DNSサーバ ― それは何で、どのように使うのか?
DNSの種類と仕組み入門
2024年5月24日
著者: Ahona Rudra
翻訳: 岩瀨 彩江
この記事はPowerDMARCのブログ記事 DNS Servers – What are they and how to use them? の翻訳です。
Spelldataは、PowerDMARCの日本代理店です。
この記事は、PowerDMARCの許可を得て、翻訳しています。
DNSサーバは、人間が読めるドメイン名をIPアドレスに変換するための、インターネットにおける重要なコンポーネントです。
インターネットの電話帳のような役割を果たし、ユーザがURLを入力したりリンクをクリックしたりしたときに、デバイスやコンピュータが正しいWebサイトやサービスを見つけられるようにします。
重要なポイント
- DNSサーバは、人間が読めるドメイン名をIPアドレスに変換し、インターネット上でユーザにとって使いやすいナビゲーションを可能にします。
- DNSサーバは、クライアントからのドメイン名の問い合わせを受け取り、対応するIPアドレスが見つかるまで、DNSサーバの階層を順にたどって転送することで動作します。
- DNSサーバには、再帰型、権威型、キャッシュ型、フォワーディング型など、さまざまな種類があり、それぞれがDNS解決プロセスにおいて特定の役割を果たします。
- DNSサーバは、Webアクセスを簡単にするだけでなく、Webサイトのトラフィックに対して負荷分散、冗長性、セキュリティの向上も実現します。
- DNSサーバの動作を理解することは、インターネット接続の問題をトラブルシューティングしたり、オンラインパフォーマンスを最適化したりする上で重要です。
DNSサーバはどのように動作するのか?
Webブラウザにドメイン名を入力すると、コンピュータは対応するIPアドレスを取得するためにDNSサーバへリクエストを送信します。
DNSサーバは、自身のデータベースを検索するか、他のDNSサーバへ問い合わせを行い、そのドメイン名に関連付けられたIPアドレスを探します。
IPアドレスが見つかると、それがコンピュータに返され、要求されたWebサイトやサービスへの接続が可能になります。
DNSサーバはなぜ重要なのか?
DNSサーバがなければ、ユーザはアクセスしたいすべてのWebサイトの複雑な数値のIPアドレスを覚えなければならず、インターネットははるかに使いにくいものになってしまいます。
その代わりに、DNSサーバが裏側で変換処理を行い、ユーザが簡単にWebへアクセスできるようにしています。
DNSサーバは、ドメイン名とそれに対応するIPアドレスのデータベースを維持しています。
ユーザがWebサイトへのアクセスを要求すると、DNSサーバはそのドメイン名に関連付けられたIPアドレスを検索し、ユーザのデバイスを正しい場所へ導きます。
関連情報:DNS NSレコードとは何か?
DNSサーバの種類
最も一般的なDNSサーバの種類は次のとおりです。
- 1.再帰型DNSサーバ
- 再帰型DNSサーバは、クライアントからDNSクエリを受け取り、それを別のDNSサーバへ転送して解決を行うタイプのDNSサーバです。
- 2.権威型DNSサーバ
-
権威型ネームサーバは、特定のドメイン名に対する確定的な答えを保持しています。
権威型ネームサーバは、上流のリゾルバから受け取ったものとは異なる回答を返すように構成することもできます。 - 3.キャッシュ型DNSサーバ
- これらのサーバはDNS情報を一時的に保存し、権威型サーバへの頻繁なリクエストを減らすことで、応答時間を改善します。
- 4.フォワーディング型DNSサーバ
- これらのサーバは、キャッシュ内に要求された情報がない場合、DNSクエリを他のDNSサーバへ転送します。
関連情報
DNSレコードとは何か?
DNSフォワーディングとは何か?
DNSサーバの目的とは何か?
DNSサーバは、データベースおよびディレクトリとして機能し、人間が読めるドメイン名をIPアドレスに変換することで、ユーザがWebサイトやオンラインサービスに簡単にアクセスできるようにします。
これはWebサイトの作成において不可欠であり、ユーザが複雑な数値のIPアドレスを覚える代わりに、シンプルで覚えやすいドメイン名を入力するだけでWebへアクセスできるようにします。
DNSサーバは、受信トラフィックの負荷分散を支援し、冗長性と信頼性を確保し、サイバー脅威から保護する役割も果たします。
また、ドメイン名とそれに対応するIPアドレスのデータベースを維持し、リクエストが行われた際にユーザを正しい場所へ導きます。
要するに、DNSサーバは人間が読めるドメイン名と技術的なIPアドレスとの間の橋渡しを行い、世界中のユーザにとってインターネットをより使いやすく、効率的なものにしています。
DNSサーバはどのようにDNSクエリを解決するのか?
