メールヘッダ診断

メールヘッダ診断

メールヘッダ診断は、メールのヘッダを読み込んで、次の2つを診断するツールです。

受信者向け:なりすまし・リプレイの兆候
届いたメールのヘッダから、正規のメールを別の宛先に再送する「DKIMリプレイ」や、無関係なドメインからブランドを名乗るなりすましなどの兆候を探します。
SPF・DKIM・DMARCがすべてpassし、ブランドのロゴまで表示されるなりすましメールもあるため、認証の結果だけでは見抜けない兆候を確認します。
攻撃者が自分で取得したドメインから送れば、SPF・DKIM・DMARCは正しくpassするため、passしていることは、表示名や件名のブランドから送られたことを意味しません。
送信者向け:送信側の設定の診断
自社が送ったメールのヘッダから、DKIMの署名範囲、SPFとDKIMのアライメント、DMARCのポリシーなどを確認します。
なりすましに強い設定になっているか(安全性)と、受信側に届きやすい設定になっているか(到達性)を、それぞれA〜Fのランクで示します。
兆候が見つからなくても、本物のメールとは限りません
このツールが確認できるのは、ヘッダに残る記録だけです。
兆候が見つからなかった場合も、そのメールが本物であることを保証するものではありません。
少しでも不審な点があれば、メール内のリンクやボタンは開かず、送信元の公式サイトやアプリから確認してください。
実際に起きた事例は、入力エコー攻撃とは?フォーム入力でDMARC・BIMIを通過するフィッシングの手口と対策で解説しています。

メールのヘッダを診断する



メールのヘッダを貼り付けるか、ヘッダを保存したファイルを選んでください。

読み込んだヘッダの扱い
読み込んだヘッダは、お使いのブラウザの中だけで解析します。
ヘッダの内容を、MailDataや第三者のサーバーに送ることはありません。
DKIMの公開鍵、SPF、DMARCを確認するため、署名ドメイン、セレクタ、ヘッダFromとMAIL FROMのドメイン名、SPFのinclude先のドメイン名だけを、Google Public DNS(DNS over HTTPS)に問い合わせます。
本文が含まれていた場合も、本文は解析に使いません。

受信者向け:確認するなりすまし・リプレイの兆候

次の兆候が見つかった場合に、その内容を表示します。
どれも、正規のメールでも起こり得るものなので、兆候があることは、なりすましであることの確定ではありません。
複数の兆候が重なっている場合は、特に注意してください。

受信者向けに確認する兆候
兆候確認する内容正規のメールでも起こる場合
SPFもDKIMも、ヘッダFromのドメインとアラインしていない差出人として表示されるヘッダFromのドメインと、DKIM署名のドメイン(d=)とMAIL FROMのドメインのどちらもアラインしていないか
ヘッダFromのドメインの持ち主が送ったことを示す認証が1つもなく、DMARCはpassしないため、なりすましメールと判定します。
転送やメーリングリストで、署名が壊れたり、MAIL FROMが書き換えられたりした場合も、DMARCの判定はfailになります。
元の宛先と実際の宛先が違うReceivedヘッダの「for」の宛先が、途中で別のドメインに変わっているか転送、メーリングリスト
署名から受信までの時間が長いDKIM署名の時刻(t=)から、最後の受信サーバーに届くまでに1時間以上かかっているか配送の遅延
MAIL FROMが空、またはSPFがアラインしていないDKIMはヘッダFromとアラインしているのに、SPFが送信元のドメインで確認されていないかSPFのアライメントを取っていない送信サービス、エラー通知メール
Content-Typeが署名されていない署名されていないContent-Typeが、不自然な境界文字列のmultipartになっていないかContent-Typeを署名しない送信サービス
送信サーバーのドメインのSPFが「+all」(DNS)MAIL FROMまたはHELOのドメインが、すべての送信元を許可するSPFを公開していないか設定の誤り
署名の公開鍵がDNSにない(DNS)署名に使われた公開鍵が、今はDNSから削除されていないか鍵のローテーション
ブランドを名乗っているが、差出人のドメインが違う差出人の表示名や件名に、なりすましに使われることが多いブランド名(Amazon、楽天、銀行、カード会社、証券会社、宅配便など)があるのに、差出人のアドレスがそのブランドのドメインではないか
空白や見えない文字、形の似た文字を挟んだブランド名も検出します。
販売店、提携先、委託先のサービス
表示名や件名に見えない文字が混ざっているゼロ幅スペース、異体字セレクタ、数学用英数字記号、ラテン文字とキリル文字・ギリシャ文字の混在など、見た目を変えずにフィルタを避ける文字が使われていないかコピー&ペーストで紛れ込んだ文字
重要度・優先度が「高」X-Priority、Importance、Priorityのヘッダで、至急の扱いを求めていないか重要度を「高」にして送られた正規のメール

