対して違うシンボルマークを表示できます。

デフォルトのセレクタ(default)を使う場合、DNSには以下のようなTXTレコードを設定します。


default._bimi.example.com. IN TXT "v=BIMI1; l=https://example.com/bimi/logo.svg; a=https://example.com/bimi/vmc.pem;"

各タグの意味は以下の通りです。

v=
バージョンを示すタグで、常に「BIMI1」を指定します。
l=
シンボルマークのSVGファイルのURLを指定します。
a=
VMCまたはCMCのPEMファイルのURLを指定します。証明書を使わない自己申告のみの運用の場合は、値を空にしてa=;と記載します。

セレクタを複数使い分ける場合は、レコード名の「default」の部分を、それぞれのセレクタ名(例:selector1._bimi.example.com.)に置き換えて、別々にDNSへ設定します。

複数セレクタの使い分けのメリット

メールの種類によるシンボルマークの分け
例えば、販売担当者向けのメールにはシンボルAを使用し、公共情報の配信にはシンボルBを使用するといったケースがあります。
地域に対応した分け
不同な地域向けのメールに対して、地域ごとのブランドに適したシンボルを使用することが可能です。
プロモーションキャンペーンでの利用
重要なプロモーションキャンペーンのメールについて、ブランドイメージをキャンペーン予告に合わせるようにメールヘッダの中でセレクタを指定することで、シンボルマークの表示を変更可能です。

実現手段

  1. シンボルマークごとに別々の商標登録されたシンボルマークとSVG Tiny PSファイルを準備
  2. DNSにBIMIレコードを設定し、各セレクタにリソースを設定
  3. DMARC設定でp=rejectもしくは、quarantine 100%であることを確認
  4. メールヘッダの中で、セレクタを指定して、表示させるシンボルマークを指定する

以上の方法で、複数のセレクタを有効利用することで、ブランド認証の強化とメールのカスタマイズ化が実現できます。


BIMI導入前の前提条件チェックリスト

BIMIをスムーズに導入するために、以下の要件が満たされているかご確認ください。

DMARCポリシー
p=reject または p=quarantine (pct=100) に設定されているか
商標登録またはCMC
表示したいロゴマークが特許庁に商標登録されているか、または商標登録が無い場合はCMC(Common Mark Certificate)の取得を検討しているか
証明書の取得
商標登録済みであれば認証局(DigiCert等)からVMC(Verified Mark Certificate)を、未登録であればCMCを取得しているか
SVG形式
ロゴがBIMI仕様(SVG Tiny PS)に準拠して作成されているか
DNSアクセス
DNSにTXTレコードを追加する権限があるか

よくある質問(FAQ)

Q. VMC(証明書)なしでBIMIを表示できますか?
A. 一部のメールクライアントではVMCなしでも表示される場合がありますが、Gmailなどの主要プロバイダで確実に表示させるにはVMCが必須です。
Q. 商標登録をしていないのですが、Gmailにロゴを表示する方法はありますか?
A. はい、CMC(Common Mark Certificate)を利用すれば、商標登録が無くてもGmailにロゴを表示できます。
ただし、CMCではVMCで付与されるGmailの確認バッジ(ブルーバッジ)は付与されません。
商標登録が完了次第、VMCへ切り替える事も可能です。
Q. BIMIを設定してからロゴが表示されるまでの時間は?
A. DNSの設定後、TTL次第ですが、1日から数日かかる場合があります。
Q. 日本の商標登録があればVMCは取得できますか?
A. はい、DigiCertなどの認証局は日本の特許庁(JPO)の登録情報を参照してVMCを発行可能です。
Q. ロゴ画像のアスペクト比は?
A. 正方形(1:1)である必要があります。
円形や角丸四角形で切り抜かれて表示されることが多いため、中心に配置し余白を持たせることが重要です。
Q. SVG Tiny PSは、画像を縮小すれば良いですか?

いいえ、単純に画像を縮小するだけでは対応できません。
BIMIやDigiCertのVMC審査で求められるロゴ画像は、前述のSVG Tiny PS(SVG Tiny Portable/Secure)という規格に準拠している必要があります。
JPEGやPNGはピクセル(画素)の集合で画像を表現するラスター形式です。
一方SVGは、座標とパス(直線・曲線の数式的な定義)で図形を描画するベクター形式です。
形式そのものが異なるため、JPEGやPNGを単純に縮小・変換してもSVGにはなりません。

ロゴをお持ちの場合は、多くはIllustratorなどのベクター編集ソフトで作成された元データがあります。
そちらの元データからSVG Tiny PS形式でエクスポートして作成します。
ラスター画像しかない場合は、デザイナーによるトレース(ベクター化)作業が必要になります。
この場合、輪郭を自動推定した座標点を繋げた近似形状になるため、DigiCertなどの審査基準を満たす精度になるとは限りません。

技術補足
Illustratorなどからエクスポートしただけでは、SVG Tiny PS仕様にそのまま適合しません。
埋め込みラスター画像、スクリプト、外部参照、特定の色空間指定など、使用できない要素が仕様上定められています。
そのため、エクスポート後のSVGコードを手動で修正し、規格に適合する形に書き直す作業が必要です。
特に、ラスター画像をトレースして作成したSVGは、直線・曲線の数式的な表現ではなく、輪郭に沿った大量の座標点を結ぶポリライン形式のパスになりやすい方式です。
座標点数が多いほどファイルサイズは増大するため、前述の32KB以下という上限を超過しやすくなります。
なお、この32KBという上限値はIETFのRFCではなく、BIMI Groupが公開する実装ガイドラインに基づく数値です。
Q. DMARCが p=none ですが導入できますか?
A. いいえ、導入できません。
BIMIを有効にするには、DMARCポリシーを強制力のある quarantine または reject に変更する必要があります。
Q. サブドメインにも効果は及びますか?
A. サブドメイン専用のBIMIレコードが存在しない限り、Apex(組織ドメイン)のBIMIレコードはサブドメインにも効きます。
ただし前提として、サブドメインの実効DMARCポリシーがp=noneやsp=noneでないことが必須です。
Q. シンボルマークをメールアドレスによって変更できますか?
A. 「メールアドレス」が何を指すかによって、対応方法が異なります。
以下の2パターンに分けて説明します。
サブドメインが異なる場合
例えば、info@example.com と info@sales.example.com のように、サブドメインが異なる場合です。
この場合は、サブドメインごとに別のBIMIレコードをDNSに設定するだけで対応できます。
送信システム側での追加対応は不要です。
同一ドメイン内で送信者アドレスが異なる場合
例えば、sales@example.com と support@example.com のように、同一ドメイン内でアドレスのみが異なる場合です。
この場合、DNS側で複数のセレクタを設定するだけでは対応できません。
DKIMと同様にセレクタ単位でシンボルマークを切り替える方式のため、送信システム側で、送信者アドレスに応じてBIMI-Selectorヘッダを動的に挿入する実装が別途必要です。
詳細は前述の「BIMIで複数のシンボルマークを利用するためのセレクタの使い分け」をご参照下さい。
Q. BIMIを導入しても、Outlookでは表示されないのであれば、ビジネスでは使えないのでは?
A. 確かに、B2Bにおいては、Outlookを使っている企業ユーザは多いので、BIMIを実装しても、意味が無いと考えても自然です。
しかし、BIMIは、利用者だけに向けて実装するものではありません。
攻撃者に対するメッセージでもあります。
「うちの会社は、BIMIまで実装しているよ」と攻撃者に対してアピールすることで、攻撃するには面倒なところと認識されて、攻撃対象から外れやすくなります。