DNSクエリを解決するということは、コンピュータに特定のIPアドレスを検索させ、接続を確立させることと同じです。
これを実現するために、いくつかの相互接続されたサーバで構成されるドメインネームシステム(DNS)サーバが利用されます。
- DNS再帰リゾルバ
- ルートネームサーバ
- TLDネームサーバ
- 権威型ネームサーバ
DNSクエリが解決される一般的な流れは次のとおりです。
- 1.ドメイン名解決
-
DNSプロセスの最初のステップは、ドメイン名を対応するIPアドレスに解決することです。
これは、Webブラウザやメールクライアントなどのクライアントが、Webサイトへアクセスしたりメールを送信したりする必要があるときに実行されます。 - 2.クライアントクエリ
- クライアントは、アクセスしたいドメインのIPアドレスを求めて、ローカルDNSリゾルバにクエリを送信します。
- 3.ローカルDNSリゾルバ
-
ローカルDNSリゾルバは、自身のキャッシュを確認し、要求されたドメインに関する情報をすでに保持しているかどうかを調べます。
もし保持していれば、そのIPアドレスをクライアントに返します。 - 4.再帰クエリ
- ローカルDNSリゾルバがキャッシュ内に情報を持っていない場合、ルートDNSサーバへ再帰クエリを送信します。
- 5.ルートDNSサーバ
- ルートDNSサーバは、再帰クエリに対して応答し、要求されたドメインのTLDを担当するトップレベルドメイン(TLD)DNSサーバへのリファラルを返します。
- 6.TLD DNSサーバ
- TLD DNSサーバは、特定のドメインを担当する権威型DNSサーバへのリファラルを返してクエリに応答します。
- 7.権威型DNSサーバ
-
権威型DNSサーバは、特定のドメインのレコードを管理する役割を持っています。
クエリに対して、そのドメインのIPアドレスを応答として返します。 - 8.クライアントキャッシュ
-
クライアントキャッシュは、照会したドメインのIPアドレスを保存します。
次回クライアントが同じドメインにアクセスする際には、再びDNSプロセス全体を経るのではなく、キャッシュされたIPアドレスを利用できます。 - 9.クライアントがWebサイトに接続
- 最後に、クライアントはそのIPアドレスを使用してアクセスしたいWebサイトやサーバに接続し、プロセスが完了します。
DNSサーバの障害
DNSサーバが障害を起こす理由には、悪意あるハッキング攻撃やハードウェア障害などがあります。
インターネットの初期には、DNSサーバの問題が重大な影響を引き起こしていました。
近年では、DNSには多くの冗長性が組み込まれており、大きな安心材料となっています。
ほとんどのインターネットサービスプロバイダ(ISP)は、顧客向けに冗長構成の再帰リゾルバを提供しており、ルートDNSサーバやTLDネームサーバにも多数のコピーが存在します。
(個人のコンピュータユーザも、Cloudflareの「1.1.1.1」などのパブリックDNSリゾルバを利用することができます。)
人気のあるWebサイトは、通常、その権威型ネームサーバを複数のコピーで運用しています。
一部のユーザは、大規模なDNSサーバ障害が発生した場合、バックアップサーバが処理するリクエストの量が増えるため、遅延を経験することがあります。
それでも、インターネットの大部分が利用できなくなるのは、極めて大規模なDNS障害が発生した場合に限られます。
DNSサーバに関するFAQ
- DNSサーバは誰が運用しているのか?
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DNSサーバは、さまざまな主体によって運用されています。
インターネットサービスプロバイダ(ISP)、組織、企業、さらには個人でもDNSサーバを運用することができます。
さらに、インターネット割り当て番号機関(ICANN)のような組織や、特定のトップレベルドメインを管理する地域組織によって運用されているグローバルDNSサーバも存在します。 - この中で、人間が読める文字列をコンピュータ用のIPアドレスに変換するのはどれですか?
- DNS(ドメインネームシステム)は、人間が読めるドメイン名(例:「example.com」)を、コンピュータが理解できるIPアドレス(例:「192.0.2.1」)に変換する役割を担っています。
- 名前解決のプロセスにおいて、ローカルの再帰サーバが最初に問い合わせを行うのはどのサーバですか?
- 名前解決のプロセスにおいて、ローカルの再帰サーバは通常、最初にルートDNSサーバへ問い合わせを行います。
- DNSサーバは安全なのか?
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DNSサーバはさまざまなセキュリティ脅威に対して脆弱となる可能性があります。
たとえば、DNSなりすましやDNSキャッシュポイズニング攻撃によって、ユーザが悪意のあるWebサイトに誘導されることがあります。
しかし、DNSSECの実装など、DNSのセキュリティを強化するための取り組みも進められています。 - 自分でDNSサーバを運用することはできますか?
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はい、自分でDNSサーバを運用することは可能です。
ただし、DNSサーバを適切に構成し維持するためには、技術的な知識と専門性が必要です。 - DNSサーバはインターネットの速度に影響を与えるのか?
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はい、DNSサーバはインターネットの速度に影響を与えることがあります。
DNSサーバがクエリに応答するまでの時間は、Webサイトが読み込まれるまでの全体の時間に影響を及ぼす可能性があります。
まとめ
DNSサーバは、インターネットインフラの基本的なコンポーネントであり、デバイスとサービス間のシームレスな通信を可能にします。
Webブラウジングの円滑化、負荷分散、ネットワーク効率の向上において重要な役割を果たします。
技術の進化に伴い、DNSのセキュリティを強化し、暗号化プロトコルを導入する取り組みが進められており、DNSサービスの信頼性と完全性がさらに強化されています。