診断結果の一番上には、判定の結果を次の4段階で表示します。

なりすましメール
SPFもDKIMも、ヘッダFromのドメインとアラインしていない場合です。
ヘッダFromのドメインの持ち主が送ったことを示す認証が1つもなく、DMARCの判定はfailになります。
(メールセキュリティ仕様に基づく判定です。)
高い
DKIMがヘッダFromのドメインとアラインしておらず、SPFのアライメントを確認できない、元の宛先の変更、MAIL FROMが空、不自然な境界文字列、「+all」のSPF、受信側でのDMARCのfail、差出人の表示名でのブランドの詐称、表示名や件名への見えない文字の多用など、なりすましやリプレイに特徴的な兆候が1件以上ある場合か、兆候が3件以上ある場合です。
件名だけにブランド名がある場合は、正規のメールでも多いため、特徴的な兆候としては扱いません。
注意が必要
正規のメールでも起こる兆候が、1〜2件ある場合です。
兆候は見つかりませんでした
兆候が1件もない場合です。
本物のメールであることを保証するものではありません。

送信者向け:ランクの決め方

安全性と到達性は、それぞれA〜Fの6段階で示します。
ランクは点数の合計ではなく、見つかった条件のうち、いちばん悪いものに合わせて決まります。
例えば、ほかの設定がすべて良くても、Fromが署名されていなければ、安全性はFになります。
ランクはMailDataの基準による評価で、RFCに定められたものではありません。
DNSの問い合わせに失敗した場合は、DNSの項目を除いた暫定のランクになります。

安全性(なりすまし耐性)のランクの条件
ランクこのランクになる条件(いずれか1つ)根拠
FDKIM署名がない、Fromヘッダを署名していない、rsa-sha1で署名している、DKIMの鍵が1024ビット未満(DNS)RFC 6376 Section 5.4(MUST)、RFC 8301 Section 3.1(MUST NOT)、Section 3.2(MUST)
EヘッダFromとアラインしたDKIM署名がない、DMARCレコードがない(DNS)、DMARCのポリシーが実質的にnone(p=none、またはp=quarantineでt=y)(DNS)RFC 9989 Section 7.4、Section 8
Dアラインした署名の署名範囲がFromだけ、l=タグを使っている、サブドメイン(sp)や存在しないサブドメイン(np)のポリシーがnone(DNS)、MAIL FROMやHELOのドメインのSPFが「+all」(DNS)RFC 6376 Section 5.4、Section 8.2で指摘されているリスク、SPF Bypassに悪用される設定
C主要なヘッダ(Date、Subject、MIME関連など)の一部が署名されていない、DMARCレコードにruaがなく、集計レポートを受け取っていない(DNS)RFC 6376 Section 5.4のINFORMATIVE OPERATIONS NOTE(highly advised)、RFC 9989 Section 4.7(ruaがない場合、受信側は集計レポートを作成してはならない(MUST NOT))
B主要なヘッダ(From、To、Cc、Subject、Date、Reply-To、Message-ID、Content-Type)のオーバーサインが足りない、DMARCのポリシーが実質的にquarantine(p=quarantine、またはp=rejectでt=y)、spやnpがquarantine、pctが100未満、rufがない、レポートの送付先が自社ドメインのアドレスだけ(DNS)、DKIMの鍵が2048ビット未満(DNS)、SPFがSPFマクロで隠蔽化されていない(DNS)RFC 6376 Section 5.4.2で認められている対策(MAY)、RFC 8301 Section 3.2(SHOULD)、送信基盤の情報が外部に分かる設定
A上記のどれにも当てはまらない―

2048ビット未満のRSA鍵には、量子コンピュータに関する注記も表示します。
Googleは、耐量子計算機暗号(PQC)への移行期限を2029年に設定しています。
(Google「Quantum frontiers may be closer than they appear」、2026年3月25日)
NISTも、112ビット相当のRSA署名を2030年より後に非推奨、2035年より後に使用禁止とする計画を示しています。
(NIST IR 8547 Initial Public Draft Section 4.1.1)
DKIMの鍵は暗号化ではなく署名に使うため、TLSの鍵交換のような「Harvest Now, Decrypt Later(今収集して、後で復号する)」の対象にはなりません。
危険なのは、DNSで公開されている公開鍵から秘密鍵を求められると、そのドメインとして署名したメールを偽造できるようになることです。
1024ビットの鍵は、2048ビットの鍵より少ない計算資源で破られるため、先に危険になると考えられます。
2048ビット以上の鍵に替え、定期的に鍵を交換して古い公開鍵をDNSから削除すれば、偽造に使える期間を限れます。

到達性のランクの条件
ランクこのランクになる条件(いずれか1つ)根拠
FSPFとDKIMのどちらもヘッダFromとアラインしていない、受信側でDMARCがfailと判定されているRFC 9989、Gmail・Yahoo!の大量送信者向け要件
DDMARCレコードがない(DNS)、DKIMの鍵が1024ビット未満(DNS)、SPFのDNS参照回数が10回を超えている(DNS)Gmail・Yahoo!の大量送信者向け要件、Gmailの送信者ガイドライン、RFC 7208 Section 4.6.4(MUST)
CSPFとDKIMの片方しかアラインしていないRFC 9989 Section 8(MUST)、MailDataの観測
Bワンクリック登録解除のヘッダがあるが、要件を満たしていない、受信サーバーへの受け渡しでTLSを使った記録がない、SPFのTXTレコードが450オクテット以上(DNS)RFC 8058 Section 3.1、Section 4(MUST)、Gmailの送信者ガイドライン、RFC 7208 Section 3.4(SHOULD)
A上記のどれにも当てはまらない―

SPFとDKIMの双方のアライメントは、DMARCに完全に参加する(Full DMARC Participation)ためにドメイン所有者が満たすべき要件です。
(RFC 9989 Section 8)
受信側の判定では、どちらか一方がアラインすればDMARCはpassしますが、MailDataの観測では、片方だけでは個人向けメールサービスで拒否される例があります。
詳しくは、DMARCアライメントとは?SPF・DKIMの一致判定とメールが届かない原因【2026年版】で解説しています。

SPFの隠蔽化の確認(DNS)

ヘッダFromのドメインのSPFレコードが、SPFマクロで隠蔽化されているかも確認します。
隠蔽化されていないSPFは、include先を順にたどるだけで、利用している送信サービスやMTAが誰にでも分かります。
攻撃者は、その中から入力エコー攻撃などに使える脆弱な送信サービスを探すことができます。
隠蔽化されていない場合、安全性のランクはB以下になります。
SPFの隠蔽化には、PowerSPFを利用できます。

ヘッダの準備のしかた

  1. 診断したい送信元から、自分のメールアドレス宛てにメールを送ります。
    問い合わせフォームの自動返信、会員登録の確認メール、メールマガジンなど、送信サービスごとに確認することを勧めます。
  2. メールソフトやWebメールの「メッセージのソースを表示」「ヘッダを表示」などの機能で、ヘッダを表示します。
  3. ヘッダをコピーして貼り付けるか、テキストファイルに保存して選びます。
    .eml形式で保存したファイルをそのまま選ぶこともできます。

注意事項

ドメインのDNSの設定だけを確認する場合は、ドメインメールセキュリティチェッカーを使ってください。
MailDataでは、DMARCレポートの分析を通じて、送信元ごとのDKIM署名とアライメントの状況を洗い出し、p=rejectへの移行を支援しています。
送信元や署名範囲の見直しでお困りの場合は、お問い合わせフォームからご相談ください。